第11話元雑用係、獣人族と会う
眩しい光が数秒の間辺りを包み込んだ。
次第と収まり手の指の隙間から覗くように見た。
すると、そこにいたのはケモミミを生やした小さい女の子だった。
「あれ?猫はどこに行ったの?」
目の前のケモミミを生やした少女に聞いた。
少女は「え?」と言った。
「私ですよ!私がさっきの猫です!」
少女は、小さい体で目一杯の主張をしていた。
「え?あっそうなの」
私は目の前の出来事に理解ができなかった。
今まで生きてきて見たこともない光景だったからだ。
「お姉さん大丈夫?」
少女はジャンプをして手を私に視界に入るように振っていた。
なんだか、不意にかわいいと思ってしまった。
「……ごめん。少し考え事してたんだ」
「そうなんだ。お姉さんは運がいいねぇー」
「どういうこと?」
「お姉さんは選ばれたんだよ」
「選ばれた?」
少女の言っていることがよく理解ができなかった。
少女は私の手をひっぱりどこかへ連れて行こうとしているが……
彼女の力が弱すぎて私はピクリとも動かなかった。
「お姉さん、重い……!」
私はその言葉に少しイラッとした。
少し力を入れたら少女はすとんと地面におしりを着いた。
「お姉さん……ひどいよぉ!!」
そう言い、少女は泣き始めた。
私はそこまで追い詰める気がなかったのだが……
こんな小さい女の子を放おってはおけず……
とりあえず、私は少女を抱きかかえてギルドに戻るのだった。
***
――それから三週間後。
フランが追放されていた、神域では。
「なぜ、フランを追放したのか」
「フランは追放するほどに値しない」
逆の意見も持つものがいた。
神域メンバーの定例会は今までにないほど荒れた。
「アルペリカ団長!なぜフランを追放したのですか!」
「なぜって……彼女が無能だからですよ」
「無能って……彼女は立派な魔術師ではないですか!」
神域メンバーの真面目な性格を持つ彼が言った。
だが、そんな言葉はアルペリカには全く響いていなかった。
「君、そんなことを言っていると追放しますよ」
そして、時間だけが経過していった。
定例会を閉めようとしたとき、神域メンバーで唯一女性だったフランの元部下が言った。
「あの……私が言うのもおこがましいのですが……」
その様子を見ていたアルペリカ団長は興味を持ったのか発言を許した。
「私の元上司のフラン様によると、神域メンバー今年の経費と予算の計算が赤字ですね」
それを聞いた一人の神域メンバーが勢い良く机を叩いて言った。
「それはどういうことですか?アルペリカ団長。今年の予算は過去最高額ですよ。誰が一番使っているか調べればすぐわかるんですよ」
「調べて何になるんですか?私が一番使っていると言う証拠があるのですか?」
口をモゴモゴと動かし反論しようとしていたがやがてゆっくりと座った。
「では、今回の定例会はおしまいにします。解散」
そう言うと、数名の神域メンバーが速やかに退席するのだった。
「……フランがいた頃は、こんな話は出なかった」と幹部の一人がぼそっと言うのだった。
***
ギルドに戻ると、受付嬢とセナがまだ喧嘩をしていた。
その声はギルドの外でも聞こえるくらいだった。
中に入ると、二人は一斉に私の方へと視線を向けた。
「フランさん!戻ってきたんですか……あれ、その小さい女の子は?」
「あぁ……これはね」
説明しようとしたら、少女が元気満々で自己紹介を始めた。
「私は、アルセだよ!ここらへんでは珍しい獣人族だよ」
「獣人族!!?」
その言葉を聞いたセナはアルセにものすごい勢いで距離を詰めて言った。
「お主、獣人族と言ったなそれは本当なのか?」
「本当だよー」
アルセはいつの間にか隠していたケモミミを出した。
すると、セナは目をキラキラさせながら言った。
「耳触ってもよいか!??」
「ヤダ!」
アルセは即答した。
セナは少し気を落としながら自問自答をしながらギルドの端に座り込んでしまった。
そんなのを気にせず受付嬢は言った。
「フランさん、その子どうしたんですか?」
受付嬢の質問に、薬草を採取した際の出来事を話した。
それを聞いた受付嬢は少し疑問を持っていた。
「獣人族は、南の大陸にいるんですよ。この大陸にはいないはずです」
「南の大陸?他にも大きい国があるんですか?」
「えぇ、昔からの言い伝えですけどね。正式には載っていない情報ですよー」
そんな会話をしていると隅っこ丸まっていたセナが言った。
「昔、獣人族の子と依頼をクリアしたことあるぞ」
「え?本当ですかそれは」
「本当じゃぞ。あのときは至福の時間だったなぁ」
と、セナの長い語りが始まってしまった。
そんなセナを置いておいて、私は受付嬢に言った。
「とりあえず、薬草奉納したいです」
「あっはいはい。では、確認を」
私は薬草を渡した。
「はい。確認しました。お疲れ様でした」
もう用がないなと思い、帰ろうと背を向けると受付嬢が言った。
「アルセさんを絶対に他の人に見せないでくださいね!」
受付嬢は、いつもより声のトーンを落として言った。
意味深な言葉を受け取り私はギルドを出た。
もう外は夕暮れ時だった。
アルセに言った。
「アルセ?他の人に見られても良いような姿ない?」
「うーん……まぁあるけど」
アルセは立ち止まり、再び白い光を放った。
光が収まるとそこにいたのは出会ったときの猫だった。
「にゃー(これどう?)」
「いいね。じゃぁ帰ろうか」
なにか、私は忘れているように感じたが宿にはマリーが待っているということしかもう脳がなかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます