目を覚ますと、どこかの廃校にいた少女。ヒヅルという少年に出会うが、少女は記憶を失っており、仮にアルファと名乗る。
アルファとヒヅルは「はざまの学校」の生徒会となり、生徒たちの悩みを解決しなければならなくなってしまう。だが、この学校に現れる生徒はグリフォンやマーメイドといった架空の生き物ばかり。
どうやら正体は人間のようだが、皆なぜか姿が変わっており、何かをなくしている。
アルファはなぜ記憶を無くしてしまったのか。
はざまの学校とは何なのか。
生徒たちは何者なのか……謎は尽きない。
夢か現実かもわからない奇妙な世界で、アルファとヒヅルは生徒たちを助ける。
それが何をもたらすのかはわからないが、懸命に目の前の人を助けようとする姿に心を打たれる。
物語の謎にワクワクしつつ、アルファの優しさに感動しながら、さらにほのかな恋にドキドキする。なんとも贅沢なファンタジー、ぜひ楽しんでほしい。
謎めいた舞台、魅力的なキャラクターたち、テンポ良く進むストーリー。
読書をする喜び、というのを改めて感じさせてくれる作品です。
主人公の少女は、「自分が何者なのか」という記憶を失っている。
自分がいるのは「とある島」であり、そこには「学園」があることがわかる。
学校には謎の黒板があり、「七不思議を作らないこと」など謎のルールが記されている。その黒板は「怪物」であることがわかり、生徒会役員の腕章をつけていないと襲いかかってくることにもなる。
便宜上「アルファ」と名乗ることになった少女は、島で出会ったヒヅルという少年共に「二人だけの生徒会役員」として活動。そして「七不思議候補生」と呼ばれる生徒たちと対面していくことになるが……
最初に登場するのが、ライオンの足や大きな翼を持つ「ぐりこ」という少女。彼女は「グリフォン」という幻想生物なのだとわかります。
その他に登場する七不思議候補生も、同じく神話などに登場する幻獣に属する存在だということが見えてくる。
果たして、この学校の正体はなんなのか。このような不思議な生徒たちの集まる学校は誰によって作られ、生徒会はなぜ彼らのような存在に干渉していかねばならないのか。
記憶を失う前のアルファの正体、黒板の怪物は何者なのか。
こうした謎が謎を呼ぶストーリーがとにかく魅力的です。他では見られない斬新なコンセプトと舞台設定。そして「夏休み」と「学園」、「二人きりの生徒会」という雰囲気抜群な感じ。
爽やかな学園ストーリーであると共に、ミステリアスでファンタジックな世界観も堪能できる。型にはまらない「物語」を味わうことができる逸品です。