爪切り

入院してからの初体験。

爪を切ってもらった。

僕はアトピーでガサガサが基本だから、爪なんてすぐに欠けてしまう。

だから割れないようにマニキュアを塗るようにしていて、爪が保護されるきれいに見えて気分も良くなるからそれに合わせて爪はちょっとのばしぎみにはしていた。

ステロイドの点滴をしてからはアトピーの傷も治されて肌はつるつるだし、爪も強くなって割れにくくなったので身体はしんどかったけどそのあたりはとても嬉しかった。

とはいえ両腕は痺れてるし、使えば使うほどどんどん重たくなるし、二の腕から先がもう腐ってちぎれ落ちるんじゃないかと思うくらい痛いし重かったから爪を切るなんてとても出来なかった。


入院して腕をあまり使わなくて良くなったので5日目あたりから“腐ってもげそうな痛み”はましになったけど、常にビリビリしてるから力が入らなくて爪切りはできなかった。 

看護師さんが僕の爪が長いことに気がついてくれて、助手さんが爪切りに来てくれた。

颯爽と現れてパチンパチンと丁寧にキレイにしてくれた。

ネイルサロンなんてものにすら行ったことがなかったから人に切ってもらうなんて申し訳がなくてちょっとドキドキした。

手の爪も足の爪もピカピカにしてもらって良い気持ちだ。


彼女の爪を切ってくれていたのは週に一回訪問に来てくれる看護師さんだった。

とてもとても彼女をかわいがってくれる最強の味方だ。

僕が切るべきだったんだろうけど、彼女は心臓が弱いせいなのか、染色体異常の影響なのか、変わった爪の形をしていたから、爪切りの時に傷つけてしまったことがあって怖くなって、毎回訪問看護師さんにお願いしていた。

彼女は体力がないからお風呂にはほとんど入れないし、洗髪ですら週に一回の訪問看護に合わせて体調の良い時のみお布団の上で。だ。

体調が悪いときは爪切りだけでも。みたいな感じだったからご不満なのではと思っていたけどこれはこれで良い時間だったんだろうな。

彼女は構われるの触れるのが大好きだったから、たくさん触ってもらって指先がさっぱりして気持ちよかったんじゃないだろうか。また一つ発見できた気がする。

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