三国志を舞台にしながらも、ただの歴史再現に留まらない。
この物語は“夢”と“記憶”を媒介に、少年の魂がいかにして進化していくかを描いた新たなる叙事詩です。
荘岐という名もなき少年が、戦火に引き裂かれた後漢末期を歩みながら「光の海」と「天性」という謎に導かれていく姿は、歴史小説としての重厚さと幻想文学の神秘性を併せ持ち、読む者の胸を強く揺さぶります。
赤壁から続く乱世のただ中で、夢に聞こえる「なぜ、知りたいのか?」という声は、荘岐だけでなく私たち読者への問いかけでもあるように響きました。
過去と未来が交錯し、少年の一歩がやがて歴史の奔流を動かしていく——その展開に、ただ胸が熱くなるばかりです。
壮大な歴史の舞台に幻想を織り込んだ、唯一無二の三国叙事詩。
歴史好きも幻想譚好きも、ぜひ手に取ってほしい作品です。