【18】紀藤宗也の独白(6)
昨晩私は夢を見ました。
それは少女の夢です。
その少女の顔には靄が掛かっているようで、はっきりと認識出来ません。
しかし私は、それが誰なのかは分かっていたようなのです。
少女は私に言いました。
『ソウヤ君、<#&$%!>って知ってる?
<#&$%!>を
面白いやろ?』
少女の顔はハッキリと見えないのですが、その子がそう言いながら笑っていることだけは分かりました。
そしてその子が口にした<#&$%!>という言葉が、何故だかとても不吉に感じられたのです。
でもその言葉が何なのか、私には思い出せないのです。
目が覚めた後、私は夢の中で聞いた<#&$%!>という言葉を思い出そうとしました。
しかしどうしても思い出せないのです。
そのことが私を、とても不安にさせるのです。
五十嵐さんから調査結果を聞いた後も、私の頭の中は<廉井徳夫>のことで一杯でした。
仕事をしていても、気がつくと<廉井徳夫>のことを考えてしまっているのです。
その結果、私のパフォーマンスは極端に低下してしまいました。
今日も週一回の面談で、上司からそのことを指摘され、厳しく叱責されました。
上司の指摘は全く正しいのですが、そのネチネチとしつこい言い方に、私はとてもストレスを感じてしまうのです。
私の上司は常に冷静で、部下に対して声を荒げることはありません。
しかし同じことを冷たい口調で、何度も何度も繰り返すのです。
その言葉を聞く度に、私の気持ちは暗く沈んでいきます。
勿論非は私の方にあるのですが、最近になって上司との面談が、どうしても耐えられなくなって来ています。
このままでは拙いです。
私の精神の均衡が、崩れそうになっています。
何とかしなければなりません。
何とかしなければ。
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