第27話 虎対虎
ソニアとユーゴは突進から両手を組み合わせた。
プロレスの力比べの体勢で同時に気力と力を込める。
それぞれオーラに包まれた両者の二の腕が膨らみ、更に押し合いが強くなっていく。
目の前で始まった長身女子二人の肉弾戦にユキリナは、その気迫だけで圧倒されそうだった。
「だ、誰かは分かんねぇけど、あの虎娘のパワーに負けてねぇや…。」
パワーには自信があるユーゴだが、なかなかソニアを押し切る事が出来なかった。
「に、ニャゲ~、私とまともに力比べで勝負するなんて…この女の人強いんですぅ…。」
「あんたも惚けたキャラの割に大した力だ…。だが、戦いは力だけじゃ話にならない…。」
ソニアは敢えて力を抜きながらブリッジし、ユーゴの腹を蹴り上げながらの巴投げで吹っ飛ばす。
「ニャ!」
ユーゴは空中を旋回して着地し、そこに突進してくるソニアを逆に迎え打つ。
双方ショルダータックルで激突し、微動だにする事なく、拳と蹴りの凄まじい打ち合いになる。
ドドッ!ズガガッ!バシッ!ヒビッ!
次第に速くなる両者の打撃と共に立ち回りも高速化していく。
「す、すげぇ…。二人の動きがまるで見えねぇや…。」
ユキリナの眼前を二つの影が縦横無尽にぶつかり合い、姿を見せたソニアがユーゴをスープレックスに抱えて地面に叩き込んだが、ユーゴはそこから大地に振動を起こしてソニアを転倒させる。
「ニャゲ!」
ユーゴは足を大地に叩き込み、振動の衝撃波でソニアを吹っ飛ばす。
「休まず攻めるのですユーゴさん!」
マコルの声にユーゴは、大気にうねりを生み出してソニアを下から打ち上げていく。
「これで終わりなんですぅ!」
ユーゴは振動エネルギーを一点に集中させてソニアに繰り出した。
しかし、空気中の気温が一気に低下して振動のうねりをも凍らせてしまった。
「ニャに!?」
凍りながら向かって来る振動を見切ったソニアは、鉄拳でそれを粉砕しながら更に白銀のオーラを放出する。
「ニャ、にゃんなんですかぁ!?き、急にさ、寒いんですぅ…。」
対面するユーゴだけでなく、見守るユキリナとマコルもその辺り一帯の冷気に身震いする。
「さ、寒い…。カナダに居るみてぇだ…。」
「こ、これが…ソニアさんの気獣能力!?」
髪から全身まで霜が積もっていくユーゴをソニアは余裕綽々と見下す。
「肉弾戦は互角でも気獣能力で差が付いたようだな…。」
ソニアは更に気力を高め、シベリアンタイガーの気獣聖霊デッドリー・タイガーが冷気を支配する。
「にゃ、ニャゲゲ…こ、この私の振動波が冷気などに...。」
身体がガチガチに固まったユーゴにソニアは突進から逆さまに掴み上げ、そのまま空中に押し上げる。
「ちゃんと肉弾戦でケリを付ける…。デッドリー・スクリュー!」
冷気の竜巻と共にユーゴをパイルドライバーに固めたソニアは凄まじい回転と共に彼女を地面に沈める。
「にゃ、ニャゲ…。」
ユーゴは地面にめり込んだままKOされ、南北猛虎対決はソニアに軍配が上がる。
「あ、あわわ…ゆ、ユーゴさんが敗れるとは…。」
狼狽えるマコルにソニアが近付いていく。
「セイヴァースが何を企んで気獣能力者をこの島に集めたのかは知らないが…無駄な抵抗は止めるべきだ…。」
「て、抵抗だなんて…滅相もありませんですハイ…。」
「ならばさっさと進化の輝石とやらを渡せ…。」
「あ、ああ、その輝石でしたら…あのユキリナさんが持ってますよ!」
ソニアとユーゴの肉弾戦の最中に輝石を拾い上げたユキリナだが、それをマコルに見通されて暴露された。
「わ!やべぇ…。これは持って逃げねぇと…。」
しかし、まだ足が感知していないユキリナにソニアがすぐに追い付く。
「今の戦いを見て分かった筈だ…。この島は気獣能力が無い者が踏み入れてはいけない場所だと言う事が…。」
「ソニアだったっけ?頼むよ!この輝石が無いとあたしの守るカナダの大自然がめちゃくちゃになっちゃうんだ!だからこれを譲って欲しい!」
ユキリナの純粋な願いにソニアは一瞬立ち止まるが、目を閉じたまま、ユキリナに強烈なボディブローを炸裂させて失神させる。
「あ、あうう…。そ、そんな…悪い人じゃないと思ったのに…。」
非情にもユキリナから輝石を奪い取ったソニアは、今一度マコルに問う。
「この輝石を手にし、島を出れば賞金だったな?」
「あ、ハイです!その通りですハイ!但し他の気獣能力者に輝石を奪われたり、KOされたらゲームオーバーですよ!」
ソニアは何も返答する事なく、冷気と共に高速化して消える。
一気に優勝候補となった謎の三人組の一人ソニアが海岸目指して急行する。
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