第6話 なんでもあるふく屋さん
…なるほどな。
「え、めっちゃこわかったよ?」
「そうだな、特に最後。なんか伏線回収みたいなのがゾワってしたな」
「さて、感傷に浸るのもいいですがまだ一周目だ。この後24話分の余力は残しておいた方がいいでしょう」
「じゃあ次は…」
「言われなくとも。2周目ね」
本当に何故こいつらは僕を呼んだんだ?
単純に数合わせなのか?
本当に昔から不運体質だなぁ。
『ふく屋さん』
とある街の一角。
大きなショーウィンドウに着飾られたマネキン。
ハイカラファッションから和服、軍服…
なんでもあった。
特に服とか興味ないけど、この店が気になって入ってみた。
「…! いらっしゃいませ〜」
店員がびっくりしている。見つけてしまったか
…穴場を
「どういった服をお探しですか?」
服屋あるある
外国語の歌がかかっている。ロック調の
あと店員が話しかけてくる
苦手なんよなこれ…
「ここはどういうコンセプトのお店なんですか?」
“has everything”(なんでもある)
「ここの店名そのものです!
なんでもそろう!それがこの店のコンセプトです」
あー。なら、ここならすぐに見つかるかな?
「なにかお探しのお洋服はございますか?」
「じゃあ…この子に似合う服を」
私はスーツの内ポケットから少女の写真を取り出して見せる。
「…!その子は!」
「ああ。私の右腕だったんだけどね。せめて最期くらいはいい服着せてやりたいじゃないか」
「その子は…私の…」
「…知っているのかな?」
「いえ…見間違いですね。
今お似合いのお召し物を探して参ります。
なにせここには “なんでもあり” ますから」
《ビンゴだ。行くぞ
「お待たせいたしました。
…まあもういないですよね
なにせ、警察を呼んだんですから。
ね?この街の悪いマフィアさん」
店員は遠目でも分かるくらい上質な白い着物を腕に下げ、そうつぶやく。
「…あいつ、俺らが攫ったと思ってるんじゃないっすか」
「だろうな。まったく…」
なにが俺らのとこに来るのに
〈家族全員をやりました〉
だよ。
“ひとり残ってるじゃねえか。聞いてるんだろ”
『あ〜後で始末しておきます。』
死装束は赤に染まる。
布が血溜まりを吸いきれなくなった頃合いで警察が駆けつけたという。
僕は蝋燭をふーっと吹いた。
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