第4話 巨乳美少女と幼女と一緒にお買い物
「わーい! お買い物ー!」
マリーと手を繋ぎ、フローラも連れて、村へ子供服を買いに行く事にした。
本当は、もう一体幼女ホムンクルスを作って、性格の検証を行いたかったのだが、マリーが天真爛漫というか自由というか、全裸のまま走り回ったり、俺に抱きついてくる。
流石にこれはどうかと思い、フローラ用に買っておいたシャツを着せ、腰の部分を紐でベルトのように結んでいるのだが、すぐにいろいろと見えてしまう。
なので、ちゃんとした服を買おうと思った訳だ。
「ますたー! あれ、なーにー?」
「あぁ、あれは村の共用の井戸だよ。地中の水を汲み上げるんだけど、うちは俺が水魔法で水を出せるから使わないかな」
「へぇー! ますたーは凄いんだー!」
「いや、水魔法は中級魔法までしか使えないから、そんなにかな」
マリーに凄いと言われたものの、俺は万遍なくスキルを取っているから、ある程度何でも出来る反面、極めたスキルは錬金魔法しかない。
なので、良く言えばオールラウンダーだが、悪く言えば器用貧乏なんだよな。
「ますたー! ちょうちょー!」
「本当だ……って、マリー!?」
「あーっ! どっか行っちゃったー!」
マリーが俺の手を離し、蝶々を追いかけて走り出してしまった。
……割と、この辺りも小春ちゃんに似ている気がする。
いや、六歳だとみんなこんな感じなのか?
とりあえず、紐が解けていろいろと危険なので、結び直し……マリーを抱きかかえて行く事に。
それなりに大きな村の中を暫く歩き、目的の服屋さんに到着した。
「あ、ここだ。すみませーん」
「あら、アキラさん。こんにちは……って、娘さんがいらっしゃったんですか?」
「娘……というか、預かっている子供ですね」
店主の女性に聞かれ……ちょっと失敗したな。
娘と言い切りたかったのだが、髪の色も目の色も違うし……今後は、俺一人で買い物する事にしよう。
「違うのー! マリはお嫁さんなのー!」
「あらあら、アキラさんはモテモテねー」
「あ、あはは。あははは」
マリーと店主の言葉に乾いた笑い声をあげるしかなかったが、それはさておき、マリーに好きな服を選ばせてみる。
「マリーはどんな服が好きなんだ?」
「んー、可愛い服ー!」
「じゃあ、こういうのは?」
「わぁ! かぁいいー!」
よし、これを買おう。
マリーが喜ぶ様子を見て即決し、あと何着か買っておこうと思ったところで、フローラの視線に気付く。
「フローラも好きな服を買って構わないんだぞ?」
「いえ。私はマスターにいただいた服があるので大丈夫です」
「いや、金の事なら心配しなくて大丈夫だぞ? これまでに蓄えた資産が結構あるからな」
まぁ、これまで……というのが、別の異世界の事なので、この世界で使えない金貨を錬金魔法でインゴットにしたりする必要はあるが。
ただ、それでもフローラには要らないと言われてしまい、結局マリーが可愛いと言った服や下着類を多めに買っておいた。
しかし、一度に纏めて買い過ぎただろうか。店主が時折変な目を俺に向け、奥にいる別の女性従業員とヒソヒソ話していた気がする。
この大量の服は、これから性格の検証で幼女ホムンクルスが増えるので、事前に買っておいただけなんだけどな。
「ますたー! 次はどこへ行くのー?」
「食料品店だ。二人に料理を教えてあげようと思ってね」
流石に、もう昼の炭は食べたくないからね。
食料品店の後に、金物屋にも寄って調理器具を買い……うん。インベントリがあって、本当に良かった。
一度に纏めて買い過ぎだと言われればそうだけど、荷物を持ち運ばなくて良いからね。
ただ、このインベントリスキルは意思のあるものは入れられないので、まだ生きている魚などを買う時は注意が必要だけど。
「ますたー! 次は……くぅ」
「マリー? 疲れて眠ってしまったのか」
抱きかかえていたマリーが喋っている途中で、電池が切れたように動かなくなり、眠ってしまった。
フローラ曰く、これは魔力切れらしい。
身体が小さいので体内に貯めておける魔力量が少ないのと、動き続けているので魔力の消費が激しいのだとか。
……大人しい性格の子なら、同じくらいの年齢でも魔力が切れたりしないのかな?
「マスター。マリーは補給モードになっています。周囲の魔力を取り込んでいるので、時間が経って一定量まで回復するか、マスターが魔力を注げば目を覚まします」
「んー、無理に起こすのも可愛そうだし、このまま寝かせてあげよう」
もしも俺が異世界で生きてきた時間相応の実年齢だったら、これくらいの娘がいてもおかしくないのだろう。
そんな事を考えながら、廃屋の教会に――俺たちの家に帰り、毛布を敷いてマリーを寝かせる。
「さて、フローラ。今から、シチューの作り方を教える。一緒に作るから、しっかり学んで欲しい」
「承知しました」
そう言って、キッチンへ。
シチューのルーなんて存在しない世界だけど、異世界で二十年も自炊しているし、料理スキルも習得しているので、そこそこの味が出せる。
先程買った根菜と鳥肉を一口サイズに切って炒め、バターと小麦粉、牛乳を加えて煮込む。
「そろそろ良いかな。フローラ、食べてみて」
「味見致します。……美味しい」
「だろ?」
「はい。マスターの料理……学習しました。これからのお食事はお任せください」
いやあの、毎食シチューっていうのも困るんだが。
とはいえ、スローライフに向けて大きな前進だと思っていると、マリーがキッチンに飛び込んできた。
「何か、美味しそうな匂い……あーっ! ずるーい! マリも食べるー!」
「そうだな。晩御飯にしようか」
「……器を準備いたします」
買ってきたパンと温かいシチューで美味しい夕食を済ませ、一日を終える。
うん。これまでの戦ってばかりの異世界とは全く違い、俺が願っていた穏やかで幸せな生活だ。
ただ、一つだけ懸念事項がある。
「……すぅ」
「ますたー……おかわりー……くぅ」
すぐ隣でフローラが眠る一方で、マリーが俺にしがみ付いたまま眠って離れない。
しかも、ご飯を食べている夢を見ているのか、甘噛みしてくるんだが。
もしかして、これから幼女ホムンクルスが増えたら、みんな俺の上に乗っかってくるのだろうか。
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