【ク】 桃姫だけの旅立ち
●【ク】 桃姫だけの旅立ち
桃姫は ぜったいに
同行を認めませんでした。
「鬼退治は
わたしの使命なんです。
そんな わたしの使命のせいで
おじいさんと おばあさんが
ケガなんてしてしまったら
わたしは…… わたしは……」
そう言って 桃姫が涙を流すと
おじいさんと おばあさんも
涙を流しました。
「わしらのことを
そんなにも想っていて
くれたなんて……」
「桃姫は
本当に優しい子だねぇ。
わたしたちは
ここで無事を祈っているから
気を付けて行ってくるんだよ」
おじいさんと おばあさんの説得に
見事に 成功した 桃姫は
一人で旅立つことになりました。
…『【ク・1】 鬼ヶ島へと向かう道中にて』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・1】 鬼ヶ島へと向かう道中にて
桃姫は
おじいさんから 動きやすい羽織袴と
とってもよく斬れる刀を もらい
おばあさんからは 桃姫の大好物の
きびだんごをもらいました。
おじいさんと おばあさんに
別れを告げて
桃姫は
鬼退治をするために
旅立ちました。
鬼ヶ島へと向かって 歩いていると
誰かが 声をかけてきました。
それは……
1
真っ白いメス犬の ユキ
…『【ク・2】 ユキちゃん』にすすむ
2
幼なじみの カンタ
…『【ク・3】 カンタ』にすすむ
3
女子プロレスラーの ダークヤミコ
…『【ク・4】 ダークヤミコ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・2】 ユキちゃん
それは
真っ白い毛並みの メス犬で
名前を ユキと言いました。
「桃姫ちゃん!
お腰に付けた きびだんご
一つ わたしにくださいな!」
桃姫は きびだんごをあげました。
「ありがとう!
お礼に 鬼退治にお供するね。
わたしが 鬼どもを
やっつけちゃうんだから!」
こうして 桃姫は
犬のユキちゃんと一緒に
鬼ヶ島を目指しました。
…『【ク・5】 続・鬼ヶ島へと向かう道中にて』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・3】 カンタ
それは
幼なじみの カンタでした。
カンタは 同じ村で育った
唯一の 同い年です。
昔は よく一緒に遊んでいましたが
ここ2~3年は
顔を見ることはあっても
喋ることはありませんでした。
「……聞いたぞ。
おまえ 鬼退治に行くんだってな。
ほんとか?」
「うん 本当だよ。
わたし この日のために
剣術の稽古とか 弓の稽古とか
ずっとがんばってきたからね」
「だから あんなに熱心だったのか……
なんで 必死に練習してるのか
ずっと疑問だったんだ。
やっと 答えを知ったよ」
「そっか。
よかったね。
じゃ わたし 行くね」
「お おい! 待てって!」
「なに?」
「だ だから その…………てやるよ」
「え?」
「だっ だから! ……って!」
「え? 聞こえないんだけど?」
「おれが一緒に行ってやるって
言ってんだよ!」
「なんで?」
「な なんでって それは その……」
「あ わかった。
鬼退治をして 女の子たちに
モテちゃおうって思ってるんでしょ」
「ち ちがっ!
とにかく 剣術の稽古では
おれの方がうまかったんだからな!
おまえより剣術のうまい おれが
鬼退治を手伝ってやるって言ってんだから
感謝しろよな!
ほら 行くぞ!」
カンタは 顔を真っ赤にしながら
歩き出しました。
桃姫は 剣術で負けた記憶は
ないんだけどな…… と 思いながら
カンタのあとを追いました。
…『【ク・6】 桃姫とカンタ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・4】 ダークヤミコ
それは
女子プロレスラーの ダークヤミコでした。
ダークヤミコは
ヒールと呼ばれる
悪役の女子プロレスラーです。
顔に 邪悪っぽいメイクをしていて
鉄の鎖を 首からジャラジャラと
ぶら下げています。
ダークヤミコは
どこからかマイクを取り出すと
マイクパフォーマンスを始めました。
「おい! 桃姫っ!
テメェ 鬼退治に
行くそうじゃねぇか!
だったら
アタシも連れてけ!
きびだんごをくれたら
仲間になってやるって
言ってんだよ!」
ダークヤミコは
マイクを 桃姫の足元に
ぶん投げました。
桃姫はマイクをひろうと……
「わかったよ!
てめぇが そこまで言うんなら
きびだんご くれてやるよ!」
マイクパフォーマンスで返答し
きびだんごを あげました。
実は 桃姫は
女子プロレスの大ファンだったのです。
ダークヤミコは
きびだんごを食べると
練習生時代に
お母さんが 荷物と一緒に送ってくれた
手作りのきびだんごを
先輩たちにみつからないよう
こっそり食べようとしていたら
いちばん意地悪な先輩にみつかって
全部 食べられてしまったという
闇エピソードを思い出して
泣きました。
そんなダークヤミコのことを
桃姫は そっと抱き締めました。
こうして 桃姫は
女子プロレスラーの
ダークヤミコと一緒に
鬼ヶ島を目指すことになりました。
…『【ク・7】 選手入場』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・5】 続・鬼ヶ島へと向かう道中にて
桃姫と 犬のユキちゃんが
鬼ヶ島を目指して歩いていると
誰かが 声をかけてきました。
それは……
1
メスのニホンザルの ポポ
…『【ク・8】 ポポちゃん』にすすむ
2
真っ白いオス犬の シロ
…『【ク・9】 シロ』にすすむ
3
真っ白い姿の 雪女
…『【ク・10】 雪女さん』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・6】 桃姫とカンタ
桃姫と カンタが
鬼ヶ島へと向かっていると
誰かが 話しかけてきました
それは……
1
隣村の リュウジ
…『【ク・11】 リュウジ』にすすむ
2
イケメン王子の イーサン
…『【ク・12】 イーサン』にすすむ
3
未来から来た マーティン
…『【ク・13】 マーティン』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・7】 選手入場
桃姫と ダークヤミコが
マラソンをしながら
鬼ヶ島を目指していると
突然 音楽が鳴り出しました。
「この入場曲は……!」
ダークヤミコは そう言って
後ろを振り返りました。
派手な スモーク演出の中から
女子プロレスラーの
ストロベリーキョウコが
現れました。
ストロベリーキョウコは
正統派の女子プロレスラーで
ヒール役の ダークヤミコとは
ライバル関係にありました。
ストロベリーキョウコは
マイクを握り締めると
桃姫と ダークヤミコを
睨みつけました。
「おい! 桃姫と ヤミコ!
オマエら そんなに鬼退治したいなら
まず わたしと戦え!」
勝負を挑まれた
桃姫は……
1
受けて立つ
…『【ク・14】 桃 VS 苺』にすすむ
2
勝負は断る
…『【ク・15】 怒った苺』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・8】 ポポちゃん
それは
メスのニホンザルの
ポポちゃんでした。
「桃姫ちゃん
お腰に付けた きびだんご
一つ あたしにくださいな」
桃姫は きびだんごをあげました。
「ありがと!
