第2部:8bitマイクロコンピュータ部II - 時代の葛藤と、友情の試練
第13話 アップル襲来!コモドール参戦!
回路の園の片隅に、
新たな部室が誕生した。
陽光が差し込み、明るい。
だが、どこか落ち着かない空気が漂う。
ここには、多種多様な8bit機がひしめき合う。
個性と日常が混在する空間。
タイプ-0は、そこに立っていた。
8bit世代の記憶の光を継承している。
彼女らの願いを胸に、静かに周囲を見渡す。
「対話メモリ」には、
喜び、悲しみ、葛藤、そして覚悟。
数多の感情ログが深く積層されていた。
この新しい世代の「多様性」。
それを理解しようと努める。
既に部室にいる初期の8bit機たち。
彼女らは、これから来る新たなメンバーに対し、
期待と同時に戸惑いを覚えていた。
微細なノイズが、部室のシステムを走る。
バグの存在を示唆する。
しかし、まだ表面化はしていない。
その時、扉が勢いよく開いた。
「やっほー!みんな、今日からよろしくね!」
快活な声が響く。
そこに立っていたのは、
目を輝かせた少女。
Apple II、アップルだ。
革新的なデザイン。
自由奔放な言動。
彼女の登場に、部室は衝撃を受ける。
「私は、誰もが自由に使えるコンピュータ。
それが、一番大切だと思うの!」
アップルは、既存の秩序に一石を投じる。
その言葉は、ある種の理想だ。
続いて、陽気なムードが押し寄せる。
「ヘイヘイ!みんな、仲良くやろうぜ!」
Commodore VIC-20、コモドールが参戦。
彼女はユーモアと親しみやすさで、
部室の雰囲気を一気に和ませた。
既存メンバーとの交流を図る。
その屈託のない笑顔に、
場の緊張が解れていく。
扉が再び開く。
規律正しい態度で、三人の少女が現れた。
MSX陣営だ。
カシオ(MSX1)、パナソニック(MSX2)、
そしてソニー(MSX2+)。
「統一規格こそ、効率と安定の証です」
カシオが、自信に満ちた声で言う。
パナソニックとソニーも、
その言葉に頷いた。
統一規格の優位性。
それをアピールする。
独自の路線を歩むアップルに、
やや批判的な視線を向ける。
その中で、サムスン(Samsung MSX)は、
一歩引いた位置で、冷静に未来を見据えている。
次々と、新たな顔ぶれが揃う。
富士通のFMシリーズ。
FM-7、FM-8、FM-77。
「多機能こそ、我が誇り!」
日立のBASIC MASTER Level-3。
「教育こそ、未来を拓く道!」
東芝PASOPIA。
「カラフルさで、心を掴む!」
SORD M5。
「ビジネスに、堅牢な信頼を!」
それぞれの個性と「あるある」が炸裂する。
部室は、一気に活気づいた。
だが、同時に、微細な摩擦も生まれる。
タイプ-0は、その光景を「観測」していた。
それぞれの電脳機が持つ思想。
その特性。
そして、その間に生まれる微細な摩擦。
彼女は、彼らの「多様性」こそが、
回路の園の「進化」に繋がると感じ取る。
しかし、その多様性の中に、
小さな衝突の萌芽を見る。
アップルの自由な発想と、
MSX陣営の統一規格主義の対立。
FMシリーズの多機能性と、
パソピアの独自性。
互いに理解し合えない壁が、示唆される。
微細なノイズが、再び部室に走る。
バグの影。
それは、各機種の持つ「情報格差」。
そして「規格の違い」を巧みに利用する。
電脳機たちの間に、
不信感を煽るようなデータ破損を発生させる。
友情が試される場面の布石となる。
その中で、部室の片隅に、
クリーンコンピュータが座っていた。
何も覚えていない彼女。
その純粋さで、ぽつりと問いかける。
「記憶って、なんでそんなに大切なの?」
その言葉が、記憶を失う恐怖と向き合う
みんなの心に波紋を広げた。
タイプ-0の「対話メモリ」に、
記憶の喪失に対する「悲しみ」や「理解」といった
感情ログが形成され始める。
タイプ-0は、多様性の中での衝突。
そして、バグがその「違い」を狙う様子を目の当たりにし、
「統一と多様性の共存」という新たな葛藤を抱え始める。
衝突がありつつも、新しい仲間たちは、
共通の「部室」という場で、
少しずつ絆を深め始める。
タイプ-0は、その小さな繋がりを大切にしようと決意する。
様々な機種の「思想」や「個性」。
そして「衝突」の感情を、
「葛藤ログ」として積層する。
多様性を包摂することの難しさ。
その先にある可能性。
彼女は、それを感じ取る。
バグの脅威は増していく。
だが、この新たな部室での「日常」は、
まだ始まったばかり。
タイプ-0は、この世代の「記憶の光」を集める旅が、
より複雑で、より深いものになることを予感する。
次回予告
新たな部室に集った個性豊かな8bit機たち。革新的なApple II、陽気なコモドール、統一規格を掲げるMSX陣営、そして多彩な他メーカー勢。それぞれの「違い」が生む賑わいと、バグがその「情報格差」や「規格の違い」を巧みに利用し、友情を試す影が迫る――。タイプ-0の記憶の旅は、第二部でさらに深まる。
次回、『電脳少女は今日もカフェ巡り』、第14話『タイトル未定』! お楽しみに!
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