第6話 6個目
ある日の可哀想な可哀想な女の子の
松田ゆなのお話。
やだなぁ、行きたくないなぁ
今日もまたイジメられるのかなぁ
そう思いながらまたランドセルを背負い
飼い猫のニャーゴを撫でて
猫背で下を向く顔を無理やり家から追い出した
ゆなはいつもはなちゃんにイジメられてる
いつも机にはバカやクズや生きる価値のない無能
ありきたりな悪口を書かれてあきあきする
そして今日も教科書とか諸々捨てられてた
ゆなが見てない隙に捨てたんだろうな
「ププッ!また学校来てる!」
はなちゃんはいつもと変わらず健全らしい
「あ〜いい気味!ホント、
もう学校来ないでほしいわ!」
「ホントホント!」
取り巻き達が同情の声を上げていく
なんでゆななんだろう、
憂鬱な学校が終わってまたランドセルを背負う
「あー、手が滑ったわー」
『バコン』
ゴミ箱がゆなの方へ投げられる
給食の残りなどが入ったゴミ箱は
腐ったネズミみたいな臭いがした。
そのまま歩きながらゴミ箱をはらう
ランドセルに緑とか黄色とか変な色が着いていた
それを公園の水道の水で洗い流した
このままはなも流れちゃえばいいのに
水で少しヌルッとしたランドセルを
抱えながら家へ向かった
家はゴミが溜まりつつあった
捨てることも出来たけど
今はそんなことしようとも思わない
自分の部屋、と思っている部屋にランドセルを
置いて座り込む。
奴隷座りをして脚の間に顔を埋める
「にゃーご」
ニャーゴが擦り寄ってきたニャーゴを抱っこし
ながらニャーゴの背中に顔を埋めた
この一週間はゆなにとって史上最悪の
一週間となる。
今日もまた学校へ行く
ランドセルを背負いニャーゴの姿を探す
どこを探してもニャーゴが居ない
散歩にでも行ってるのかな?
学校へ行ったらはなちゃんがこっちを
いつもと違う冷たい目で見ていた
何か、何か嫌な予感がしていた
今日もまた机の悪口が増えてた
どうせ消してもまた書かれるから
もう消すのはやめた
家へ帰る途中、嫌なものを見た
あの短く曲がったしっぽ
白とうす茶色に描かれた柄の毛
少し小柄で痩せている体。
きっとあれはニャーゴだ
こんな固くて硬くて熱くて暑い
コンクリートの上で、
目を薄目に開けながら
口を開けているニャーゴ
寝ているのかな
カラスが寄ってきてる
襲われちゃうよ、起きて
起きて、
「、、、」
ゆながニャーゴに近寄るとカラスは
ゆなを避けるように避けていった
ニャーゴを抱き抱えたら
カラスは獲物を取られたのかと思うほど
ゆなの髪を強くつついた
服を引っ張られて
ニャーゴが取られそうになって
私は必死に抱き抱えて
家に帰ると
所々切り傷が着いている私と
もう冷たくなったニャーゴだけになった
やっぱりもう
ニャーゴはここにはいないみたい
私は近くにあった
私が小さい頃に買ってもらった
服を繋げて紐を作った
それを繋げて上に引き付けた
そこら辺にあったゴミを重ねて足場を作った
怖い、怖い
泣きたい、けどそんな暇は無い
私は足を踏み入れた。
『ギイ、ギイ、ギイ、ギイ、ギイ、ギイ』
定期的に鳴るリズムと
同じ動きに揺れる視界、足、手
口から何かが垂れてくるけど
もう顎の力は無いんだろうな
視界の隅ではニャーゴが横たわっている
もうおしまいなのかな
 ̄松田ゆな ̄真沢花 ̄ニャーゴ(三毛猫) ̄
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