七振
戦争が終わったタイミングで真実を知るマジシャンズ側はこれにより一つの問題に直面した。
皇を追うか追わないかである。
エクスカリバー達3人を筆頭とするメンバーは当然追いたいと思っていたが、他のほとんどのメンバーは平和になったこの世界で暮らしていきたいと思っていた。
(ちなみにイノベ博士は追う側でありドラゲニウム技術を応用した時空転移システムを作るほどであった。)
その更に翌年ついにイノベ博士発案の時空転移システムの稼働が行われる日になった。遠征メンバーは博士に直接召集されることになっていたが、エクスカリバー達3人は博士から呼ばれなかった。
その結果、イノベ研究所にてエクスカリバーはあらぶっていてダインスレイヴとマサムネが彼を押さえていた。
「博士!なんで俺じゃないんですか!俺たち以外の誰に任せたんですか!」
「ちょっと!エクス、落ち着いて。」「そうだ、エクス一度頭を冷やせ。」
騒ぐエクスカリバーを見かねてか、イノベ博士が奥の部屋から出てきた。
「なんじゃ、エクスか。そんなに行きたかったのか。」
「当たり前ですよ。せっかく力を得たんだ。だったらこの世界の役に立ちたいんです!博士!お願いします!」
少し落ち着いた様子で話すエクスカリバーに対してイノベ博士は言った。
「なら尚更残るべきじゃ。世界を超えることがこの世界の役に立つわけではないぞ。別に皇はもうこの世界に来られない。つまり、これは単にワシの私怨じゃよ。それに君ら英雄を巻き込むわけにはいかんのじゃよ。」
イノベ博士の言葉にエクスカリバーは言葉が詰まった。
「それになぁ、エクスよ。皇が逃げた先の世界についてもだいぶ研究が進んでいてなぁ。なんとドラゲニウムがないんじゃよ。じゃから君らのように世界中から賞賛を集めている君らがいかない方がいいと思っているのじゃよ。今のところ行ったきりで、凱旋なんて夢物語じゃからなぁ。」
イノベ博士の追い打ちによって分が悪くなったのか、エクスカリバーは踵を返して出口の方へ向かった。
それを見たダインスレイヴとマサムネは、イノベ博士に誤ってから、エクスカリバーを追いかけていった。
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イノベ博士により召集され、ティルフィングとレーヴァテインが研究所のとある部屋にいた。
「すまない、エクスたちと少し話をしていた。」
と言いながらイノベ博士が部屋に入ってきた。
「お前たちには今まで苦労を掛けさせた。今までお前たちはマジシャンズの中でも特別だと言ってきたのに、後方支援しか頼んでおらんかった理由も含めて、全てを話そう。」
その言葉に二人は身構えた。
「お前たちは他のマジシャンズと違い、より高い耐性と吸収力を与えたんじゃ。この世界のドラギニウムは有限とされておるからな。もしドラゲニウムにできなくなったときのためにドラゲニウムを含んだ武器を作ろうとしたんじゃが、ドラゲニウムは金属と化合しないんじゃ。そこでわしは、人体に吸収させてからその人体を武器に変化させれば良いと考えたんじゃよ。それがお前たちのことじゃ。そして、素質があるものの手をお前たちが握るとお前たちは剣になることができるんじゃ!」
突拍子もないことを博士が言ったため、彼女らは疑いと不安が混じったような顔をしていた。
「信じてないな?そりゃ今のところドラギニウムの世界総残量に問題はない。さらに素質があるものがわしみたいなドラゲニウムに耐性がない人類にしか存在しないせいで、機会がなかっただけじゃよ。」
「じゃが、ここでついにお前たちが日の目を見る機会が来たというわけじゃよ。皇が逃げた先の世界はドラギニウムがないことが分かった。つまりドラゲニウムによるエネルギー攻撃ができない。じゃからお前たちに白羽の矢が立ったとたというわけじゃ。」
博士の言葉に今度は彼女らも安心し、決意に満ちた顔をしていた。
「最後に重要なことを言うぞ。ドラギニウムがないという事は、向こうの世界から帰って来られない可能性が極めて高い。今のわしの技術では、片道分のドラゲニウムしか転移装置に貯められないんじゃ。それに向こうの世界の君たちが行く時代では転移装置などは作れないはずじゃ。」
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