それじゃあ お礼に
鬼退治のお供をするね!」
こうして 桃姫は
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんと
鬼ヶ島を目指して歩き出しました。
…『【ク・16】 続続・鬼ヶ島へと向かう道中にて』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・9】 シロ
それは 真っ白いオス犬の
シロでした。
「桃姫さん!
お腰に付けた…… あれ!?
ユキじゃん!
おまえ なんでここに……って!
もしかして
もう きびだんご もらったのか!?」
「もっちろん!
桃姫ちゃんの お供は
わたしだもんね」
「だから!
鬼退治は危険だって
何回も言っただろ!
おれは おまえに
危険なことはしてほしくなくて――」
「わかってる!
でも…… わたしだって
シロに 危険なことを
してほしくないんだもん!
だから
シロが 鬼退治に行くのなら
わたしも行くって決めたの!
だって
わたしたちの運命は
二つで 一つなんだから……」
「ユキ……」
ユキちゃんと シロが
なんだか いい感じになって
見つめ合う様子を
桃姫は だいぶシラケた気持ちで
見ていました。
「桃姫さん
そういうことなので
おれにも きびだんごをください。
そして おれも
お供に加えてください!」
桃姫は なんだか
嫌な予感を覚えつつも
きびだんごをあげました。
こうして 桃姫は
真っ白い犬の
ユキちゃんと シロと共に
鬼ヶ島を目指して
歩みを進めました。
…『【ク・17】 ユキちゃんとシロ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・10】 雪女さん
それは 雪女さんでした。
「桃姫さん……
わたしにも きびだんごを……
一つ くださいませんか……?」
雪女さんが喋るたびに
絶対零度の吐息が出るため
桃姫と ユキちゃんは
ガタガタと震えました。
桃姫は 震える手で
きびだんごを あげました。
すると 雪女さんは
急に自分語りを始めました。
「実は……
鬼ヶ島には……
別れた夫がいるんです……
ええ 夫は鬼でした……
種族を越えた 大恋愛の末に
結婚をしたのですが……
わたしの存在が
寒すぎると言って
捨てられました……
わたしが 寒い女だということは
わかった上で お付き合いを
していたはずなのに……
結婚をした途端
体温を上げられないのか とか
ストーブを付けていいか とか
わたしには無理なことを言いやがって!
挙句の果てに
『新婚旅行は ハワイに行きたかった!』って
雪女には ぜったいに言っちゃならねぇ
NGワードを言いやがったっ!
あの腐れゴミクソ鬼野郎がっ!」
雪女さんは
怒りのボルテージが上がるごとに
表情と口調が 険しくて恐ろしくなり
さらに 周辺の温度が
急速に下がっていきました。
「ゆ 雪女さん!
落ち着いてください!
わかりましたから!
一緒に 鬼ヶ島に乗り込んで
復讐を果たしましょう!」
桃姫がそう言うと
雪女さんの表情は
もとの穏やかなものに戻り
周辺の温度も
もとに戻りました。
こうして 桃姫は
真っ白い犬の ユキちゃんと
雪女さんと一緒に
鬼ヶ島を目指して
旅を続けました。
そのあとの道中は
雪女さんがいるためか
桃姫たちに 近づいてくる者は
現れませんでした。
なので
桃姫と ユキちゃんと 雪女さんで
鬼ヶ島へ 乗り込むことになったのでした。
…『【ク・42】 復讐は氷の如く』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・11】 リュウジ
それは
隣村の リュウジでした。
リュウジは
桃姫とカンタよりも
一つ年上でした。
周辺の村に
同じ年頃の子どもが
いなかったこともあって
十歳くらいまでは
三人で よく遊んでいました。
しかし ここ数年は
遊ぶこともなければ
喋ることすらありませんでした。
「リュウちゃん 久しぶりだね。
会わないうちに
すっかり 大人になっちゃって!」
「……それは おまえだろ」
「そうかな?
わたしは 昔のままだと思うけど」
「き…… キレイになった よ」
リュウジは
とても ぎこちない口ぶりで
言いました。
「あ ありがと。
わたし 初めてだよ。
誰かに キレイだなんて
言ってもらえたの。
だって ほら
わたしってば お転婆だし
女の子らしいところ
一つもないから……」
すると リュウジは
桃姫の肩を掴んで
目を見つめながら 言いました。
「おっ おまえはキレイだよ 桃姫!
昔から ずっと!
だから おれ…… おれ……!」
「はいはいはいっ!」
カンタが
桃姫と リュウジの間に
強引に割り込みました。
「勝手に盛り上がんのは
やめてもらえませんか?
それで 先輩は
なにしに来たんすか?
おれと 桃姫には
やらなきゃいけないことがあるんで
とくに用がないなら
おれたち 先を急ぐんで」
「ああ すまない。
本題を 言い忘れていた。
桃姫 おれも一緒に行くよ。
鬼退治に。
そして 鬼退治が終わったら
おれと 結婚してくれ」
急な展開に
桃姫も カンタも
時が止まりました。
…『【ク・18】 恋愛物語は突然に…』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・12】 イーサン
それは
トラペジウム王国の イケメン王子
イーサンでした。
「麗しの桃姫さん。
はじめまして。
ぼくは トラペジウム王国の王子
イーサン・グッドガイです。
桃姫さんの 鬼退治をしようという
崇高な精神に惹かれ
ここまでやってきました。
桃姫さん
どうか ぼくに きびだんごをください。
そして ぼくと桃姫さんで
鬼退治を成し遂げましょう」
桃姫は
イーサンの スマートな身のこなしと
落ち着きのある口調に
すっかり魅了されて
目が 猪の目のようなハート形に
なりました。
もちろん すぐに きびだんごを
あげました。
「桃姫さん ありがとう。
では 行きましょう」
イーサンが 手を差し出すと
桃姫は 自然と その手を取り
二人は 手を繋ぎながら
歩き始めました。
「おっ おれのことを
忘れるなっつーのっ!」
カンタは 後ろから叫びましたが
イーサンに見惚れている 桃姫の耳には
まったく 届いていませんでした。
…『【ク・19】 さらなる強敵、現る』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・13】 マーティン
それは 時をかける車に乗ってやってきた
マーティンでした。
「いた!
やっとみつけたよ モモ!」
「え? どちら様ですか……?」
「なに言ってんだよ!
おれだよ おれ!
マーティン!
って そっか。
この時代の モモとは
まだ出会っていないんだった……
急に現れて わけわかんないよね
ごめん モモ!
だけど モモのことを
急いで連れて行かなくちゃ
ならないんだ。
未来に!」
「み 未来!?」
「おい!
どこの誰だか知らねぇが
おれと 桃姫は
これから 鬼退治っていう
大事な使命を果たしに行くんだよ!
邪魔すんなっ!」
「鬼退治なら 問題ない。
モモタロっていう奴が
やってくれるから。
さあ 未来へ行こう モモ!」
「ちょ ちょっと待って!
急すぎて まったくわかんないから!
