第7話 7個目

これはもしかしたら私たちにも

起きたかもしれないある学生の話。

「はぁ、はぁ、はぁ、ギリギリセーフ、」

今日は遅刻してギリギリで学校へ来てしまった

今年は2028年だ、戊申年であり閏年でもある

そして今日は8月7日俺の誕生日だ

今日という日は俺にとってきっと

いい日になる、そう思ってた。

『バッこーーーン』

そんな大きく、耳が痛くなるほどの

俺が日常を過ごす上で聞かない音だった

その音が聞こえた瞬間、間も無く

目の前が真っ暗になった

「は?!なに、ここなんだ!何が起きた、」

ヒリヒリと皮膚が痛く、

何か焼けるような匂いと

焼けるような痛さ、バチバチと鳴る

なんの音だなんでこんな痛いんだと

もがこうとも身体は動かない

ヒリヒリと傷んでいた傷はやがて

ジリジリとに変わっていった

「ば、あ、だ、ぁ、だ、た、」

そんな情けない、薄っすらとした声

喉が掠れる、喉が痛い、喉が開かない

目の前がメラメラと燃えていて

なんだ火事か、目の前が真っ赤で熱い

取り敢えず痛くて暑い

暑いというより熱いという方がいい

焼けている、焼肉のように

自分の肉が焼けているのがわかる

何が起きたのか、建物がグラグラと揺れている

建物が揺れているのか

俺が揺れているのかわからなかったが

目の前で人が通り過ぎていくのがわかる

バタバタと、目の近くでシューズの擦れる音と

靴下と、素足で歩く人も居た気がする

もう意識がグラグラと下がりつつある

それと同時に焼けるような熱さも

体全体にあった痛さも

全てがスーーッと痛くなる

俺はどんな見た目をしているのか

人が通って、下に俺がいるのが分からない

そのくらい俺は人としての

原型をとどめていないのか、

多角面から見る俺は真っ黒に焦げて

半目で口が半開きで、

本当に人の形をしていなかった。

あの目の前を走っていた人が

俺の事が分からないのも訳はない

制服もなくなり皮膚もなくなり

肉も黒く焦げて見えない俺を。

もう日常を過ごせない俺を、

これを見てる人はどう思うのか

俺はこの後死体として認識されて

ちゃんと他の人と同じように扱われるのか

俺は死んだ

誰からも見つからず

きっと俺の遺体が見つかることはないだろう

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