第8話 ヒロイン達の会話(下)

●七島香奈(side)


「なるほどね……そんな事があったんだ……」

「そう、まず最初は香奈が無事で良かったわ」

「本当にそうだよね……」

「うん。だから星斗先輩には本当に感謝してるんだよね」


 二人は心配そうに聞いていたけど、助けて貰ったと聞いて安心していた。


「それじゃあ、私達にはそれを伝えたかったの?」

「うん。二人には隠し事はしたくなかったから……」

「そう……まぁ、良いんじゃない?香奈がそう判断したのであれば悪い人ではないのかも知れないし」

「確かにそうかもね……私としてはちょっと心配もあるけど、ダメとも言い切れる状況でもないかな。でももし何かあれば絶対に相談するんだよ?些細な事でもね?」

「そうね。もし如月になにかをされたら私が処理するし、香奈も助けられたとしても完全には信用しちゃだめよ?」


 二人はやっぱり少し心配そうではあるけど、それでも否定はしないでくれた。

 でも処理って……嬉しいけどちょっと怖いよ美玖ねぇ。


「それで言いたいことはそれだけじゃないんでしょ?」

「うん。実は義兄さんについてなんですけど、義兄さんには教えても良いと思います?」

「「ダメね(かな)」」


 二人は同時にそう即答した。


「やっぱりそうだよね……」

「翼は不良が嫌いってずっと言ってるから、もし翼に教えたら絶対にもめるわよ」

「それに翼君は特に如月君の事を嫌っている印象だしね……時々言い過ぎじゃないかなって思う事もある位だし……」


 そう。義兄さんは不良が嫌いで、特に如月先輩の事についてを良く言っている。

 言い過ぎと言うのは、本当に迷惑な奴とか、ろくな教育を受けて無いんだろうな?とかそう言う事だ。酷い時にはもうちょっと過激な事を言っていた事もあった。


 私たちもそれを聞いていて言い過ぎだなって時は、止めるようにしていた。

 被害を受けた人が言うのであればまだしも、噂しか知らない人がいって良い事の訳がないもんね……


「それじゃあ、やっぱり義兄さんには秘密にした方がよさそうだね……」

「そうね。少なくとも今はね」

「そうだね。香奈ちゃんが言うにはこれからはまともに生きようとしているらしいし、そうであればいずれは話せるかもね」

「分かった!それじゃそうするね!」

「一応聞くけど、如月の事を好きになった訳ではないのよね?」

「美玖ちゃん!?急すぎるよ!?」


 私はそれを聞いてちょっと焦った。

 それを答えるのだとしたら、分からないと言うのが本音だ。

 まだ好きと言えるほど話したわけでもないし、大体好きっていう気持ち自体を私自身が分かっていない。

 

 確かに星斗先輩からは他の男の子たちとは違う物を感じさせられるけど、それが恋なのかって事はまだこれから知っていきたいことだしね……まだ出会ったばかりだもん……


「今は友達として仲良くしていきたいなって思っている感じかな?」

「そう……なら良いわ」

「急だけど、ちょっとお手洗いに行ってくるね」

「行ってらっしゃい香奈ちゃん」


 聞きたいことを聞けた私は、カフェオレを飲んだことと、安心した事によって急にトイレに行きたくなったので、そう言って向かった。



 香奈がトイレに行っている時、美玖と咲は話していた。


「如月君か……大丈夫かな香奈ちゃん」

「咲は心配性なのよ……香奈が自分で良い人って感じたのであればきっと大丈夫よ。香奈って昔から、人を見る目は良いじゃない?」

「それはそうだけど……でも美玖ちゃんも心配でしょ?」

「……そうね。咲と私にとっては妹同然の子だもの……でも咲もいってたじゃない。如月は噂とは違うって」

「それはあくまでも私の印象だよ。実際は話した事もないんだから分かりっこないって……」

「そうよね。でも私たちが居るんだしきっと大丈夫だって。香奈とはほぼ毎日会うんだし、異変があればすぐに気付けるわ」

「確かに……香奈ちゃんは隠し事をしたくないって言ってたけど、元々隠し事を出来るタイプでもないしね」

「まぁ、そうじゃなくても10年近く一緒に居ればすぐに気付けるわよ。でも一応私たちも常に目を光らせておくこと良いと思うわ。それに友達としてって言うのも嘘ではなかったぽいしね」