なんで あなたと一緒に
未来に行かなくちゃいけないの?
それに あなたは何者なの?」
「オッケー わかったよ。
でも 時間がないから
簡単に話すね。
十年後 モモは おれと一緒に
タイムマシンを
発明することになるんだ。
それで 百年後の未来世界へ
時間旅行に行ったんだけど
そこで タイムマシンを盗もうとする
悪い鬼たちに捕まってしまったんだ。
鬼たちは モモのタイムマシンで
過去の そう まさにこの時代に戻って
モモタロによる鬼退治を
なかったことにしようとしている。
それを阻止するためにも
モモを未来へ連れて行って
もう一人のモモを助けるしかないんだ!
だから モモ!
今すぐ一緒に 未来へ行こう!」
「まっ 待って!
もう一つの質問に答えてない!
あなたは 誰なの?」
「おれは 今から五年後に出会う
モモの結婚相手だよ」
「えっ!?
わたしの旦那さま?」
「も 桃姫が
おれ以外の奴と結婚……!?」
「とにかく 時間がないんだ!
さあ 行くよ!」
マーティンは
銀色の車に 桃姫を乗せて
アクセルを踏み込みました。
そして 最高速度に達したとき
銀色の車は 光と共に消えました。
その場に 取り残された カンタは
目の前の光景に
我が目を疑い 言葉も失いました……
銀色の車で
未来へとやってきた桃姫は
未来の旦那さんである マーティンと共に
未来の自分を救うために
大冒険を繰り広げるのですが
その物語は また別の機会に……
To Be Continued…
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・14】 桃 VS 苺
ストロベリーキョウコに
戦いを挑まれた 桃姫は
受けて立つことにしました。
路上で 始まった戦いは
プロレスの流儀に則った
正しい戦い方をしていたのですが
プロレスを知らない人からすれば
ただの 路上ケンカでした。
数分もしないうちに
警察官がやってきて
桃姫たちは 逮捕されてしまいました。
プロレスだったことが認められて
すぐに釈放されたのですが
桃姫は 未成年だったこともあって
おじいさんと おばあさんが
呼ばれることになりました。
こうして 桃姫は
家へと連れ戻され
鬼退治へ行くことは
禁止されてしまったのでした……
その後
なんでもかんでも反対してくる
おじいさんと おばあさんに
嫌気がさした 桃姫は
いつしか 不良少女になって
家に帰らなくなってしまいました。
町の裏路地で
ケンカに明け暮れる日々を送っていると
そこに現れたのは
ダークヤミコと ストロベリーキョウコでした。
二人は 桃姫の現状を知り
探しに来たのです。
ダークヤミコは
茶髪で煙草を吸う桃姫に
強烈なビンタをくらわせました。
「いってぇなっ!
なにすんだ テメェ!」
「桃姫っ!
テメェは こんなことするために
生まれてきたのかよ!」
言葉に詰まる 桃姫に
ストロベリーキョウコは
手を差し伸べました。
「一緒にやろう プロレスを」
気づけば 桃姫は涙を流し
ストロベリーキョウコと
ダークヤミコの手を
握り締めていました。
こうして
女子プロレスラーになった 桃姫は
アイドルレスラーとして
大活躍するのでした。
その物語は また今度……
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・15】 怒った苺
ストロベリーキョウコに
挑まれた戦いを
桃姫は 拒否しました。
「桃姫…… おまえ
わたしにビビったのか?
そんなんで
鬼退治なんてできんのかよ!」
「キョウコさん 違うよ。
わたし ビビってなんかない。
ここで キョウコの体力を
奪いたくないの。
だって 鬼退治をするときに
疲れてしまっていたら
最悪でしょ?」
「……あんたと戦ったくらいじゃ
わたしは疲れないよ。
ていうか!
なんで わたしまで
鬼退治に行くことになってんのよ!」
「だって 行ってくれますよね?」
そう言って
桃姫は きびだんごを差し出しました。
「い 行くなんて
一言も言ってないだろっ!」
「もういいから。
素直になれって」
ダークヤミコは
ストロベリーキョウコの背中を
ぽんっと 押してやりました。
前に押し出された
ストロベリーキョウコの口に
桃姫は きびだんごを入れました。
「はい 食べましたね。
じゃあ 一緒に行きましょう!」
「む 無理やり食べさせただろ 今!」
「まあまあ いいから。
ほら 行くぞ」
ストロベリーキョウコは
桃姫と ダークヤミコに挟まれて
一緒に 歩き始めました。
…『【ク・20】 新たな選手、現る』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・16】 続続・鬼ヶ島へと向かう道中にて
桃姫が
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんと一緒に
鬼ヶ島を目指して 旅を続けていると
またしても
誰かが声をかけてきました。
それは……
1
ニホンキジの ケンジ
…『【ク・21】 ケンちゃん』にすすむ
2
神獣キマイラ
…『【ク・22】 キマイラさま』にすすむ
3
壊れかけのロボット
…『【ク・23】 ボロボロボット』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・17】 ユキちゃんとシロ
桃姫が
白い犬のユキちゃんと シロと共に
鬼ヶ島を目指して
旅を続けていると……
「やっと見つけたぞ ユキ!」
それは 真っ黒いグレートデンの
ウィリアムでした。
「ウィ ウィリアム!
どうして ここに!?」
「それは こっちのセリフだ。
急に ぼくの前からいなくなって……
どれだけ心配したと思ってるんだ!」
「ご ごめんなさい……」
「おい ユキ。
こいつ 誰だよ?」
「シロ あのね。
この人は ウィリアムって言って
わたしが アメリカへ
留学していたときに
お付き合いをしていた犬なの……」
「お お付き合いだって!?
おれには ドッグダンスの練習が忙しくて
遊んでる暇なんてないって
電話で言ってたじゃないか!」
「練習が忙しかったのは 本当なの!
だけど ウィリアムは
落ち込んでいる わたしに
優しくしてくれて……」
「やめろ!
それ以上 聞きたくないっ!」
「キミがシロくんだね。
ユキから 話は聞いているよ。
ユキも苦しんだんだ。
だけど ユキは ぼくを選んだ。
そうだろう ユキ?
あの二匹だけで過ごした
素晴らしい夜の数々を
忘れたわけじゃないだろう?」
「ユキ! 嘘だろ?
おれとは まだキスだって
したことがないのに……
嘘だと言ってくれ!」
「ごめんなさい シロ……
わたし 淋しくて……
うっ!」
ユキちゃんは
急に草むらに駆け込んで
嘔吐しました。
「ま まさか……」
「ああ そうだ。
ユキのお腹には
ぼくたちの愛の結晶がいるんだ」
「そ そんな……」
と そこまで見届けたところで
桃姫は 犬たちを置いて
先へと歩き出しました。
さすがに もう
付き合いきれませんでした。
――閑話休題
一人に戻った桃姫が
鬼ヶ島を目指して
旅を続けていると
誰かが声をかけてきました。
それは……
1
幼なじみの カンタ
…『【ク・3】 カンタ』にもどる
2
女子プロレスラーの ダークヤミコ
…『【ク・4】 ダークヤミコ』にもどる
3
無視する
…『【ク・43】 一人で鬼退治』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・18】 恋愛物語は突然に…
桃姫は
カンタと リュウジと共に
鬼退治のための旅を
続けていました。
リュウジの 突然のプロポーズは
桃姫が 保留にしました。
それもあって
めちゃくちゃ気まずい感じのまま
三人は 旅を続けていました。
そのときです。
「もしかして 桃ちゃん?」
そう声をかけてきたのは
十歳以上も 年上の男性でした。
姿や格好からして
さすらいの浪人のようです。
「サトル先生!」
「やっぱり 桃ちゃんか!
