開戦
今、ウィリアムズ家の騎士団の間で行われている訓練はすべてドラゴンに勝利するためのものである。
一か月の訓練を終えたウィリアムズ家の騎士団はとうとうドラゴンを倒す為に動き出していた。
「いや……改めて思うけど、この装備になってからの行軍は楽過ぎるなぁ」
「確かにそうだ」
「もう体が羽のようだよ」
ウィリアムズ家の騎士団が登っていく鉱山には一切の魔物の姿がなかった。
本来であれば、魔物や動物などの生き物で賑やかなこの場はびっくりするくらい静かだった。これもすべてドラゴンの圧によるものだ。
ドラゴンがいる。
その、存在感によって生み出された状態だ。
そのおかげで、実に快適な行軍になっている。誰もいない鉱山をただ進むだけでいい。
「そろそろ、ドラゴンの索敵範囲内に入るわ。気を、引き締めて頂戴」
「「「……っ」」」
お嬢様の言葉を受け、これまで緊張を消すために各々会話していた騎士団の面々も口を閉ざして神妙な……強張った面持ちへと変化していく。
「先に言っておこう。恐れる必要はさほどない。我らは既に世界でも屈指の軍団となっている」
そんな部下を背後にお嬢様が静かに語りだす。
「今、我々は世界で最もドラゴンスレイヤーの栄誉を持つに相応しい。自信を持ちたまえ。我らは強いのだ」
強いのだ。
そう語るお嬢様が腰の剣を抜き、天へと掲げる。
「ガァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
その瞬間。
自分たちの前から巨大な影が二つ伸びてくると共に巨大な咆哮が響いてくる。
「来たか」
その二つの影。
それは天空をかける二体の巨大なドラゴンであった。
「……」
「ガァァァアアアアアアアアア!」
一体のドラゴンが空でぐるぐる回っているだけで動き出さない中、もう一体のドラゴンが一気に地面へと近づいてきて口を開け、そのままブレスを一つ放ってくる。
「「『闇夜』」」
それを、僕とお嬢様の二人が同時に魔法を発動させることで完全に消滅させてみせる。
「さぁ、我らの名を歴史に刻もう。ドラゴンを、地に落とせ」
初撃を完ぺきに防いでみせたお嬢様が号令をあげ、それに伴って騎士団の面々が各々魔法を唱えだす。
まずはドラゴンを地面に落とすところからになるだろう。
「さて、と。僕も僕で動くとしましょうかね」
本格的にお嬢様たちとドラゴンがぶつかろうという時に、僕は僕で地面を蹴って天へと昇り、空で悠々飛んでいたドラゴンの背中へと飛び乗る。
「お前はこっちだ。僕と遊ぼうぜ?」
「……ガァァ」
蹴り一つを叩き込み、僕はドラゴンを地面へと叩き落とさせるのだった。
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