鋼鉄の麒麟

第28話 ユキリナの可能性

ソニアに輝石を奪われ、項垂れるユキリナ。

肩を落とすユキリナにマコルが歩み寄る。

「ユキリナさん、悪く思わないで下さい。これも世界を救済する為なのです。」

「え?そうなの?それなら仕方ないかな…。でも、カナダの大自然は復活出来ないよな…。」

ユキリナは改めて肩を落とすが、その肩に輝く白猫が乗る。

「わ!猫だ!」

「それは私の気獣聖霊『マジカル・キャッツ』の一匹です。白猫はあなたの疲労とダメージを回復させてくれます。」

「わ!確かに元気が沸いてくるな。ソニアに応急措置してもらった足も痛みが無くなって来たよ。」

「それは良かったですハイ…。因みにこのゲームの勝者は輝石を持って島を出た者ですので、ユキリナさんはまだゲームオーバーではございませんですハイ…。」

「え?まだ帰らなくて良いの?」

「ハイ…。輝石をソニアさんから奪い取って島から出ればあなたの勝ちですハイ。」

「う~ん、それは分かったんだけど、ソニアはあたしなんかじゃ手も足も出ねぇしな…。」

ユキリナの不安を解消するかのように今度は背中に黒猫が憑依する。

「わ!また違う猫だ!?」

「その黒猫はあなたの力を倍加します。ユキリナさん、私はあなたがただの素人の方とは思えません…。ユーゴさんやソニアさんの気力に呑まれず、攻撃を喰らっても無事でいらっしゃる…。」

「う~ん、体が丈夫なだけが取り柄だからなぁ…。」

「丈夫なだけで気獣士の攻撃は受けられません…。すなわち、あなたの体内には何らかの気獣聖霊が潜んでいるはずです!」

「ソニアやユーゴみたいにか?」

「そうです!無意識にあなたの気獣聖霊があなたのダメージを半減させていると思われます!」

「そ、そうなのかな?」

「私はあなたの純粋さに懸けてみたい…。あなたはゲームのダークホースになり得ますハイ!」

ユキリナは自分の胸を撫でながら気獣聖霊がいるのか考える。

「取り敢えず私のマジカル・キャッツ(黒猫)と共にソニアさんを追って下さい!輝石を奪えばあなたの故郷を救えますよ!」

「う、うん…。よく分かんねぇけど、やってみっか!」

ユキリナは気を取り直してソニアが降りて行った方向に向かう。


それを見送るマコルの前に潜んでいた新たな人物が顔を見せる。

ブラウンの長髪を後ろに結わえた黒いスーツ姿のグラサンの男。

「ややっ!これはレイモンドさん!この島に既に来ていらっしゃったのですね?」

「フフッ、輝石を断崖絶壁に埋め込んだのはこの俺だ…。思ったより簡単な場所にあったのでな…。」

その男、レイモンド・シーザーはセイヴァースの事実上ナンバー2の幹部だった。

「ユキリナ・エヴァンスか…。まだ戦闘の実力は不充分だが、俺の隠した輝石を一番で見つけた才能は買える…。」

「ハイ…。彼女は必ず気獣士として覚醒すると私は信じておりますですハイ。」

「総帥が自ら勧誘した娘…。必ず何かあるはずだ。マコル、引き続き彼女を監視しろ。気獣聖霊を開花させる為であれば、俺も直接手を下すとしよう。」

青白い電撃をその身から発しながらレイモンドは、姿を消した。


「レイモンドさんまでが動くとなると、やはり闇の気獣聖霊達の中に真の黒幕が…。」

マコルはテレポートマジック担当のサバトラ猫を出現させ、その場から消える。


誰も居なくなった頂上で一人地面に埋まるユーゴの姿はあまりに滑稽である。

「に、ニャ~、酷いストーリーにゃ…。」

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