すっかり大きくなったなぁ。
あのお転婆娘が
こんな美人さんになるなんてな」
「も もう~ 先生ってば~」
「あの…… 知り合い?」
カンタが 恐る恐る聞きました。
「あれ? カンタは習ってなかったっけ?
こちらは 桜桃一心流の剣士で
幼い頃 わたしに剣術の稽古を
してくださっていた
サトル先生だよ」
「サトル先生…… あっ 思い出した!
桃姫の初恋の人だ!」
「ちょ ちょっと カンタ!
それ 言わないでよ!」
「おれ 初耳なんだけど!
どういうことだよ 桃姫!?」
「リュウちゃんも 落ち着いて!」
「そうかぁ 桃姫の初恋の相手は
おれだったのかぁ。
おれは 今でも独身だけどね。
どうする 桃ちゃん?」
「サ サトル先生まで
からかわないでくださいっ!」
「ハハハ! ごめん ごめん。
ところで 桃ちゃんは
ここで なにをしてるんだい?」
桃姫は 鬼退治に向かっていることを
話しました。
「鬼退治か……
よし おれも行こう」
「えっ! 一緒に行ってくれるんですか!」
「桃姫…… なんだか嬉しそうだな」
と カンタは サトル先生を
睨みつけながら言いました。
「だ だって サトル先生は
本当に強い方なんだもの!
サトル先生が加わってくれたら
百人力…… ううん
五百人力だよ!
サトル先生 はい これ!
お供になってくださる人には
きびだんごを 渡すことに
なっているんです。
どうぞ 食べてください!」
「へぇ そうなんだ。
ありがとう いただくよ」
こうして 桃姫は
幼馴染の カンタと
隣村の リュウジと
そして 剣術を教わった サトル先生と共に
鬼ヶ島へと乗り込むのでした。
…『【ク・24】 桃姫の想い』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・19】 さらなる強敵、現る
桃姫は
トラペジウム王国の王子 イーサンと
幼馴染のカンタと共に
鬼ヶ島を目指して
旅を続けていました。
すると またしても
誰かが声をかけてきました。
それは……
1
スーパーマッチョな シュワルツ
…『【ク・25】 シュワルツ』にすすむ
2
忍者 服部半蔵と その仲間たち
…『【ク・26】 服部半蔵と仲間たち』にすすむ
3
地獄の王子 サナトス
…『【ク・27】 地獄からの使者』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・20】 新たな選手、現る
桃姫が
女子プロレスラーの
ダークヤミコと
ストロベリーキョウコと共に
鬼ヶ島を目指していると
またしても
誰かが声をかけてきました。
それは……
1
覆面女子レスラーの ノーフェイス
…『【ク・28】 ノーフェイス』にすすむ
2
女子プロレス専門のレフリー 阿部山
…『【ク・29】 レフリー阿部山』にすすむ
3
プロレス実況アナウンサー 古楯
…『【ク・30】 実況アナ古楯』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・21】 ケンちゃん
それは
ニホンキジの ケンジでした。
「どぉもぉ~
キジの ケンちゃんでぇ~す!
あれあれぇ~
もしかして アタシのテンションに
ひいちゃってなぁ~い?
もぉ~ ひかないで~!
ひくのは コーヒーと
アイラインだけにしてっ!
なんつって!」
ケンちゃんの あまりの勢いに
桃姫たちは 圧倒されてしまいました。
「あれ……
本当に ひいちゃった?
ごめん ごめん。
ちょっとテンション上がっちゃって。
だって あなたたち
鬼退治に行くんでしょ?
アタシも連れてってよ~!
アタシね 鬼どもに
親も兄弟も親戚も み~んな
雉鍋にして 食べられちゃったのよ。
そんなことされたら
もう復讐するしかないっしょ!
性別を超越した 雉の恐ろしさを
あいつらにわからせてやるんだからっ!」
桃姫は ケンちゃんに
きびだんごをあげました。
こうして 桃姫は
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんと
ニホンキジの ケンちゃんと一緒に
鬼ヶ島へと乗り込みました。
…『【ク・44】 桃姫の鬼退治』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・22】 キマイラさま
それは 神獣のキマイラさまでした。
キマイラさまは
頭がライオンで
身体がヤギで
シッポが蛇で
さらに 口から火を吹くという
神獣です。
なぜ キマイラさまが現れたのか
桃姫たちには
わかりませんでした。
「なぜ わたくしがやってきたのか
わからない と思っていますね。
ええ そうです。
わたくしは 万物の心の声を
聞くことができるのです。
わたくしがやってきたのは
あなたたちの味方となって
鬼と戦うか
もしくは
鬼の味方となって
あなたたちと戦うか
それを見極めるためなのです」
「ど どうして そんな……
キマイラさまが
味方となってくださるのは
嬉しい限りですが
敵対するつもりなど
まったくありません……
どうか 鬼の味方になるのは
やめてください……」
「ならば 教えていただけますか?
あなたが 鬼を退治する理由を」
「それは 鬼たちが
善良な人々を襲い
食料や 金目の物を
奪っているからです」
「たしかに そうですね。
鬼たちが おこなっているのは
悪行以外の なにものでもありません。
しかしながら
なぜ 鬼たちは そんな悪行を
するようになったのでしょう?