「確かに嘘を言っている感じではなかけど、他の男の子とは違った感じなんじゃないかな……」

「それについては私達で想像しても意味ないわよ。もし仮に好きになったのであれば、私が如月を確かめようとも思ったけど、そうじゃないのであればとにかく今は見守るしかなから、如月の事も見つつ一緒に見守りましょう」

「それもそうだね……」


 二人はちょっと不安ながらも、香奈の意思を尊重しようと、いつでも助けられるように見守る事にした。



 ――それから私たちは家に帰っていた。

  

 私たちの家は全員近くに会って、距離は100メートル範囲内に全部ある。


「そういえば香奈ちゃん?今日は何時も服を選ぶのに時間なんてかけないのに、どうして今日はあんなに真剣だったの?」

「確かに長かったわね」


 ……決して星斗先輩と遊びに行くときの為に買いに来たとは言えない。

 普段は別に他の人の目を気にしてなかったから、適当だっただけなんだよね……


「同じクラスの友達にファッションが好きな人が居て、私も興味を持っただけだよ」

「そうなの?まぁでも香奈ちゃんは元々ファッションセンスは良かったけどね」

「そうね大体香奈は何を着ても可愛いから、そんなに気にする必要もないと思うわよ?」

「それを言うなら二人もそうですけどね……なんだったら二人も方が……」


 私たちがそんな事を話していると、背後から義兄さんに話しかけられた


「よぉ!三人共今帰りか?」

「あ、義兄さん。そうだよ、買い物から帰っている所」

「そんなに荷物を持って何を買って来たんだ?」

「翼君、今日は皆で服を買いに行ってたんだよ。だからこれはほとんどが服だね」

「またか?香奈なんてまだ着れる服なんていっぱいあるだろうに、勿体なくないか?無駄使いじゃん」


 またと言っても、前回買ったのは一年くらい前だし、そんなまたではないんだけど……

 ゲームでお金を使う事を悪い事だとは全く思っていないけど、そんな事を言われちゃうと、ゲームセンターでお金を沢山使っている兄さんの方が……そう思ってしまう。


「無駄使いなんかじゃないよ翼君?女の子からしたら服は大切なものだからね」

「まぁ、咲が言うならそうなのかもな?」

「それより翼は何をしているの?」

「俺はちょっと買い出しだよ」

「買い出し?」

「そう。明日は日曜日だし、今日は皆でオンラインゲームを遅くまでやろうって事になってるんだよ」

「そういえば義兄さん、今日の朝にそんな事言ってたね」

「そうそう。って訳でじゃあな。もう時間ぎりぎりだからさ!!」

「ほどほどにしなさいよ?」

「頑張ってね?」

「あぁ、じゃあな!!」


 そう言って義兄さんは走って行った。


「全く義兄さんはデリカシーが足りないんですよね……」

「……確かにそれは否定できないかな」

「まぁ、今に始まった話じゃないわ」


 私に同調してそんなことを言う二人だけど、私はこう思っている。

 もしかしたら二人が義兄さんの事を好きなんじゃないって事を

 

 これは二人が中学二年生の頃の話だ。

 私の友達で初めて彼氏が出来たって喜んでいる子が現れて、恋と言う物について気になっていた時期があった。

 その時私は何も考えずに二人に聞いてみた。

 二人は恋をした事ってるんですか?と……

 そうしたらどうなったか……それは凄く意外な物だった。

 

 咲ねぇは、顔を真っ赤にして同様しながら否定をしてた。

 すっごく嚙み嚙みだったし誤魔化したつもりだったのだろう。


 美玖ねぇは美玖ねぇで、私が聞くと普段はきっぱりと言う性格なのに、その時はかなり考えた上で饒舌になった。恋愛をする時間があれば勉強をするとか、男子に興味なんてないし、好きになる訳ないとかね。


 二人とも結論的には好きな人はいないと言っていたけど、多分あれは照れ隠しってことなんだと私は勝手に思っている。勿論勘違いかも知れないけどね。


 そしてあの日から私は二人に恋の話をするのを辞めた。まともな会話が出来なかったしね……

 相談されたら手伝おうとは思うけど、今の私に出来る事は応援だけ……うん。頑張ってね。

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