Scene4:Kaleido

――――「Kaleido」――――


「銀色と銀色。今は銀色の方が登録者が多いのね。この時代に素直な子が多いって事?ふふふ・・・なら尚更、面白い。だって、その純粋さが危ないだもの」


昨日の出来事は、

学校も保護者も<集団ヒステリー>として処理されていたようであった。

他の生徒たちも意図的なのか不明だが、誰もその話題を持ち出さなかった。


「ねぇねぇ。みて。カレイドのレベルがUPしたんだよ」


「俺さ、この間。現金で5000円貰えたわ」


「えっ、マジ!やったじゃん!」



翌日の教室はいつも通りだった。賑わしくおしゃべりを楽しんでいる女子。

机にうつぶせ寝している生徒。


何も変わらない日常。


だが、聞えてくるのは「カレイド」のことだった。


――――なんか、変だ。


何もないはずはないのに。なのに、この違和感にきづいていない。

いや、忘れてしまっているの。


僕は不自然過ぎる状況に違和感を感じていた。


和真はこの違和感に気づいているようであったが、何がという原因は分からず困惑しているようであった。


「和真、やっぱりなんか変だよ」


「俺もこの間から感じている」


――――お互いに迷宮していた。


教室の扉が開いた。

担任がいつものように入ってきたと同時に後ろに人影が教壇に立った。


「今日から少しの間だが、学校全体のカウンセラーとして就任した伏見千夜ふしみちやさんだ」


軽く会釈する。みんなの視線が集中する。


「こんにちは。伏見千夜ふしみちやです。みんなに寄り添いたいと思っています。いつでも話しかけてね。」


伏見千夜。スラっとした長身で少し長い髪は後ろで束ねいた。

男性か?女性か?一見分からないような顔立ちをしていた。


クラス中の生徒が魅入っていた。

一瞬で人を虜にしてしまうような妖艶さがあった。


「そこの君」


伏見をみないように下を向いていた男子生徒を指さした。


また、そこに視線が集中する。


男子生徒はクラスでも大人しくあまり他の生徒と関りがないタイプだった。

いきなりのことで、さらに下に俯く。耳まで真っ赤になって小さく震えていた。


伏見は男子生徒の傍まで歩みった。


「大丈夫だよ。心配しないで。私が傍にいてあげるからね」


ゆっくりと頭をなでた。


ぐっと真っ赤な顔を見上げるとそこには満面の笑みを浮かべる伏見。


「ぐっ・・・うん。うん。」


何度も頷いている。


「可愛い。」伏見は満足したようにまた教壇へもどった。


「えーーと、じゃぁ。ここの案内を。そうだな、、、」


「えっ。案内をしてもらえるんですか。やだ。嬉しい」


甲高い声を上げて喜んでいう。

クラス中を眺めて、視線が止まった。


「では、そこの君。お願いします」


「和真、和真」僕が目くばせする。


和真はこのてのタイプの人間は苦手らしく、あえてそっぽを向いていた。


「じゃっ、巳藤。伏見さんを案内しておいてくれよ。」

担任はそういいながら教室を後にした。


呆気にとられていた和真が苦い顔をする。


「和真、僕も行くから」僕は口パクで合図を送った。


「和真だけでは不安なので、僕も一緒にいきます!」

意気揚々と名乗りを上げたのは結人だった。


「嬉しいです。でも……このあと、みんな予定があると思うので。巳藤くんだけで大丈夫よ。あとで、保健室まで迎えに来てね」


和真は深いため息と共に頭を掻きむしった。


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