桃姫さんは
鬼の歴史を知っていますか?」
「いえ…… 知りません。
考えたことも ありませんでした……」
「では わたくしが
かいつまんで お話しましょう。
人間も 鬼たちも
もともとは同じ場所で
暮らしていました。
敵同士どころか
助け合って生活をする
仲間同士だったのです。
ですが
鬼は 昔から あの姿でした。
大きな体に 大きな角 牙も大きいので
見た目を恐れる人間は 昔からいました。
人間は 文化や文明を築いていく過程で
鬼のような存在を 醜悪で野蛮なモノとして
見るようになっていきました。
こうして 鬼たちは
それまで暮らしてきた村や里から
追放されていきました。
さらに
飢饉や 疫病が発生するたび
人間は その原因を
鬼になすりつけました。
鬼がいるから 飢饉が起きた……
鬼が 疫病を流行らせた……
ついに 人間たちは
鬼を追放するだけでなく
殺すようになりました。
すべては誤解であり
人間の勝手な想像によって
起こったことなのです。
行き場を失った鬼たちは
鬼ヶ島という安住の地を
みつけました。
それから 鬼たちは 長い間
鬼ヶ島で 静かに暮らしてきました。
しかし
またしても 人間たちは
漁獲量の減少や
台風による被害などを
鬼のせいだと
なすりつけました。
その結果
鬼ヶ島の周辺には
出ていけと 大声で抗議をする人間や
鬼たちの食糧を乗せた船を
転覆させて邪魔をする人間が
現れたのです。
空腹を我慢できなくなった鬼たちは
ついに 人間へ反撃を開始しました。
初めのうちは
邪魔をしてくる人間たちだけを
襲っていたのですが
次第に 人間すべてが襲う対象となり
そして いま現在の
憎しみ合う関係になったのです……
ざっくりではありますが
これが 鬼の歴史なのです」
キマイラさまが 話してくれたことを
桃姫も ユキちゃんも ポポちゃんも
まったく知りませんでした。
「さて 桃姫さん。
鬼の歴史を知った上で
本当に悪いのは
誰だと思いますか?」
「……人間 だと思います」
「そうですね。
わたくしも そう思います。
ならば 鬼の仲間となって
人間を滅ぼしても
よいですか?」
「そ それは 困ります!」
「なぜですか?
死にたくないからですか?」
「もちろん 死にたくはありません……
わたしには 大切な人が たくさんいます。
その中には 優しい人も
たくさんいるんです。
一部の人間のおこないだけを見て
人間はすべて悪なのだと決めるのだけは
やめてほしいです……」
「それは 鬼も同じだと思いませんか?
わたくしが知る限り
善良な鬼もいます。
人間の子を育てた鬼や
漂着した人間の子を
殺したり 食べたりせず
人間の里まで 送り届けた鬼もいます。
ですが 桃姫さんは
人間に 悪行を働いた鬼たちだけを見て
鬼退治をしようとしていますよね?
わたくしは なにを見て
どう見極めればよいでしょう?」
桃姫は キマイラさまの言葉を聞いて
深く 深く考えました。
でも 答えは出ません。
だけど 答えをみつけるための方法なら
あるかもしれない と思いました。
それは 鬼との対話と交流です。
一方的に決めつけて
武力で退治するのではなく
話し合いをして
両者が 少しずつ歩み寄ることができれば
なにかを変えることができるかもしれません。
「なるほど
それが あなたの答えですね?」
桃姫は
『心を読んでくださって
ありがとうございます』
と 思いながら
「はい」
と 返事をしました。
「わかりました。
ならば 今ここで 見極めることは
やめるとしましょう。
数年後か 数十年後
わたくしは また 桃姫さんの前に
現れるでしょう。
そのとき 鬼たちと重ねた対話の結果を
聞かせてください。
それでは また」
キマイラさまは 宙へ駆け上がると
そのまま 空の彼方へと
消えていきました。
この日 桃姫たちは
いろいろと話し合った後
それぞれの家へと帰ることにしました。
そして それぞれに準備を整えて
再集結しました。
桃姫は 刀を持ってはおらず
代わりに 本や おもちゃや 便利な道具などを
たくさん持っていました。
それらは 鬼と対話するために
準備したものでした。
こうして 桃姫たちは
鬼と対話をするために
鬼ヶ島へと向かったのでした――
桃姫の物語は
ひとまず ここで終わりです。
みなさんは
桃姫たちの対話が
成功すると思いますか?
本当の幸せや 平和を手に入れるためには
どうすれば よいのでしょう?
本当に 対話で平和が得られるのでしょうか?
やはり 武力で悪を根絶やしにするしか
ないのでしょうか?
平和になるための答えについては
みんなでしっかりと
話し合って考えたいのです。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・23】 ボロボロボット
それは 今にも壊れそうな
ボロボロのロボットでした。
「ア…… ウ……」
音声の装置が壊れているらしく
喋ることも ままならないようです。
すると 限界を迎えたのか
ロボットは その場に
倒れてしまいました。
「あらら……
桃ちゃん もう行こうよ」
と ユキちゃんは
桃姫に耳打ちしました。
でも 桃姫は ロボットを
放っておくことができませんでした。
とはいえ ロボットの仕組みが
わかるわけではないので
桃姫は とりあえず
見ただけで 外れているとわかる部分を
繋ぎ合わせてあげました。
それで ロボットは
なんとか立ち上がることができました。
「ごめんね ロボットさん。
わたしには これくらいのことしか
してあげられなくて……
この道を まっすぐ行くと
少し大きな町があるの。
そこに行けば
あなたを直してくれる人が
きっといるからね。
……って 言っても
お金がなかったら
修理してもらえないよね。
これ 持って行って。
きびだんご。
売れば いくらかになるし
もしかしたら このきびだんごで
修理をしてくれるかもしれない」
桃姫は ロボットに
残りのきびだんごを すべて渡して
別れました。
……しかし
その後も ロボットは
桃姫のあとをついてきました。
気にはなりましたが
きっと 壊れてしまっていて
正しい判断ができないのだと思い
そのままに しておきました。
桃姫たちは
漁船で舟を借りて
鬼ヶ島を目指しました。
港の岸壁では
ロボットが立って
こちらを見ていました……
そして ついに
桃姫と
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんは
鬼ヶ島に到着しました。
…『【ク・31】 決戦の鬼ヶ島』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・24】 桃姫の想い
桃姫たちは
ついに 鬼ヶ島に上陸しました。
侵入者に気づいた 鬼どもが
いっせいに襲いかかってきました。
桃姫はもちろん
カンタも リュウジも サトル先生も
全員 刀を抜いて
鬼たちと戦い始めました。
カンタの 素早い剣技
リュウジの 力強い一刀
サトル先生の 完璧な居合
そして 桃姫の流麗な剣さばき
どれも素晴らしく
鬼どもを圧倒しました。
しかし
数で勝る鬼との戦いは
熾烈を極めました。
一人ひとりで戦っていては
いずれ疲れ果ててしまいます。
誰かに背中を預けながら
戦うしかなさそうです。
そして 桃姫が
背中を預けることにしたのは……
1
幼馴染の カンタ
…『【ク・32】 幼馴染の絆』にすすむ
2
隣村の リュウジ
…『【ク・33】 愛する思いの強さ』にすすむ
3
初恋の サトル先生
…『【ク・34】 変わらぬ想い』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・25】 シュワルツ
それは
スーパーマッチョな
ボディビルダーの
シュワルツでした。
「桃姫くん!
待っていたよ!
さあ きびだんごをくれ!
遠慮はいらないぞ!」
桃姫は きびだんごをあげました。
「もぐもぐもぐ…… んん!
これは プロテインよりも
筋肉に効きそうだ!
よーし!
それでは きびだんごのお礼に
鬼退治へ 同行するとしよう!
道すがら 筋肉を休ませるわけには
いかないな……
そうだ!
