ホラーには欠かせない湿度描写ですが、特性上多くの作品が不快材料だけになりがちのところこちらの作品はどこか美しく品の良さを漂わせています。それでいて、ちゃんとグロテスク。ストーリーはやや難解な部分もありますが、考察が捗る仕様なので何度も楽しめる短編かと思います!良きホラーでした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(253文字)
内容の描写がとても美しく、怖さよりもその美しさに惹かれました。神聖さと災厄の二面性をもつ結界での「音」と「無音」の演出が巧みで、それを意識しながら読み進めていたところ、まさかのラスト2行。すべての(自己流ながらの)解釈がつながり、煩悩や混沌を抱えたまま生きていく覚悟を問うようなラストに、読者の想像力が刺激されました。多様な解釈を許す面白さも感じられました。