第5話 クリスマスの告白と受験期の試練
クリスマスが間近に迫る週末、カフェの窓からきらめくイルミネーションが、まるで二人の心模様を映し出すかのように瞬いていた。温かいコーヒーと、ふんわりとしたスコーンの香りが漂う中で、俺と葵は参考書を広げたまま、いつの間にか将来の夢や、互いの受験への本音を語り合っていた。葵の横顔は真剣で、時折、質問に答える俺の言葉に、小さく頷く。その真摯な眼差しは、高校の図書室で眺めていた彼女と何ら変わらない。むしろ、こうして二人きりで話すことで、彼女の秘めたる情熱のようなものが、じんわりと伝わってくる気がした。
別れ際、カフェを出て、冬の澄んだ空気が二人の間を包み込んだ。冷たい空気が肌を刺す。葵が少しだけ俯いた。その細い肩が、わずかに震えているように見えた。
「ね、葉山くん」
葵が意を決したように、そっと俺の腕を掴んだ。その指先から、微かな熱が伝わる。俺が驚いて振り返ると、彼女の瞳が、きらめくイルミネーションの光を宿して、まっすぐに俺を見上げていた。その瞳に、夢の中の彼女と同じ色が宿っているように見えた。
「もし、私たち、同じ大学に通えるようになったら……その、私と、交際しませんか?」
葵の声は、冬の夜空に吸い込まれるように小さかったが、その瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。俺は言葉を失った。まさか、葵の方から告白してくるとは思わなかった。夢の中の出来事が、今、現実になった。いや、夢の中では俺が告白したはずだ。それでも、目の前の現実が、夢と寸分違わぬ甘さで俺の心を揺さぶっていた。その沈黙が、葵には永遠のように感じられただろう。
その沈黙を破ったのは、俺の唇だった。夢の中でいつもそうであったように、何の言葉も発しなかった。しかし、俺の瞳は、はっきりと「イエス」を語っていたはずだ。俺のがっしりとした両手が、葵の華奢な顔を優しく包み込んだ。掌から伝わる温かさと、微かな震え。葵の肌はみるみるうちに紅潮し、熱を帯びていくのがわかった。
俺は、葵の大きく見開かれた瞳をまっすぐに見つめ、ゆっくりと顔を近づけた。そして、吸い込まれるように、その唇をそっと重ねた。
それは、甘く、深く、そして長いキスだった。葵の唇から伝わる熱は、俺の心臓に直接響くようだった。俺の舌が、葵の唇を優しくなぞるたび、甘い痺れが全身を駆け巡った。葵の体はびくりと震え、吐息が甘く乱れる。俺の腕が、葵の腰に吸い付くように回され、ぐっと引き寄せられた。密着した二人の体の間から、互いの心臓の激しい鼓動が響き合う。俺の指が、葵の背中を優しく撫で上げ、薄手のコート越しに、脊椎の柔らかな窪みを探るように滑る。その微細な動きが、葵の心の奥底にまで甘い痺れを伝えていく。
夢の中の記憶が、走馬灯のように脳裏を駆け巡った。現実の葵から与えられたこのキスは、夢の中のどのキスよりも、遥かに甘く、そして深いものだった。唇が離れると、葵の顔は羞恥と陶酔で真っ赤に染まっていた。俺の瞳には、限りない愛おしさと、達成感に満ちた輝きが宿っている。
冬の夜空の下、きらめくイルミネーションが、二人の間に生まれた新しい絆を祝福しているかのようだった。その夜、俺は至福に包まれながら眠りについた。夢の中では、葵との関係は日に日に深く、濃厚になっていく。抱きしめ合い、唇を重ねるだけの関係は、あっという間に過去のものとなり、互いの体を深く求め合うようになった。
だが、現実は甘くない。クリスマスのキス以降、本格的な受験シーズンに突入した。大学入学共通テストが目前に迫り、プレッシャーは日増しに重くなる。葵との交際は始まったばかりだが、互いに学業に追われる日々で、デートどころではない。学校や図書室での会話は増えるものの、現実ではキス以上の肉体関係には至らない。あの甘いキスが、唯一の、そして遠い記憶となりつつあった。この焦れったさに、俺は日々葛藤を抱えていた。
そんな現実のストレスとは裏腹に、夜の夢は、俺たちの関係をさらに深く、濃密に描いていく。
夢の中の葵は、いつも俺の願望を全て受け入れてくれた。
服の上から愛撫するだけでも、既にそこには甘美な快楽が広がっていた。俺の腕が、葵の肩や腰に回される。薄手のニット越しに悠斗の掌の熱やがっしりとした感触を感じる。葵の体が微かに震え、呼吸が浅くなる。その震えは、羞恥ではなく、抗いがたい快感からくるものだと、夢の中の俺は知っていた。
さらに親密な場面では、服を脱ぎ、下着の上から愛撫することもあった。衣服が取り払われ、下着姿になる。ブラジャーは淡いピンクのシンプルなデザインが多く、その下の肌が透けて見えるようなブラウスの描写は、夢の中でさえ俺の目を奪った。俺の掌がブラジャーやショーツの薄い布越しに胸や臀部、太ももの内側に触れる。葵が
布一枚隔てた肌の温もり、柔らかな弾力、甘い痺れを感じる。特に、ブラジャーのカップから盛り上がる豊かな胸は、見る者の視線を釘付けにした。その感触は、言葉よりも雄弁に、彼女の開放的な心を物語っていた。夢の中の俺は、葵の健康的な弾力に満ちたヒップを、布越しに吸い付くような柔らかさで確かめた。
そして、夢はさらに深まり、肌に直接愛撫することへと進んだ。下着も取り払われ、肌と肌が直接触れ合う。俺の唇が、葵の首筋の柔らかな皮膚に触れると、そこは甘い熱を帯び、ゾクリとした快感が走った。掌や指先が葵の肌を直接撫でる感触(温かさ、滑らかさ、弾力)は、夢の中ですら現実以上のリアリティを持っていた。葵の肌の粟立ち、心臓の鼓動の加速、吐息の乱れ、甘い呻き が、俺の耳に直接届く。脇腹や腕の内側といったデリケートな部分への接触は、くすぐったさから始まり、やがて甘い痺れへと変わっていった。
挿入には至らないものの、俺たちは夢の中で、互いの身体の探求を深め、快楽と精神的なつながりを極限まで高め合っていた。夢の中なら妊娠の心配がないという俺の割り切りが、俺の行動をさらに大胆にさせた。現実での受験生活の忙しさの中、夢の中の俺たちは、体力の限界など存在しないかのように、限りなく互いを求め合った。
朝、目覚めると、枕は汗でじっとりと湿っていた。肌にはいつも薄っすらと寝汗が滲み、時には股間が濡れて、下着が夢精による粘り気のある熱を帯びた液体で汚れている。心臓は朝から激しく脈打ち、しばらく動悸が治まらなかった。サッカー部で鍛えられたはずの自分の体は、かつてないほどの性的興奮によって体液が分泌されたような痕跡も残していた。
夢の中の葵の笑顔、甘い吐息、そして俺の腕の中で溶けそうになる彼女の体温は、現実の俺の葵への願望を日に日に強めていった。夢のリアリティと現実の乖離に戸惑いながらも、俺は、いつかこの夢を現実にする日を夢見ていた。
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