氷河期という不幸の世代に生まれ、金も名声も、愛すら手に入れられなかった俺。
選んだのは、「死の間際、脳に100年分の夢を刻みつけ、安楽死を迎える」という『最低自殺法』だ。
当然、むき出しの脳には記憶書き込み用の電極が直接装着されている。
だが、目覚めた先の神殿で待っていたのは、妙に既視感のある転生女神様と、喋るマスコットキャラだった。
「ここは、あなたがどんな人生を歩みたいかを最終確認するための控室です」
ここでいくつかの選択をし、「パラダイス」な異世界へと転生する。
確かに、パラダイスな生活を送れる、うまい仕掛けだ。
だが、俺にはずーっと疑問に思っていたことがあった。
「その人生って『P.A.R.A.D.I.S.E』が勝手に用意した100年だよね?」
それは困る。
いわば俺の意志とは関係のない、嘘の100年間だからだ。
適当な世界に放り込まれ、追体験されたくはない。
「俺は転生先について……回答を『保留』する!」
こうして、女神様と同じ神殿の下での生活が始まった――。
俺と女神様の異世界『保留』転生ライフ。ここに開幕!!