桃姫くんを担いでいくとしよう!」
そういうと シュワルツは
桃姫を ひょいと担いで
そのまま走り出しました。
その力強さと たくましさに
桃姫は 頬を赤らめたのでした……
そして ついに
桃姫たちは
鬼ヶ島に上陸しました。
…『【ク・35】 最終決戦場は恋の修羅場』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・26】 服部半蔵と仲間たち
それは
忍者 服部半蔵と その仲間たちでした。
服部半蔵は
史上最強と名高い忍者です。
その周囲には
数名の忍者たちが立っていましたが
隠れたまま出てこない忍者たちも
数名いるようでした。
「我々 服部一族は
わけあって 桃姫殿の鬼退治に
同行する所存です。
共に力を合わせ
鬼どもを壊滅しましょうぞ」
「あ ありがとうございます!
かの有名な 服部一族のみなさんが
味方になってくださるなんて
とっても心強いです!
仲間になってくださった方には
きびだんごを お渡ししているんです。
よろしかったら
みなさんで いただいてください」
服部半蔵は きびだんごを受け取り
一つ 食べると
サッと 右手をあげました。
すると 次の瞬間には
きびだんごが すべてなくなっていました。
仲間の忍者たちが
目にもとまらぬ速さで現れ
きびだんごを持って行ったようです。
こうして 桃姫は
幼馴染のカンタと
トラペジウム王国の王子 イーサンと
最強の忍者 服部半蔵と仲間たちと共に
鬼ヶ島へと向かいました。
…『【ク・36】 鬼退治が始まる』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・27】 地獄からの使者
それは 地獄の王子 サナトスでした。
「あなたが 桃姫さんですね。
いえいえ きびだんごは結構です。
お仲間になるために
やってきたわけではありませんでの。
今日は 桃姫さんに お願いがありまして
実に 三千年ぶりに 地上の世界へ
やってまいりました。
いやぁ やはり太陽は
三千年経っても ギラついていますね。
もう少し 遠慮というものを
覚えてほしいものです……
おっと 脱線してしまいました。
すみません。
わたしが 桃姫さんにしたい
お願いというのは……
鬼退治を やめていただけませんか?
ええ ええ わかっております。
鬼どもは 野蛮ですからね。
人間を 多く傷つけていますし
退治されて当然の存在です。
ですが
桃姫さんたちが
これから なさろうとしているのは
鬼ヶ島にいる 鬼たち全員の討伐……
つまり 鬼の大量虐殺ですよね?
もちろん わかっております。
鬼は 討伐されてもしかたのないことを
十二分にしてきましたからね。
わたしは 鬼の討伐を
反対しにきたわけではないのです。
実はですね
我々 地獄界と 鬼一族とは
ある盟約を交わしているのです。
それは
『鬼が死んだ場合
地獄界は 鬼を地獄の番人として
必ず雇うべし』
と いうものなんです。
その昔……
ざっと 5億年ほど昔のことですが
地獄界で事件が起きましてね。
鬼一族が 一丸となって戦い
地獄を守ってくれたんです。
その恩義があるため
死んだ鬼を 地獄の窯送りにはせず
地獄で働く番人として
雇うことになっているんです。
そういう事情があるので
鬼が 一度に大量に死んでしまうと
地獄界で 雇用問題が
発生してしまうんですよ。
鬼どもは ああいう野蛮な性格ですから
仕事を与えずに 自由にしてしまうと
地獄中で暴れ回り
地獄の窯や 針の山地獄を
壊しかねないのです。
あ…… 今 人間には
関係のない問題だなって
思いましたよね?
いいですか?
もし 地獄が機能しなくなると
地獄へと落とされた人間たちが
適切な罰を受けることができなくなり
罪を償って 輪廻転生するまでに
莫大な時間がかかってしまうことに
なるんです。
そうなると
人間が生まれるために
必要な魂が減ってしまって
ついには人間が
生まれなくなってしまうんですよ。
魂の数というのは
宇宙が誕生したときから決まっていて
それを順繰りに使い続けているだけで……
おっと。
これは極秘の話でした。
聞かなかったことにしてくださいね。
とにかく
鬼を大量に殺してしまうと
地獄界だけじゃなく
人間界にとっても
よくないことが
起こってしまうんです。
だから
今日の鬼退治は
やめていただけませんでしょうかね?
はいはい わかってますよ。
鬼を退治しないと
鬼の被害に苦しむ人間が
減りませんからね。
そこで提案なのですが
鬼どもと交渉してみませんか?
交渉材料は
食料と 虎柄のパンツです。
奴らは 美味しいものと
虎柄のパンツに
目がありませんからね。
たとえば
きびだんごの専門店を
鬼ヶ島に出店しますとかって言えば
奴らは泣いて喜びますよ。
もちろん タダで配るわけではないので
奴らもお金が必要になります。
そうなったところで
奴らに漁業などの仕事を
提案するんです。
奴らが魚を獲ってきて
人間の市場に卸す。
これで鬼ヶ島の経済も
動き始めることでしょう。
どうでしょうかね?
この提案を 桃姫さんから
鬼たちにしてくれませんか?
ああ その際に
わたしから助言されたなどとは
言わないでくださいね。
鬼どもは
地獄からの使者を嫌っているのでね。
おっと いけない。
予定の時間を
46秒ほど すぎてしまいました。
お喋りは嫌われますからね。
このあたりで 退散するとしましょう。
あとはよろしくお願いします。
それでは」
サナトスが 指を鳴らすと
地面が割れて
地獄へと続く階段が現れました。
サナトスは にこやかに笑いながら
地獄への階段を下りていきました――
その後 桃姫は
サナトスに言われたことを
すべて実行しました。
結果的に 鬼退治はおこなわず
人間も 鬼も 誰も死ぬことなく
平和な世の中になったのでした。
……平和に生きる 人も鬼も 知りません。
この平和のきっかけが
地獄の雇用問題だったということを……
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・28】 ノーフェイス
それは 覆面女子レスラーの
ノーフェイスでした。
ノーフェイスは
ヒールではないのですが
悪魔のような覆面を被っています。
「ノォォォォフェェェェェイス!」
ノーフェイスは
お決まりのセリフと共に
両手の人差し指で天を指さす
お決まりのポーズを決めました。
すると ダークヤミコが
さらりと言いました。
「なんだ ノリコも来たんだ」
「ちょ ちょっと!
本名はNGなんだから
言わないでよ!」
「やっば! ごめん ノリコ!」
「また言ってっから!」
「ごめんって!」
「はいはい 漫才はそこまで。
ノーフェイスも
鬼退治に協力するために
来たんでしょ?
だったら 桃ちゃんに
ちゃんとお願いしないと」
「たしかに そうだわ。
ありがとう キョウコ。
桃姫さん!
鬼退治に同行したいので
きびだんごをくださいっ!
