幕間 爆乳勇者パーティーの竜娘、服従する




 妾は弱い奴が大嫌いじゃ。



『弱者に生きる価値なし』


『人間は滅ぼせ』


『魔王陛下、万歳!!』



 家族、友人、知人……。


 妾の知る竜族は揃いも揃って弱者を排し、強者に服従していた。


 幼い妾はふと思った。


 強者に服従している妾たちは、竜族は弱者ではないのか、と。


 故に妾は竜族の里を出た。


 妾こそがこの世界で最も強い存在ということを、魔王をぶっ殺して証明するために。



『貴殿が同胞を裏切って人類に味方する竜族の姫か』



 不遜にも妾に声をかけてきたのは、人族の国を治める一族の姫であり、女神から魔王討伐の使命を与えられた勇者だった。


 名前はルナティアと言うらしい。


 話を聞けば、どうやら妾に勇者パーティーへ加入してもらいたいそうじゃ。


 まったく腹立たしい。


 妾は最強を証明するために同族を含めた魔族を狩っているだけで、人類に味方しているわけではない。


 適当にあしらって断った。


 しかし、ルナティアは何度もしつこく妾をパーティーに勧誘してきた。


 やがて妾は根負けしてしまい、そのまま勇者パーティーに加入。

 妾だけではどうにもならない数多の死線を潜り抜け、仲間という存在の素晴らしさを知った。


 各々の実力は妾以下でも、連携することで格上の敵を打破し得ることを理解した。


 こういう強さもあるのだな、と感心すらした。


 最初は女ばかりで気楽だったが、途中で男がパーティーに加わった。



『よ、よろしくお願いします』



 何でも魔導書を解読し、古代魔法なるものを習得した異世界人だとか。

 しかし、妾にはただおどおどしているだけの弱そうな男にしか見えなかった。


 きっと竜族の本能なのだろう。


 対等と認めたルナティアやマリー、メイには抱かなかった嗜虐心が湧いた。


 あらゆる嫌がらせをして困り果てる男を見るのは楽しかった。

 弱者をいじめるのは気持ちのいいものなのだと、同族の言っていたことが少し分かった。


 しかし、その男は妾たちに牙を剥いた。


 待ちに待った魔王との戦いで、妾たちを背後から襲った裏切り者。


 奴隷化の古代魔法とやらには逆らえず、抗えず、いかがわしい格好で狭い部屋に押し込められる日々に嫌気が差していた。


 だからじゃろう。


 メイに裏切り者扱いされて腹が立ち、仲間と殺し合いそうになったのは。


 大切な仲間と喧嘩したことなど早く忘れたくて、例の裏切り者から渡された酒を飲みに飲みまくった。


 それが、いけなかった。



「む、むぅ……ちと飲みすぎたのじゃ……ん!?」



 妾はどういうわけか、裸で眠っていた。


 酒を浴びるほど飲みまくったせいか、昨夜の記憶がない。

 慌てて身体を起こすと、ベッド脇の椅子に忌々しい裏切り者の男がニヤニヤ笑いながら座っていた。



「き、貴様、妾に何をしたのじゃ!!」


「何って、酔い潰れたお前を介抱してやったんだ。感謝しろ」


「か、介抱? では妾は何故裸なのじゃ!!」


「お前が自分から脱いだんだ。まるで僕が脱がせたみたいに言うな」



 わ、妾が自分から脱いだ、じゃと!?



「くっ、この変態め!! こちらを見るでない!!」


「理不尽だな。まあいい、お前にいいものを見せてやろう」


「いいもの、じゃと?」



 首を傾げる妾に、裏切り者が水晶のようなものを手渡してきた。


 なんじゃ、これは?



「これはアークさんが開発したカメラ……映像を記録する魔法のアイテムだ。さっき編集が終わったところでな」


「映像を、記録? 編集じゃと?」


「試しに魔力を流してみろ。面白いものが見られるぞ」


「……ふん」



 裏切り者の言葉に従うのは不愉快だが、面白いものと言われては気になる。


 妾は水晶に魔力を流した。


 すると、水晶が眩しく光って空中に映像が映し出された。



〈今からヒューガに仲間を裏切ったご褒美をもらうのじゃ~!!〉


「!?」



 空中に映し出される妾は、忌々しい裏切り者の腰に跨がっていた。



「な、なんじゃこれは!? お、お主、妾に何をしたのじゃ!!」


「別に何もしてないぞ。ちょっと煽ってこっちの用意した台詞を読ませただけだ。ところでこの映像、ルナティアたちに見せたらどう思うだろうなー」


「っ、ふん!! 好きにすればよかろう!! どうせ奴らも妾を裏切って――」


「ああ、あれ嘘だから」


「え?」



 嘘、じゃと?



