第8話

 逃げそびれたアヤに襲いかかろうとするオットーを追いかけ、斬りつける。

「アヤ! とりあえずタゲを俺になすりつけろ!」

 うまくなすれないオットーにはプロボックをかけ、アヤにある全てのオットーのタゲを俺に移す。

 ポーションを傷口にかけつつ、数体を一気に倒す。

 それを何度も続け、なんとか倒し終え、一息つく。


「アヤ…常時ヒールクリップをつけてると、スキル使えなくなるぞ?」

「…みたいね、説明をよく読んでなかった」

 

『スキル使用時、スキルパワー消費量が25%増加。』


「まあ注意しなかった俺も俺だが…どうするか?まだ続ける?」 

「ん…なんか疲れちゃったし、ハイスピードポーションも切れたし。

 帰ろう…」

 眠たげな表情のアヤ。

「判った」

 

 ふらふらとするアヤを鳥に乗せ、二人乗りする。

 規則では禁じられている行為だが、アヤも眠たそうだし…大目に見てもらおう。

 起こさないように並足でゆっくりと走る。

 寝息を立てるアヤ。 寝顔はとても可愛らしい。

 夕暮れの日差しはどこか懐かしく。 郷愁に駆られるものだった。


「わー、ミケって普段こういう風景見てるんだね!」

 いつの間にか目を覚ましていたらしい。

 並足ではあるが人の足で走るよりは確実に速い。

 騎乗した鳥で駆けていく速さと高さで、ちょっと興奮気味だ。

 

 風を斬る走り。 その時アヤの長い髪がなびいた。 

 甘い花のような香り。 少しドキッとした。

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