しろがねの夢のなかから溢れでる水蜜桃一つ、そうありたいしろがねの夢、そこから溢れ出る水蜜桃、さらに、その水蜜桃になりたい……。この1首だけ読んでも、展開の意外性が楽しめるでしょう。タイトル通り、蜜に関する短歌がまんべんなく鏤められていて、10首としてのバランス感覚の良さの感じられる秀逸短歌集です。ことばに対する風刺の効いた、推し短歌1首。梨の実が芯へと果てるまでを研ぐことばばかりがはびこる森で