Act.14-2
「辛かったら、寄りかかってもいいよ」
晴海は蒼子の肩を抱いた。彼女は晴海の胸に頭を当てて寄りかかった。
「ああ……きれいな青空。両手を広げたら、指先から青に染まっていきそう」
蒼子は白くて細い手を差し出した。それを見ていた晴海は、本当に蒼子の指が青に染まっていき、そのまま身体すべてがその青に同化して消えてしまうと、一瞬恐怖した。
「蒼子!」
晴海は蒼子の手を握った。
「なあに?」
蒼子はびっくりしたような表情を浮かべた。
「本当に空の青に溶けてしまうと思った」
晴海の真剣な表情に、蒼子は弱々しく笑った。本当にもう、蒼子があの青い空へと還る日の足音が、2人の耳には聞こえていた。それでもお互いの体温を確かめて、蒼子が生きていることに感謝していた。
蒼子の母が用意してくれたおやつを食べながら、海風に吹かれ、他愛のない会話に笑い転げて真っ青な空を見上げた。
「もう帰ろうか」
晴海は蒼子を抱き上げた。
「また連れてきてくれる?」
「当然だろう。そのために車椅子を用意したんだもん。蒼子が座れる間は、また一緒にここへこよう」
「うん。またね」
蒼子は満足げに、晴海の胸に顔を押し付けた。
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