【3話】#1〜#2 : この世界で肝試しはアカン
●──#1
「はぁ…」
「
「っ!……
その少年、
紫水家もまた霊媒師の家系。紫水を継ぐ夏希の婿となるのだからと時久もまた霊媒師として日々修行の毎日だ。
そんな中、やってきた先日の悪霊退治。初めはありふれている簡単な依頼だと思っていた。
「負けたこと、まだ根に持ってるでしょ?あれは仕方ないわ。まさか怨霊に進化するとは誰も予想なんてつかなかった。ただそれだけのことよ」
「でも、夏希にみっともないところをみせた。あれほど君を守ると言ったのに逆に守られて」
時久は自分の不甲斐なさに打ちのめされていた。強大な敵を前にして恐怖した。立ち上がることも出来ずに。
「時久は十分なほどに私を守ってくれたわ」
「いや、僕は──!」
「いいえ。私は助かったわ。あの時、あなたが子供を守ってくれなければ、私はあの怨霊を前にあそこまで戦うことが出来なかったもの」
これは夏希の率直な感想だった。
「夏希……僕は、もっと強くなるよ。柴火法術を使えるように、霊媒師として皆をもっと助けられるように!そして夏希を今度こそ守られるのではなく守れるように!」
「ふふっ、その意気よ」
彼のそういうポジティブで前向きなところに夏希は惹かれていた。
「そういえば僕たちを助けてくれたあの人は…」
「霧崎のことね」
「知ってるの?」
「もちろん。彼女は陰陽御三家、
霧崎家、伝説の陰陽師、安倍晴明の子孫とされる御三家直系の一つ。土御門家に倉城家、そして霧崎は霊媒名家とはまた違う術を使うときく。
「陰陽御三家、少し聞いたことがある」
「あら、知っていたのね。確かにあの家系は有名だけれども霊媒師とは反りが合わないので霊媒師の界隈じゃあまり聞かないのに」
「そうなの?」
「ええ。霊媒師と陰陽師は似て非なるものよ」
──霊媒師は此岸に留まり人を害す悪霊を払い、成仏するもの。一方陰陽師は魑魅魍魎、妖に対し退治、封印するもの。
「悪霊と妖の区別もつかない連中が、霊媒師を批難しているのよ」
「えぇ…」
「はぁ、参っちゃうわ全く、あいつらが悪霊を退治するだけ封印するだけして、手に負えなくなるまで悪霊を成長させてしまった事例が後を絶たないのも納得だわ。ま、それで紆余曲折あって霊媒師と陰陽師はお互いに不干渉なのよ」
「え?でもその霧崎さんって人は」
「霧崎は少々特殊、というか
霧崎久門は霧崎の当主と霊媒名家の一つである紫樹家に中立であることが認められている。その理由は未だ謎だが中立という立場が彼女にあるおかげで、時久と夏希は無事助かったのだ。
「いつか会ってみたいな」
「……女たらし」
「たらし?!してないよ!」
「分かってないなぁ」
──この無自覚女たらしをどうしてくれようか、夏希がニヤリと笑うところをみて時久は震え上がった。
「……さて、あの時の見物人は誰だったかな」
怨霊と戦っていた時、夏希は時久と子供とはまた違う人の気配を感じていた。
(にしても…どうして霊力がまるで感じられなかったのかしら?)
夏希は首を傾げる。
「夏希?どうかした?」
「……いいえ、なんでもないわ」
……とりあえずこの件は保留ね。
●──#2
「起立、礼、ありがとうございました」
「「「ありがとうございましたー」」」
今日の分の全ての授業が終わって俺は席を立った。今日は部活の予定はないしそのまま家に直行かな。
「あ、あの!学級委員長!」
「ん???????????」
するとクラスメイトの女子に引き止められる。えっと彼女は名畑さん、だっけ。突然の出来事に困惑する俺。まさかクラスメイト、それも女子に話しかけられるとは。想定外過ぎて疑問符が多くなった。
「今夜、友人と学校で肝試しをしたいんです。許可をくれないでしょうか」
「えっ、今夜?」
友人と肝試しか、いいな…面白そう…
「あ、急すぎましたよね!ごめんなさい…」
おっと、羨ましくて黙っていたら誤解されたようだ。
「いや、分かったよ。俺から先生に打診しておく」
「本当ですか?!」
「あ、うん」
そんなに喜んでくれんの?マジ?ちょっと嬉しい。
先生に打診するのは学級委員長の役目だからな!任せろ!
「流石に深夜は無理だが、きちんと親御さんに連絡して、23時までには帰宅することが条件だ」
「もちろんです!むしろ急だったのにお願いを聞いていただいて、学級委員長ありがとうございます!」
「楽しんで」
「はい!」
うんうん。いいことしたな俺。
俺はすぐに職員室に赴き、担任に肝試しを打診して許可をもらった。あとはその事をクラスラインに報告すれば任務完了だな。
俺は清々しい気持ちで帰路についた。
…………まて、ちょっとまて!
あれ?肝試し?肝試しつった?
どちゃくそ青春の雰囲気で流されてたけど──
──この世界(
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