39 対魔王軍・超ドリームチーム合同訓練

 翌日。


「対魔王軍・超ドリームチーム合同訓練を行いたいと思う」


 早朝に俺たちはレナに集められていた。


 ちなみに各国の重鎮は大半が今日のうちには自国に戻るそうだけど、戦士や魔術師などの戦闘要員――いわゆる英雄と呼ばれる者たち――に関しては、引き続きバレルオーグに滞在する者も少なくない。


 予言された魔王軍の侵攻まであとわずか。


 侵攻予想地点がここバレルオーグだから、英雄たちにはここに残ってもらい、みんなで魔王軍を迎撃しようというわけだ。


 とはいえ、予測はあくまでも予測。


 違う場所に侵攻してくる可能性もあるため、自国に戻った英雄たちもいる。


 で、ここに残ったメンバーで、レナが言った合同訓練が行われることになっ

た。




 ――それから二日。


 訓練場は今日も各国の英雄たちが発する熱気に包まれている。


 初日からそうなんだけど、単なる訓練というより模擬戦争の様相を呈していた。


 やっぱり各国の面子みたいなものもあるんだろうな。


「さあ、いくぜ、勇者様! 今度こそお前から一本取る!」


 獣人族長のガロウが残像が見えるほどのスピードで襲い掛かってきた。


 その動きが、前勇者ゼオルに匹敵するほど。


 そして、そこから鋭い爪や牙を矢継ぎ早に繰り出してくる。


 ガロウの必殺スキル【爪牙百連そうがひゃくれん】だ。


 けれど、それらの威力が俺に届く寸前、


 ばしゅんっ!


【カウンター】でガロウをあっさり吹っ飛ばす。


「むむむ……また、これか。どうしてもお前に攻撃を当てられん」

「ははは、残念だったな、族長殿」


 と、レナが笑う。


「ジルダには私も一発たりとも当てたことがない。鉄壁さ」

「……噂に勝る、とんでもねぇスキルだな……勇者の【カウンター】ってのは」


 ガロウがうなった。


「攻略の糸口がつかめん」

「次は拙者が」


 入れ替わるように進み出たのは、東方の剣聖・三日月だ。


「速度も力も通じない……ならば」


 刀を鞘に納めたまま、大きく前傾姿勢を取る。


 三日月の必殺スキル【抜刀・彗星斬すいせいざん】の構えだ。


「敵意も戦意もない完全なる明鏡止水、無我の境地で――斬る」


 ばしゅんっ!


 次の瞬間、三日月は吹き飛ばされて、宙を待っていた。


 えーっと……?


 たぶん、俺が視認も――いや知覚すらできない攻撃を見舞った三日月が、俺の【カウンター】で吹っ飛ばされた、ってところか。


 なるほど、無我の境地――攻撃の気配すらなく攻撃できるって、すごいスキルだ。


 ……相手が俺の【カウンター】じゃなければ超必殺技なんだろう、きっと。


「ぐぬぬぬ……拙者の技、まだまだ未熟よ」


 三日月が小さく息をついた。


「参った、ジルダ殿」


 と、深々と頭を下げる三日月。


「いや、あんたの技もすごかったよ」


 俺は慌てて礼を返した。


 その後も何人もの英雄に挑まれては、【カウンター】で吹っ飛ばすというパターンが続いた。


「ふふん、これが勇者の力だ」


 なぜかレナが自慢げに語っている。


 いや、まあ俺はバレルオーグ付きの勇者だから、彼女にとっても自慢になるといえばなるか。


「ジルダを攻略するには、力押しだけでは不可能だ。もっと流れを読み、一撃の『意味』を変えねば……」


 言いながらレナが近づいてくる。


「最後は私だ。今日こそ貴様から一本取る」

「う、うん、お手柔らかに……」


 ばしゅんっ!


 もちろん、レナも吹っ飛ばされた。





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