おねしゃすっ!」
桃姫は もうずっと面白くて
お腹を抱えて笑いながら
きびだんごをあげました。
こうして 桃姫は
女子プロレス界の絶対的ヒール
ダークヤミコと
女子プロレス界のスーパーエンジェル
ストロベリーキョウコと
女子プロレス界の覆面怪人
ノーフェイスと共に
鬼ヶ島を目指しました。
――そして
野を越え 山を越え 海を越えて
ついに 桃姫たちは
決戦の地 鬼ヶ島に降り立ったのです。
すると……
今をときめく
女子プロレス界のスター三人が
鬼ヶ島にやってくるという情報が
すでに 伝わっており
鬼ヶ島の中央には
立派なリングが設置され
観客である鬼たちが
周囲を取り囲んで 待っていました。
桃姫と
三人の女子プロレスラーが到着すると
割れんばかりの拍手と歓声が
起こりました。
桃姫たちは
いまいち状況が
飲み込めずにいましたが
そんなことを言っている余裕は
なさそうです。
リングの上には
四匹の女子鬼レスラーが
こちらをにらんで
待ち構えていました――
…『【ク・45】 ゴングが鳴るとき』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・29】 レフリー阿部山
それは 女子プロレス専門レフリーの
阿部山でした。
齢53歳 独身男性の 阿部山は
依怙贔屓レフリーとして有名で
悪役のヒールレスラーばかりを
贔屓していました。
だから ダークヤミコは
レフリー阿部山のことが
好きだったのですが
ストロベリーキョウコは……
「テメェ! なにしに来たんだ!
とっとと帰れっ!」
と ケツを蹴って
追い払ってしまいました――
その後
旅を続けていると
また声が聞こえてきました。
それは……
…『【ク・28】 ノーフェイス』にもどる
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・30】 実況アナ古楯
それは プロレス実況アナウンサーの
古楯でした。
齢45歳 既婚男性の古楯は
絶叫系実況アナとして人気でした。
「わたくし 古楯は
今回の鬼退治という一世一代の名勝負を
実況という観点から盛り上げたいと思い
馳せ参じた次第でございます!
ですから どうか!
みなさまの鬼退治に
同行させてください!」
古楯の心意気に
桃姫たちは 強く胸を打たれました。
が しかし。
鬼退治は プロレスではないのです。
生きるか死ぬかの 勝負なのです。
そんな場所に
戦うわけでもない人を
連れていくわけにはいきません。
ましてや
絶叫系の実況アナウンサーなんて
目立ちすぎてしまって
鬼に瞬殺されるに決まっています。
桃姫たちは
古楯の申し出を丁重に断って
鬼ヶ島を目指しました。
旅を続けていると
誰かが声をかけてきました。
それは……
…『【ク・28】 ノーフェイス』にもどる
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・31】 決戦の鬼ヶ島
桃姫は
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんと一緒に
鬼ヶ島に上陸しました。
侵入者に気づいた鬼どもが
大挙して 襲いかかってきました。
桃姫たちは
ひるむことなく
鬼どもに立ち向かいました。
すると
聞きなれない音が
聞こえてきました。
それは
鬼型の巨大ロボでした。
なんと 鬼たちは
巨大ロボを隠し持っていたのです。
刀も 牙も 爪も
巨大ロボには効きません。
桃姫たちに
もはや勝ち目はありませんでした……
そのときです。
あの壊れかけのロボットが
びしょ濡れになって
現れました。
どうやら 海を泳いで
追いかけてきたようです。
「モ モモヒ……メサン」
「あ あなた 喋れるの?」
「カ……カイスイ ニ ヌレテ……
ツウデン シタ ヨーデス」
そう話す途中で
壊れかけのロボットの右腕が
ボトンッと地面に落ちました。
「こんなになってまで……
なんで来たの?」
「オニ ノ ロボ…… タオセル ノ ボクダケ。
アイツ ノ ジャクテン モ……ッテル。
ダカラ ボク コワサレカケタ……
モモヒメ ハ ヤサシク シテクレタ
ユイイツ ノ ヒト。
ダカラ タスケ……タイ」
鬼型の巨大ロボが
ロケットパンチを
撃ってきました。
桃姫は
とっさに 壊れかけのロボットを抱いて
横に飛びました。
間一髪のところで
ロケットパンチを
避けることができました。
「ロボットさん 大丈夫!?」
「ダ ダイジョブ……デス。
ボク……ハジメテ シッタ。
ヒト ノ ヌクモリ……」
「え なに?
よく聞こえなくて……」
「ロボッち!
あんた あいつをやっつけられるんでしょ!
だったら 早く やっつけちゃってよ!」
ユキちゃんが
駆け寄ってきて言いました。
「ハイ ワカッタ。
ボク ヤッツケ……テクル」
壊れかけのロボットは
鬼型の巨大ロボに向かって行きました。
途中 一度だけ振り返ると
桃姫を見て 笑ったように見えた気がしました。
ロボットなので 表情はないのですが……
壊れかけのロボットは
巨大ロボに突撃しました。
が しかし。
巨大ロボの
強烈なゲンコツパンチで
粉々に潰されてしまいました。
「どこが やっつけられるんだよっ!
一撃でやっつけられてんじゃんか!
桃ちゃん もう勝ち目はないよ!
逃げよう!」
ユキちゃんとポポちゃんが
桃姫の腕を引っ張りながら言いました。
桃姫は 壊れされてしまったロボットのことが
気になってしかたありませんでしたが
もはや逃げるしかなさそうです……
そのときです。
巨大ロボの挙動がおかしくなると
鬼どもを攻撃し始めました。
これは 桃姫たちには
知りようもないことなのですが……
あの 壊れかけのロボットの体内には
巨大ロボを破壊するための
ナノマシンが搭載されており
壊れかけのロボットを破壊することで
体外へ放出されるように
なっていたのです。
ナノマシンは 巨大ロボを乗っ取って操り
鬼どもを 次から次へと
倒していきました。
桃姫は ナノマシンのことなど
知りませんでしたが
それでも あの壊れかけのロボットが
巨大ロボを操って 戦ってくれていることは
わかりました。
「ロボットさん! がんばって!」
桃姫たちの声援に応えるように
巨大ロボは暴れ回って
ついに 鬼どもをすべて倒したのでした。
戦いを終えた 巨大ロボは
桃姫たちの横を通り過ぎると
そのまま 海へと入っていきました。
「ロボットさん!?
そこから出て 一緒に帰ろう!」
桃姫の言葉に
巨大ロボは首を振りました。
そして そのまま海へ入っていくと……
ドッガーーーーンッ!
巨大ロボは 海中で大爆発しました。
爆破で吹き上がった海水が
雨のように降り注ぎました。
そのとき
桃姫は聞いたような気がしました。
『アリガトウ……!』
という ロボットの声を……
――その後
鬼退治を終えた桃姫は
多くの人たちから
褒め称えられました。
でも 桃姫は
もう一人の英雄の存在を
けっして忘れませんでした。
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・32】 幼馴染の絆
激戦の中で
桃姫が
背中を預けることにしたのは
幼馴染のカンタでした。
「わたしの背中は
カンタにまかせたからね」
「ああ まかせときな!
