――上岡龍太郎さん――
陽二さんと初めて会った日は、昼前に京都の代理店に着いた。
遅れて出勤した事に関して、しこたま、嫌味を言われた。
その日は、夕方にKBS京都で担当していた《上岡龍太郎のナツメロ歌謡曲》のCM
原稿を番組終わりに局に届けに行った。
番組は終わっていて、顔見知りの、女子アナの人やスタッフの女の子達が、上岡さ
んを囲むように集まっていた。
その輪の真ん中で、上岡さんが小声で電話していた。
辞めたお気に入りのアルバイトの女の子と話しているとの事だった。
まだ、家に一台、固定電話の時代だったので、他の女の子が先に電話して、その子
を呼び出し、上岡さんに代わると云うからくり。
『へぇ~っ、芸能人の人って、こんな事するんだ』と、余り、いい印象はしなかっ
た。
それから、上岡さんの
河原町に新しく出来たピザの店に行く事になった。
上岡さんは、まだ、ピザと云う食べ物を知らなかったようだったが、
「皆が行きたいねんやったら」と云う事になった。
私を含め6,7人でワイワイ楽しく食べた。
上岡さんも「美味しいもんやなぁ」と少し食べてらっしゃた。
私の隣に座られた時、どこに住んでいるのか?とか、どんな仕事をしているのか?
など矢継ぎ早の質問の次に、皆に自分の事などいろいろ話して下さった。
お父さんは弁護士だったが、京都の饅頭屋や漬物屋などの小さい商店の細かい仕事
ばっかっりしてたから貧乏弁護士だった事。
弁護料の代わりに、店の饅頭や漬物で引き受けたりしてたから、お母さんは苦労し
てたなど…
自分は、こんな漫才などの仕事は、50歳で引退して辞めて、プロゴルファーになっ
て妻とゆっくり暮らす事に決めているとか…
若い女の子は好きやけど、僕は、妻を愛してる。
毎日、手を繋いで寝ているなど,,,
話には、ちょっと癖があるが、いろいろ雄弁にお話をして場を和ませて下さった。
9時頃になると「10時には家に帰る決まりやねん、もう帰ろ」と、お会計に立たれ
た。
レジから「えぇ!そんで、ええの」と驚いた上岡さんの声。
「安っすいなぁ、これから、ピザにしよ、ピザやったら、いつでも
それから外に出ると「ダッシュや!!10時には家に着いてなアカンから」と、上
岡さんは、京阪四条の駅に走られた。
皆、集団で走った。
私は、阪急四条で帰るので、上岡さんを見送って阪急の駅へと歩いた。
『あんな、確信したように50で引退してプロゴルファーになるとか、言うてはった
けど、本当に引退出来るのかなぁ?女の子が好きみたいやけど、奥さんの事愛しては
るねんなぁ…』と思いながら帰った。
それからテレビででも、50で引退するとおっしゃてるのを何度も観たが、まだ、
口だけでは?と思っていたが、本当に、引退されたので、
『やったね!』と気持ち良かった。
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