魔法少女 美海美ちゃん的なアレ

魔法少女 美海美ちゃん的なアレ①

 〜side 一二三ひふみ


「なんか一人増えてない?」


 土曜日、今日は二一にかとダンジョンへ潜る日なんだけど、玄関から出てみれば学校指定ジャージを着た二一にかともう一人、これまた学校指定ジャージを着た知らない女子がいた。


「あ、やっぱり分かる?」


「いや、分かるだろ」


「は、は、初めまして、大和やまと 美海美みみみですっ!

16歳です!探索者資格は昨日合格しました!」


「何回目で?」


「え?1回目で合格ですけど?」


「よし、二一にかより上だな」


「なんで?!」



 二一にかに話を聞いたところ、なんかほっとけないっていうあやふやな言葉が返ってきた。

 ダンジョンへと向かう道中に大和やまとさんも交えて色々と話をしながら少しでも親交を深めようとした。

 しかし、大和やまとさんは自分に自信がないのか、消極的で前世では良いように使われて搾り取られて死んでいく奴らと重なるところが多々見えた。


 うん。確かにほっとけないな。

 なので一層のスライム相手に二一にかと同じ様に他言無用をお願いして、魔力の使い方をレクチャーする。

 説明の途中、「え?」とか「えぇぇぇ?!」とか、「しゅ、しゅごぉぉぉぉい!!」とかの反応を頂いた。

 二一にかよりも大きな胸部装甲がジャージ越しにプルプル震えている。ありがてぇ。ご馳走様です。



 時間は18時。

 今日の探索はここまでで切り上げて清算に向かう。

 ちなみに本人たっての希望で美海美みみみと下の名前で、呼び捨てで呼ぶ事になった。今世で初めて同じ歳の女の子を下の名前で呼ぶなんて、なんか変に意識してしまうのは今世での年齢に引っ張られているせいなのだろうか?

 前世では苗字を持つのは貴族か王族しかいなかったからミンナ名前呼びだったしな。


 さて、さて、いつものお姉さんの元での清算だが、「また女性が増えたんですね?」と笑顔で言われてしまった。

 普通に女性を侍らせるチャラい奴に見られているんだろうな。ま、どうでも良いけど。

 今回の報酬は九千円ほどだったので、一人三千円づつ分けて、帰りに長ったらしいコーヒーを飲んで少しだけ喋って解散した。



 次の日の日曜日の探索でも同じように二一にか美海美みみみにレクチャー。

 二一にかよりも早く美海美みみみは魔力を感じることが出来たものの、身体強化よりも放出する方が得意のようだ。


「えっと、いいか美海美みみみ、身体の中を巡る魔力を細い管を通って体外に放出するイメージなんだ。で、放出するきっかけとして属性を付加するんだけど、ここまではイメージ出るか?」


「え?えと、何となく言ってることは、わ、分かりますけど、よく分かりません」


「そうだ。考えても分からないなら、感じるんだ。とあるブルースさんも言ってただろう?『考えるな、感じろ』って」


「ぶ、ぶるーすさん?」


 結局、その日に美海美みみみは魔力の放出はできなかったが、身体強化だけは二一にかに劣るものの形にはなったと思う。

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