第9話 七島翼の日常
●七島翼(side)
「ふぁー……」
俺は夜更かしをした後寝て、午後四時に起床した。
昨日は5人でやるFPSゲームをしていたのだけど、本当に楽しかった。
やっぱりFPSをやるのであればフルパだよな。
そんな事を思いながらリビングルームに行くと、香奈がスマホをいじりながらソファーに寝転んでいた。
やっぱりいつ見ても香奈は可愛い。
一緒に暮らしている事を何度友達に羨まれたか数えきれないほどだ。
こんなに可愛い香奈だが、友達は多いみたいだけど今まで男の影が全くない。それなのに家事を代わりにやってくれたりと、俺には尽くしてくれている。
香奈がどう思っているのかははっきりとはしていないが、少なくともどんな男よりも好かれている自覚はある。
そんな香奈は運よく義妹なので、血のつながりはない。
血のつながりがないのであれば、家族だとしても結婚も可能という事。
香奈も俺の事を嫌いじゃないだろうし、いずれかは兄妹ではなく、恋人になれればいいなと思っている。
父さんと義母さんもきっと喜んでくれるだろうしな……
それに俺には香奈にも負けず劣らずの幼馴染の二人が居る。
涼風美玖と柊咲の二人。
彼女たちは超モテる。同級生や先輩たちに何十回と告白されているくらいだしな……俺としても気が気ではないが、二人は全てを断ってくれている。告白した人の中にはイケメンやお金持ちとかもいたのにだ。
それどころか二人は俺以外の男子とは、仲良くなろうともしないのに、俺とは楽しそうに会話をしてくれている。
そんな二人を見て俺は、もしかしたら俺の事を……そう思ってもいるのだけど、やっぱり確信は持てない。
当然いずれ恋人同士になりたいとは思っているが、失敗した時のリスクを考えるとどうしても躊躇してしまう。
今はそんなリスクを負うくらいだったら、現状維持の方が圧倒的にましだ。
それにみんなに付き合ってるのか?と聞かれたとき、意味深に誤魔化しているんだけど、そうしたら勝手に勘違いする人も居るし、そんな反応が羨ましがっていてかなり気持ちが良い。
流石にはっきりと付き合っているなんて嘘は怖くてつけないけど、それ位だった問題はないよな?相手が勝手に勘違いしてるだけだし。
「おはよう香奈」
「あ、おはよう義兄さん。やっと起きたんだ」
「あぁ、ご飯はあるか?」
「弁当ならあるけど食べる?」
「あぁ、よろしくな」
「よろしくって……温めるだけなんだし自分でやりなよ?」
いつもは何も言わずにやってくれていたのに、今日は違った返事が来て俺はびっくりした。
そう言えば最近の香奈はスマホ気にしては、嬉しそうに触っている時間が増えたよな?一体何をしているんだろうか?
俺はそう思って香奈のスマホを除こうとしたのだが……
「ちょっと!!スマホを覗かないでよ義兄さん!!!」
そう言って香奈はソファーから勢いよく起き上がり、スマホを隠した。
結局スマホの画面は見えなかったけど、そんなに怒る事か?
俺はそう思ってちょっとイラっとした。
「そんな怒る事か?やましい物でもみてたのかよ?」
「そんなんじゃないって、ただ友達とLINUでやり取りしていただけだよ」
そんな時、香奈のスマホに電話が来た。
「ちょっと出るね」
「あぁ」
俺は香奈が電話をしている途中、ご飯を温めていた。
「ふぁー……まだ眠いな」
一応多少は寝たけど、まだ眠いや……
「これ食べたらもう一回寝ようかな?」
明日は学校だけど、寧ろ今からもう一回寝れば夜には起きるだろうから、そうしたら寝ないで学校に行った方が、調整しやすいしな。
そんな事を考えながら俺は、弁当を机に持って行って食べ始めたのだが……
(ドンっ!)
香奈が勢いよくドアを開けて来た。
「義兄さん!!!!!」
「ごほっ……なんだよ?もうちょっと静かに呼んでくれよ……」
「そんな事言ってる場合じゃないって!!義兄さんは今日約束があったんじゃないの!!??」
「はぁ?約束?」
「嘘?本当に忘れてるの!!??」
約束……約束……約束?
