ブレス
「相変わらず化け物ね……」
たった一人、空を飛んでいたドラゴンの元にスロースが飛んでいき、そのまま地面へと蹴り落としている様を見て彼の主人であるリーシアは苦笑を漏らす。
ドラゴンを前に単独で突っ込みに行くなんて正気ではない。
「……あの時とは、違うな」
目の前にいるドラゴンはかつて、己が勝利した個体とは明らかに生命としてのレベルからして違っていた。
人が、勝てる相手ではないと。そう、思わせてくる相手だ。
「『闇夜』」
そう、思いながらもリーシアは闇夜をドラゴンに当て、その身を覆っている魔力を消し去りに行く。
「ファイヤーボールッ!」
「サンダーッ!」
「ウインドカッターッ!」
リーシアの闇夜ではドラゴンが身にまとっている魔力をすべて消し去るなんて不可能。半分ほど消せるだけでも御の字………契約しているだけで得られるスロースの恩恵で強化された闇属性の魔法を当ててようやくそれだ。
「ガァァァァァアアアアアアアアアアアッ!?」
だが、今ではウィリアムズ家の騎士全員が悪魔交じりとの契約により、闇属性の魔法による恩恵を得られている状態だ。
彼らが発動した魔法に上から悪魔交じりたちが闇属性の魔法を重ねることでドラゴンの防御を辛うじて貫いて確かな攻撃を当てて見せる。
「私が敵を引き付けておくから、貴方たちは翼を狙っていなさいッ!」
「「「ハッ!」」」
リーシアは飛行魔法と共に飛びあがり、剣を持って宙を駆けあがっていく。
「ハァァァアアアアアアアアアアア」
「ガァッ!?」
そして、地上に向けてブレスを放とうとしていたドラゴンへと肉薄し、そのまま闇夜を纏わせた剣でドラゴンの瞳を斬り裂いて見せる。
「グルルル」
その一撃はドラゴンの怒りを買うには十分だった。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「くっ?!」
ドラゴンは準備していたブレスの矛先を空へと駆け上がっていくリーシアへと移す。
それをリーシアは闇夜を纏いながら回避行動をとっていく。
「っぶないわっ」
完全に回避はしきれなかった。
でも、闇夜を纏っていたおかげでドラゴンのブレスをまともに食わらずには済んだ。
「ふぅー」
一度受け止めたことで魔力をごっそり失い、その余波だけで全身に響くような衝撃に襲われたリーシアだが、態勢は何とか保つ。
まだまだ余裕だ。
「……私だって成長しているのよ。大丈夫。勝てるわ」
「ガァァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
空高く。
部下も聞こえない高さで小さく自己暗示するかのように呟いたリーシアは強く、剣を握ってドラゴンへと向き合うのだった。
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