第7話

「ねね、もう公平組めるしオットー海岸でも行かない?」

 オットー海岸。 オットーというアザラシがオットセイの着ぐるみを着ているという、理解し難いモンスターがたくさんいる、しかも常夏の海岸だ。

 オットセイはそんなところにいる海獣だったのだろうか………と一瞬頭を抱えてしまうのは俺だけだろうか。

「アヤ、回避は足りてるのか?」

「ん~大丈夫だよ、いざとなったら罠かければいいし。

 それに、じゃーん!」

 

 誇らしげにヒップバックから取り出したそれはヒールクリップだった。

 ヒールクリップは、文字通りレベル1ではあるがスキルパワーを消費することでヒールが打てるというアクセサリーであった。


「良く買えたなあ…」 

 物がいいだけにスキルパワーに溢れた魔術師系や、弓師系(特に賢さに振ってそうな部類の罠師なんかがこれに当たる)が好んで使うことと、レアなカードがゆえに高価な価格がつけられている。

「うん、臨時で超レアが出て、貯金してたのとあわせてようやく手に入れたのー。

 これで回復剤いらずってことね!」

 そういうと長い髪を両側から一房取り、ヒールクリップを使ってまとめた。


「ほら、行こうよ!」

 にこっと笑うやいなや、走っていった。

 

「ちょ…待てよ!」

 俺は鳥にまたがると急いで出発した。


「わー、なんかいい感じの風景よね」

 青い空。 広がる海には波しぶき。

 今は冬真っ盛りだというのに、ここだけは常夏の気温だった。

 

 …リゾート気分で来る様な所ではないとは思うが。


「早速オットー発見! いっくぞー!」

 走り出すアヤに急いで献身をかけ、騎乗した鳥を並足から早足にして着いて行く。


 罠をかけ、うまく処理していくアヤ。

 普段あまり飛ばないと言っていた鷹も、今日は良く飛んでいく。

 俺が一撃突付く間もなく、アヤ一人の力で次々と倒していった。


 何十匹狩っただろうか。

「あれ?罠が使えない…」

 そう呟いたアヤの背後に大量のオットーがわいた。 

「後ろに下がれ!」

 急いでオットーを片手剣で切り裂いていく。

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