36.さくらのラウィン
ピロンというスマホの通知音が鳴る。
とある一軒家、その内の可愛らしいぬいぐるみが沢山置いてある部屋に、雛森桜はぬいぐるみを抱きしめて、横になりながらボーッと天井を眺めていた。
スマホの方へ視線を向けると、誰かからメッセージが送られている画面が見える。
手を伸ばしスマホを持ち上げ、通知を確認してみると、そこには少し前に私を家に送ってくれたリィラさんが『地球を守ろうの会』というグループの招待をしてくれていた。
「ちきゅうをまもろうのかい…?」
疑問を口にすると、近くのぬいぐるみの間で温まっていたやんちーが近くに寄ってくる。
「どうした?なんか来たのか?」
「うん、なんかグループに招待されてて、地球を守ろうの会だって」
「随分と壮大な会だな…。とりあえず入っとけよ、なんか重要な奴かもだぞ」
「わ、わかった」
少し戸惑いながらも、とりあえず入ってみると、既に会話が始まっていた。
ーーーーー
〔さくらがグループに参加しました〕
部長
『リィラくん、そのだね、一応我々にも組織名はあってだね、【DOG】というのだが…』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『犬じゃん!政府の犬だ!私をペット扱いとは中々言うじゃねぇかこのハゲ!!!』
部長
『Danger Official Guardが正式名称で、私より上の人が考えた名前でね…。ノリノリで考えた名前でそのまま私に丸投げされたんだ。文句はそちらの方に言ってもらいたい…』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『えー、じゃあ政府の犬の会にする?』
アキラ
『このままでいい』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『だよな!まぁ後ろに(犬)ぐらい付けとくかw』
〔グループ名が地球を守ろうの会(犬)に変更されました〕
アキラ
『ダセェ…』
部長
『組織名は言わなかった方がよかったかもしれないな』
ーーーーー
「ふふ…なんか、すごい和気あいあいって感じだね」
「これって真面目な会じゃねぇのか…」
グループラウィンを眺めながら、さくらは和んでいた。
しばらくすると、〔青峰 律子〕〔れん〕〔藤原餡子〕が入ってきた。
ーーーーー
✝︎大悪魔レド様✝︎
『これで全員っぽいな。まぁ基本会話無いと思うが、ここでは毎週俺様がさくらちゃんの為に、『秘技!魔法使いの特別講座』を授けようと思う』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『よかったなさくらちゃん!』
さくら
『えっと、ラウィンで教えてくれる感じなんですか?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『俺様が毎週【魔法の解説可愛いイラスト付き】をグループのノートに貼るから、それを見て頑張って練習してくれ!』
さくら
『な、なるほど…、わかりました!頑張ります!』
『あ、やんちーが「そういうのってなんかこう、もっと秘匿されるようなもんじゃないのか」って言ってますけど、ここに貼るんですか?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『魔法の才は人それぞれだからな!ここに居るヤツらは良い奴らだから、覚えたければ他の奴らも頑張って練習して覚えていいぜ!』
『因みにアキラはチラッと見た時一切魔力無かったから諦めた方がいいぜ!たぶん身体能力に魔力分のエネルギー全部取られてるやつだな。たまにいる特異体質だ』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『はぇ〜だから魔力見えなかったのか』
アキラ
『そうなのか』
藤原餡子
『安心して下さい!アキラさんには私がついてますから!!!』
アキラ
『?』
『ああ』
『そうだな?』
藤原餡子
『キュン(♡ω♡*)』
青峰 律子
『あの!私も魔法使えるようになりますかね!?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『おう!お前さんは才能あるぜ!因みにさくらより才能あるぜ』
青峰 律子
『マジですか!?魔法少女より才能あるんですか!?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『さくらは見た限り、あの石が力の源だろう。あれを上手く使えばかなり色んな魔法が使えるだろうが、さくら自身の魔力はそこまででもねぇな』
『んで青峰は素で魔力が結構あるな。頑張ればそうだな…。山1つ分位は消し飛ばせるか』
青峰 律子
『うぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!テンション上がってきたああああああああぁぁぁ!!!!!!』
アキラ
『さくらも山1つ分位は消し飛ばしてたが、同レベルの使えんのか』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『確かあの石の使える魔力は10分の1ぐらいまでだったか?』
さくら
『やんちーがそのくらいだって言ってます』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『じゃあさくらは頑張れば東京ぐらいの大きさなら吹き飛ばせるな』
アキラ
『やべぇなさくら』
青峰 律子
『私より普通にヤバかった』
さくら
『えっ………?で、でも今日、全力使って山1つしか消し飛ばせなかったんですけど…。いや!全然それで良かった?んですけど…、いや良くないかもですけど…』
アキラ
『たぶんあの筒分の魔力しか無かったからだろう』
さくら
『あっ、なるほど…』
藤原餡子
『あの、魔力ってマナエネルギーの事で合ってますかね?』
アキラ
『そうらしいぞ』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『まぁ今後は全力ぶっぱは控えた方がいいだろうな。水平線の向こうまで何も見えない海の上みたいな場所じゃねぇ限りは』
さくら
『き、気をつけます…』
部長
『聞きたいのだが、その魔法講座とやらは、ここ以外の人に見せてもいいものかね?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『まぁ個々の判断に委ねるぜ』
アキラ
『そんな緩くていいのか…』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『まぁ別に秘伝の技とかいう訳でもねぇしな』
アキラ
『最初に秘技って書いてなかったか?』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『気のせいだぜ』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『書いてたゾ』
✝︎大悪魔レド様✝︎
『俺様の茶目っ気だ』
☆大魔法使いリィラ・ヴィクトリー☆
『見た目に茶目っ気が無いから可愛子ぶっても意味無いぞ!』
ーーーーー
「イラスト付きの解説って、教科書みたいな感じの画像でも貼るのかな?」
さくらはそう呟くと、隣のやんちーが相槌をうつ。
「まぁそんな感じなんじゃねぇのか?」
そうして夜が更けて、さくらはいつの間にかうとうとして、ついには眠ってしまった。
「電気ついたまんま寝やがった…。よく寝れるな…。まぁ今日は色々あったしな。こんなもんか」
そう言ってやんちーは、さくらの腕を出したままの布団を首元まで引っ張り、最後は電気を消して、ベッド付近のぬいぐるみの間に挟まって眠りについた。
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