第5話 想定外の訪問者
翌朝。柔らかい温もりに包まれて目が覚めたら……マリーだけでなく、フローラまで俺に抱きついていた。
えーっと、ホムンクルスは寝相が悪いのか?
俺の右腕が、柔らかい膨らみに挟まれているのだが。
そんな事を考えながら、文字通り目と鼻の先にあるフローラの整った顔を見つめていると、突然長いまつ毛が持ち上がる。
「……おはようございます。マスター」
「お、おはよう。えっと、その……」
「……あの、申し訳無いのですが魔力供給をお願い出来ないでしょうか。マリーよりも身体が大きい分、夜間の補給モードだけでは魔力が最大まで回復しないのです」
あ、そうい事か。
フローラは俺に魔力補給してもらおうと思ったけど、魔力不足で動けなくなって、変な体勢のまま止まってしまっていたんだ。
魔力補給を行うのは初めてだけど、何とか右手を動かし、フローラに触れ、魔力を送る。
「んっ……」
「どうだ?」
「マスターの魔力は、凄いです。僅かな時間で、大量の魔力が送られてきました」
そう言って、フローラが起き上がり、少ししてマリーが起き……ないな。
「マリー、朝だぞ」
「んー、ますたぁ、おはよぉー」
「まだ眠たそうだな」
「んーん、大丈夫ー」
うーん。こういう仕草も小春ちゃんに似ているんだよなぁ。
フローラは俺のイメージから作ったけど、具体的な誰かをイメージすると、その誰かの言動に似たりするのだろうか。
ただ、スキルの説明にはそんな事は書かれていなかったが。
そんな事を考えながら、パジャマから着替え……まだ眠たそうなマリーから着替えさせて欲しいと言われたので、フローラにお願いしておいた。
その間に洗面所で顔を洗い、キッチンヘ。
「ますたー、今日は何を作るのー?」
「ベーコンエッグだよ」
「ベーコンエッグー?」
フローラにも来てもらい、二人にベーコンエッグの作り方を教える。
美味しくいただき、後片付けを済ませたところで、今日はいよいよ教会の内装を直していこうと思う。
この廃屋のような元教会は、建物を支える柱こそ無事なものの、ところどころ壁や屋根が壊れている箇所がある。
現在、普通に使えるのは、一番奥の魔法陣を描いた錬金部屋と、キッチンと風呂場に、寝室代わりにした小部屋の四つだけで、聖堂を含めた他の部屋は使える状態ではないからな。
「昨日、フローラが掃除してくれたおかげで、普通に寝泊り出来るようになった。本当にありがとう」
「マスター、礼は不要です。私の仕事ですので」
「ますたー! マリも! マリもお掃除するー!」
昨日とは違い、水色の可愛らしい子供服に身を包んだマリーが手を挙げて、ピョンピョンと飛び跳ねる。
あまり幼い子供に働かせたくはないのだが、暇を持て余すのも可愛そうだし、掃除はマリーに頼もうか。
「じゃあ、マリーは寝室のお片づけをお願い出来るかな? 毛布を畳んで、箒で床を綺麗にしようか」
「わかったー! マリ、頑張るねー!」
マリーが嬉しそうに走って行ったので、次は俺とフローラだ。
「フローラ。今日は掃除をマリーに任せて、俺と一緒に壁を直していこうと思う」
「承知しました」
「じゃあ、奥の方から順番に直していこうか」
教会として利用するなら、真っ先に聖堂をなおすべきなのだろうが、そんなつもりは全く無いからな。
外見はボロボロだけど、中は綺麗……という秘密基地的な家にしたい。
という訳で、穴の開いている壁を魔法で綺麗に壊し、ガレキをインベントリに収納する。
次は土魔法でレンガを。錬金魔法でセメントを作り出し、フローラと一緒に黙々と積み重ねていく。
「ますたー! お掃除が終わったのー!」
「マリー、お疲れ様。ありがとう」
「それでねー、ゴミをお外に捨てに行った時、これをますたーに渡してーって言われたのー」
「ん? 手紙?」
何だろうか。
鑑定スキルを使用したところ、特に爆発物や毒といった危険なものは仕込まれていない。
ひとまず封を開けて中を見てみると、女性の字で短い文章が書かれていた。
『この子の名前はノアです。神父様……どうか、この子をよろしくお願い致します』
――っ!? ちょっと待て! これって、もしかして!
「マリー! これを渡してきたのは、どんな人だった!?」
「え? どんな……って、外にいるよー? マリより小さな女の子ー」
外にいるだとっ!?
大慌てで教会から出ると、門のすぐ傍に四歳くらいの幼い女の子が一人でしゃがみ込んでいた。
ピンク色のリボンで短い髪の毛が括られていて、くすんだボロボロの服を着ている。
「…………の、ノアちゃんかな?」
「うん。あのね、ママがしんぷさんに、おてがみをわたしなさいって」
いや、誰が神父さんだよ。
待ってくれ……ここは、巨乳美少女との愛の巣になる予定なんだ。
あくまで俺の錬金魔法研究所であって、孤児院じゃないんだよぉぉぉっ!
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