41 超ドリームチーム、初陣

「バレルオーグの魔導ゴーレム……噂に聞いたことがあります。おそらく、当時の王都を守るための自動防衛システムとして製造したのでしょう」


 ルヴィノが解説した。


「魔王軍接近に伴う強大な魔力変動を外部からの侵略と誤認し、暴走を始めたのかもしれません」

「自動防衛システム……」


 レナがつぶやく。


「本来なら魔王軍の侵攻に際して戦力になってくれたかもしれんな……いや制御できない以上、それを言っても仕方ないか」


 俺たちはバレルオーグ王城の前に急行した。


 数十体の金属製のゴーレムが地下から出てきて、王都を襲おうとしている。


「ちいっ、うじゃうじゃいやがる」


 と、ガロウが舌打ちした。


 ゴーレムの一体に爪を立てるが、甲高い音と共に火花が散るだけだった。


「硬ぇな、こいつら!」

「【雷光刃らいこうじん】!」

「【アイシクルランス】!」


 レナの剣も、マルグリットの魔法も、ゴーレムの分厚い装甲に弾かれ、決定打にはならない。


 逆に、ゴーレムの一体が振り回した鉄腕がボルガを吹き飛ばした。


「ボルガ王!」

「ぐっ……問題ねえ!」


 平然と起き上がるボルガ。


 さすがにドワーフの王は頑丈だ。


 とはいえ、どうすればいいか――。


「――俺が行く」


 前に出る俺。


「数が多いぞ。やれるのか?」

「まあ、たぶんな」


 たずねるレナに俺は手を振った。


「とりあえず、やってみる」


 その言葉を合図にしたかのように、数体のゴーレムがいっせいに向かってきた。


 巨大な腕を振りかぶり、俺に殴りかかってくるゴーレムたち。


 ばしゅんっ。

 ばきいっ!


 吹き飛ばされ、さらに腕がへし折れるゴーレムたち。


【カウンター】は相手の攻撃の威力が高ければ、それだけ反射の威力も増す。


 まあ、俺の方である程度威力の調節はできるけど、今回は最大威力で返させてもらった。


 ゴーレムたちは己の攻撃力をそのまま食らい、腕を壊してしまったわけだ。


「俺に攻撃すれば負ける――そういうことだ」


 俺はゴーレム軍団に向かってニヤリと笑った。




 後はその繰り返しだ。


 俺はゴーレムたちの真っただ中へ悠然と歩いていく。


 ゴーレムたちは殴りかかるたび、その力をまともに跳ね返され、吹っ飛ばされ、破壊されていく。


 途中からゴーレムたちは肉弾攻撃をやめ、魔力弾などの飛び道具に切り替えてきたけど、かえって俺には好都合。


 それらをまとめて跳ね返し、広範囲にわたってゴーレムたちを吹っ飛ばしていく。


「すごいでござるな……ジルダ殿一人で、あの軍団を圧倒している――」


 背後で三日月の声が聞こえた。


「さすが勇者様~♪ さあ蹴散らせ、これが勇者の力♪ Y! U! S ! Y! A! 勇者パワ~!」


 ローレライは応援歌を歌ってくれている。


 いや、悪いけど、さすがにそれはダサいというか、センスが古いというか……。


 応援してくれるのは、ありがたいんだけど……ね。


「おお、格好いいじゃないか! これはジルダも勇気づけられるだろう!」


 と、レナが喜んでいた。


 あ、お前もそっち側のセンスなんだ……。



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