「俺、実はお前らが外部に助けを求めたことを最初から知ってたんだ」


「なっ、で、では……」


「誰も仲間を裏切ってないぞ。お前たちの友情は本物だったわけだ」



 妾はその言葉に安堵し、同時に焦る。


 もし、この映像をルナティアたちに見せられてしまえばどうなるか。


 きっとルナティアたちは妾を裏切り者と思うはず。

 そうなれば、もうあのパーティーに妾の居場所はなくなってしまう。


 仲間ではなくなってしまう。


 それだけは嫌じゃ。絶対に絶対に、絶対に嫌なのじゃ!!



「さーて、じゃあ早速この動画をルナティアたちに見せて――」


「ま、待て!! 待つのじゃ!! 頼む、それだけは!!」


「おいおい、それが人に物を頼む態度か?」


「っ、ぐっ」



 思わず言葉を詰まらせる。


 しかし、映像をルナティアたちに見られるわけにはいかない。


 妾はその場で床に這いつくばり、頭を垂れた。



「こ、この通りなのじゃ」


「おお、土下座までするのか。そうかそうか、そこまでこの映像を仲間に見てほしくないのか。ならもう少し誠意を見せてもらわないと」


「せ、誠意、じゃと?」


「言わないと分からないか? ベッドで股を開け」



 っ、こ、この男、調子に乗りおって!!



「どうしたんだ? 早くしないと、この映像を大好きな仲間たちに見せちゃうぞ」


「っ、わ、分かった、のじゃ。お主の言う通りにするのじゃ」


「いいぞ、従順なのは高得点だ」



 妾はベッドで股を開く。


 その裏切り者はニヤニヤと笑いながら、妾に覆い被さってきた。



「いつか、いつか必ず殺してやるのじゃ!! 絶対に許さぬのじゃ!!」


「爆乳揺らしながら凄まれても怖くねーよ。おら!!」


「ひぐっ♡」


「はは、弱っ」



 ……弱い?


 竜族で最強だった妾が、数多の魔族を屠ってきた妾が弱い、じゃと?


 違う。断じて違う。



「妾は強い!! 妾は弱くないのじゃ!! 貴様の方が弱いのじゃ!!」


「じゃあその弱い僕に好き放題されてるテレシアはもっと弱いってことだな」


「っ、そ、それは違っ!!」


「違わないだろ。お前はお前が見下してた弱者に蹂躙される弱者なんだよ」



 認めない。妾は強い。


 では、妾を組み敷いて弄ぶ裏切り者は、ヒューガは強いのか?



「っ♡」



 それを理解した瞬間、妾はお腹の下が疼くのを感じた。


 有り得ん。有り得んのじゃ!!


 強者たる妾が蹂躙されて喜ぶなど、絶対にあっては――



「おい、舌出せ」


「ひゃいっ♡」



 あっ、ダメなのじゃ。理解したのじゃ。


 目の前の男の命令に逆らえない。古代魔法がどうとかではない。


 妾の竜の本能が、目の前の強者に屈しておる。


 ヒューガという男に蹂躙されることへ、喜びを感じてしまっている。


 そうか。そうじゃったのか。


 妾は今まで自らの最強を証明するために戦っていたが、違ったのじゃ。

 妾はただ、妾を蹂躙してくださる男を探しておったのじゃ。


 そして、見つけたのじゃ♡



「あ、主殿ぉ……♡」


「……え?」



 まだ理性で抗うことは可能じゃろう。


 しかし、それも長くは持つまい。何故なら妾の本能が服従してしまったから。


 妾は目の前の強いオスに、屈服してしまったのじゃ。






―――――――――――――――――――――

あとがき

ワンポイント小話

即堕ちって素晴らしいと思うの。



「竜娘がチョロインだった」「こういうのでいいんだよ」「即堕ちはいい文明」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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