昨日はゲームが楽しみ過ぎてそれ以外の事は頭に残っていなかったけど……約束か。
あ!そう言えば咲と映画を見に行こうって話したんだっけ!!
「……やっと思い出した?」
「あぁ……」
「約束の時間は?」
「一時……」
「今の時間は?」
「四時……」
しかも今日の映画は俺が誘った事がきっかけだったものだ。
アニメの映画が見たかったのだが、誠也は専門外のアニメだからと行かないと言われたから諦めて、次に誘ったのが咲、香奈、美玖の三人だ。
けれど結果は美玖と香奈はアニメを全く見ないから、分からない自分たちが行っても感想も言えないから行かないと言われたんだよな。
それで唯一行くと言ってくれたのが、咲だった。
俺としてもちょっと気になる程度の映画だったから、昨日のゲームに完全消されていた……
「今から行っても……」
俺が間に合うかな?と言おうとすると、その前に突っ込まれた。
「間に合わないよ。私に電話してきたのは咲ねぇじゃなくて、美玖ねぇだもん」
「なんで美玖が?」
「さっき電話が来た少し前に、たまたま出会ったらしいよ……美玖ねぇは家族でお買い物に行ってたらしいからね。兄さんが待ち合わせしていた映画館の近くでね。どうやら咲ねぇは寝る時にスマホの充電が出来ていなかったみたいで、お兄にメッセージだけ送って充電が切れちゃったみたいだよ……帰ろうにもすれ違ったら困るからってその場にいたらしい。それにこれから二人で遊びに行くってさ」
しまったな……こんな事だったら集合場所を家の近くにしておくべきだった。
俺の予定では午前中に映画館の近くにある、コインゲームで遊んでから合流しようとしてたんだよな。
ん?でも美玖が居るんだったら俺が行く必要もないんじゃないだろうか?
映画館もチケットを予め取っておいたわけでもないから、無駄にはならないしな。
それなら別に焦る必要もないじゃないか。
「そうなのか、なら良かったわ。それなら俺が行かなくても大丈夫そうだな。とりあえず後で謝っておくよ」
「本当にそう思ってるの?」
「そうだな?それがどうした?」
「今スマホの通知見て見なよ……」
そう言われ俺は、ご飯を食べながらいじろうと持ってきたスマホを見た。
そこには咲からは二回の電話と、八通のメッセージが来てた。しかもメッセージには昨日ゲームに集中していて気付かなかったが、昨日の夜にも二通だけ連絡が来ていたみたいだ。
それに美玖からも連続で五回、俺が起きる直前に電話が来ていた。
「何回も電話が来てるな……」
「それを見てもなんとも思わないの?」
いや、俺だって咲には申し訳ないと思っているが、寝ている時に来た物にはどうやったって反応は出来ないじゃないか……昨日の夜だって他の人と遊んでいたわけだしさ……決してわざとじゃないんだって。
それに後で謝れば大丈夫だろう。
もし相手が美玖だったら本当にまずかったけど、咲は俺には凄く優しいので、今までに一度も言い合いにすらなった事がないし。
ていうか、美玖はちょっと口うるさい所があるから、そこだけは結構厄介なんだよな。
そう思うと、咲は基本的になんでも手助けしてくれるし、本当に助かるわ。
「兄さん今、咲ねぇなら許してくれるとか思ってない?」
「……なんでわかったんだ?」
俺がそう返事をするとため息をつかれた。
「はぁ……まぁ、もういいや。とりあえず後でちゃんと謝って置いてよね?」
「分かってるって……おれだって悪かったとは思ってるからな」
「はいはい」
そうして香奈は出て行った。
「咲が怒るならまだしも、何で香奈が怒ってるだよ?」
咲だったら許してくれる事なのに、当事者でない香奈が怒る理由が理解できない。
まぁ、なんだかんだ言って美玖も香奈も咲も皆で十年近く一緒にいるんだし、直ぐに許してくれるんだろう。
一瞬焦ったが、そう思うと落ち着けて来た。
俺はそんな事を思いながら、咲に謝りの連絡を入れながらご飯を食べていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます