【2話】#1〜#3 : 普通とはどうこう
●──#1
(あぁ、俺って死ぬんだな)
──人の命とは実に呆気ないものである。
生まれつき病弱で幼き頃から入退院を繰り返し、ついには遺伝性の癌で一生病室で暮らすことになってしまった。
両親は治療費を置いてどこかに行ってしまったし、噂では俺のことなど忘れて弟を可愛がっているようだ。別に俺は両親に愛なんて求めていないし、たった5年一緒にいたくらいで思い出も何もない。
(余命宣告を受けて20年か……長かったなぁ)
今の俺は25歳。
何故か”もって半年”と言われてしまったのに20年も延命してしまった。医者からは奇跡だ、と言われ何かと世話をやいてくれた看護師は泣いて喜んでくれたものだ。成人式は病室だったけど元々成人することすら諦めざるえなかったのに、成人を迎えたこと
「■■君、20年も頑張ってくれてありがとう」
「ああ、まさかこんなに長生きしてくれるとは」
看護師の莉央さん、医者の貴文さん。結婚おめでとうございます。出来れば2人の結婚式、見たかったな。
「うぅ…■■君、死なないで!」
こんな俺と友達になってくれた隣のベットの女の子、キリちゃん。
「キリちゃん…」
「■■君、死んじゃやだよぉ。私、これから誰とラノベの話すればいいの!」
そこなんだキリちゃん。
「…ぁ」
やばい……そろそろ死にそう……
でも…これだけは…言わなきゃ。
「…ってやる」
「え?■■君?」
「──ってやる!」
「■■君!?」
怒りと殺意と怨嗟を込めて
「──俺を捨てた奴ら全員末代まで呪ってやるからなぁ!!!!──ぁ(ガクッ)」
俺は残りの力を振り絞って、死ぬその時まで叫んだ。
「■■君ー?!」
「えぇ?!■■君、思いっきり両親のこと憎んでるじゃん!」
「うぇぇぇん!……ぐす、わかったよ■■君。キリちゃんに任せて!必ず君のご両親に報いを受けさせるから!私が寿命で死ぬまで苦しませてあげるから!」
「キリちゃん?!?!」
すっきりした…これで…思い残すことは…もう…ない…
──まぁ、こんな感じで前世の俺は死んだとさ。
●──#2
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
メイド服を着た父さんに見送られながら俺はいつも通り登校する。
──俺、茅乃蘇トは高校生である。
病弱だった前世をもつ俺にとって学校はある意味憧れである。義務教でもリモートワークだったし、学校にいつか通うってことが俺の子供の時の夢だった。まぁ、病状が一向によくならなかったから夢は叶わなかったけどね。
でも今世は違う。健康な身体がある。つまり学校に通える。2度目の人生という幸運が俺にはあるんだ。
教室に入る。あぁ、いい…。
毎日こうして感傷に浸っているけど仕方ないじゃないか。だって嬉しいんだからさ。
「おっと学級日誌取りに行なかければ」
荷物を机に置き、職員室に向かう。
職員室の扉を3回ノックし開く。
「2年B組8番、茅乃蘇トです。学級日誌を受け取りに来ました」
「はーい」
担任の女教師である理恵先生が学級日誌を持ってやってきた。俺は理恵先生から学級日誌を受け取る。
「
「はい!それでは失礼します」
今日も楽しい楽しい授業がはじまる。
●──#3
前世の俺が学校でやりたいことといえば、授業にイベントに部活に委員会。そして学級委員長だった。
え?普通のモブになりたいんじゃなかったのかって?いやいやいや、せっかくの学校生活なんだ。楽しんでなんぼでしょうよ。あと俺、実力隠し系の主人公って嫌いなんだよね。ぶっちゃけて言うと隠し方がお粗末なんよ。だって地味になることに力を入れすぎて逆に怪しいし、実力を出すっていう時に周囲の確認が疎かですぐに実力が露見してしまうし、それでいてバレてんのにまだ隠そうとするし。本物のモブっていうのはな、目立ちたがり屋なんだよ。下を見下してイキりたいんだよ普通は、分かるか?
ま、要するに適度に目立って適度に世間に馴染む。主人公とは関係ない普通の学校でやる分には学級委員長も悪くはない。
その中でも俺は学級委員長としてクラスの皆を引っ張ったりしたいし誰もがやりたがらないことを精一杯成し遂げたい。誰かが悪いことをしていたら止めるし学級で何か楽しいイベントをしたいなら喜んで担任に打診する。
そんな感じで真面目で堅実な学級委員長をしていたら…まぁ、うん。友達いなくなるよね!知ってた。
まぁ、いいさ。俺に友達いないのは元からだし。学級委員長になったからといって変わんないからさ。
「ふぅ」
午前中の授業が終わったので、俺は一人で食堂に向かうのだった。寂しいね。ちなみに今日の献立はエビフライだった。とても美味。
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ちなみに朝露の夕食はアジフライでしたねー
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