それと……桃姫」
「なに?」
「おまえのことは
おれが 死んでも守るから」
カンタの表情は
いつになく真剣でした。
「……守ってはほしいけど
死ぬのはダメ。
わかった?」
「ああ わかったよ」
カンタは 優しく微笑んで
再び 鬼との闘いに戻りました。
…『【ク・37】 桃姫とカンタ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・33】 愛する思いの強さ
激しさを増す戦いの中で
桃姫が
背中を預けることにしたのは
隣村の リュウジでした。
「リュウちゃん!
わたしの背中 預けるからね!」
「……おれで いいのか?」
「え いやなの?」
「ち 違う!
むしろ 嬉しい!
どんどん 預けてくれ!」
「どんどんって……
背中は 一つしかないよ」
「はは そうだな。
……おれのこと
背中を預けるくらいに
信頼してくれて
嬉しいよ」
「当たり前でしょ。
わたし ずっと昔から
リュウちゃんのことは
信じてるもん」
「桃姫……」
「さあ おしゃべりは
このくらいにして
続けるよ 鬼退治!」
「ああ! いくぞ!」
桃姫と リュウジは
息の合った動きで
次から次へと
鬼を斬り倒していきました。
…『【ク・38】 桃姫とリュウジ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・34】 変わらぬ想い
予断を許さぬ死闘の中で
桃姫が
背中を預けることにしたのは
初恋の サトル先生でした。
「サトル先生!
わたしの背中は預けますので
よろしくお願いします!」
「ああ わかった!
まかせておきな 桃ちゃん!」
「……ふふ」
「ん? なにがおかしいんだ?」
「わたし 昔っから
サトル先生に
桃ちゃんって呼ばれるのが
大好きだったんです。
桃ちゃんって呼んでもらうために
先生の前を 何度も何度も
行ったり来たりしてたんですよ。
気づいていなかったでしょうけどね」
「……いや 気づいていたさ」
「え……」
「この子は おれのことを
好いてくれているんだなって
わかっていたよ。
あの頃は 気持ちに応えることが
できなくて ごめん。
だけど 今なら……
おっと 鬼の数が増えてきたぞ。
続きは またあとで」
桃姫は サトル先生の背中を見ながら
忘れていた初恋の甘酸っぱさを
思い出していました。
…『【ク・39】 桃姫とサトル先生』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・35】 最終決戦場は恋の修羅場
桃姫は
トラペジウム王国の王子 イーサンと
幼馴染のカンタと
そして スーパーマッチョな シュワルツと
鬼ヶ島に上陸しました。
侵入者に気づいた 鬼どもが
金棒を持って 向かってきます。
すると……
「桃姫さん
きみのことは
ぼくが守るからね!」
と イーサンは言って
桃姫の手を取りました。
カンタは イーサンの手を払うと
桃姫の手を 強く握り締めました。
「安心しろ 桃姫!
おれがついている限り
おまえには
指一本触れさせないからな!」
シュワルツは
カンタを持ち上げて
横にずらすと
桃姫の手を 優しく握りました。
「桃姫くん
怖いときは
わたしの後ろにいるといい。
わたしは なにがあっても
桃姫くんの盾になるからね」
そんなシュワルツの手を
イーサンと カンタが力尽くで
引き離そうとしますが
マッチョなシュワルツの手は
まったく 桃姫から離れませんでした。
そうこうしている間に
鬼どもは もうすぐそこまで
迫ってきています。
「もうっ!
こんなことしている場合じゃないでしょ!」
桃姫が怒鳴ると
三人の表情は変わりました。
実は この三人は
桃姫の緊張をほぐすために
わざと 緊張感ゼロのような
演技をしていたのです。
「さて 行くとしますか」
カンタは 刀を抜きました。
「桃姫さんに
ぼくのいいところを
見てもらわないとね」
イーサンは サーベルを構えました。
「結果がすべて。
それだけだ」
シュワルツは 指や首の骨を
ポキポキッと鳴らしました。
そして 最後の戦いが 始まりました。
…『【ク・40】 負傷の数だけ愛して』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・36】 鬼退治が始まる
桃姫と
幼馴染のカンタと
トラペジウム王国の王子 イーサンと
最強忍者の服部半蔵と 仲間たちは
ついに 鬼ヶ島に上陸しました。
侵入者に気づいた鬼どもが
いっせいに飛び出してきました。
桃姫は 流麗な剣技で
鬼どもを斬り倒していきました。
カンタは 素早い身のこなしで
鬼の振り回す金棒を避けては
次々に斬っていきました。
イーサンは 華麗なサーベルさばきで
無骨な戦い方しか知らない 鬼どもを
翻弄しながら 斬りました。
服部半蔵は 手裏剣や まきびしなど
忍者の道具の数々を使って
鬼どもを倒していきました。
そして 桃姫は
激闘の末に 鬼の大将を倒して
ついに 鬼退治を成し遂げたのでした。
歓喜する 桃姫たちは
最後に 鬼どもが人々から奪った
金銀財宝を取り戻すことにしました。
もちろん 自分たちで
いただくわけではなく
人々に返すためです。
いざ 鬼ヶ島の宝物庫へ行くと
そこには なにもありませんでした。
代わりに 紙が一枚
壁に 貼られていました。
その紙には……
『お宝は すべて頂戴した。
各々方の活躍に感謝する。
石川五右衛門』
石川五右衛門は
有名な大泥棒です。
あの大泥棒が
鬼退治をしている隙を突いて
盗みを働いたということ
なのでしょうか……
「あれ? 服部さんは?」
と カンタが気づきました。
服部半蔵と 仲間の忍者たちの姿が
どこにも見当たりません。
それから 鬼ヶ島中を 探したのですが
結局 石川五右衛門も 服部半蔵たちも
みつけることは できませんでした。
その後 桃姫たちは
鬼退治の報せを持って
帰還したのですが
金銀財宝を持って帰ってこなかったため
多くの非難をあびることに
なってしまいました。
中には
「金銀財宝がなかったと嘘を言って
すべて奪うつもりだ!」
と 言い出す人までいました。
善い行いをしたはずなのに
ひどい非難をされたことで
イーサンは 日本の国民に失望し
国へ帰ってしまいました。
桃姫と カンタは
故郷でも白い目で見られ
移住を余儀なくされました。
石川五右衛門に 金銀財宝を奪われたことで
桃姫たちの その後の人生は
散々なものだったのです。
――その後
桃姫たちが 真実を知るのは
それから三十年後のことでした。
天下の大泥棒 石川五右衛門が
ついに御用となったのです。
その顔は
あのとき 鬼退治に同行した
服部半蔵でした。
あの服部半蔵は
偽物だったのです。
真実を知った 桃姫は
あのとき 桃姫たちが抱いていた
『みんなのために
悪の鬼どもを倒したい!』
という正義の気持ちを
大泥棒に利用されていたことに
苛立ちを覚えました。
あの鬼退治によって
世界から 鬼の脅威は消えました。
一時的に平和は訪れたものの
真の平和は 訪れませんでした。
人が人を騙し 殺めるように
なっていったからです。
今の世を見て
桃姫は つい思ってしまうのです。
本当に 退治すべきだったのは
誰だったのだろうか…… と。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・37】 桃姫とカンタ
熾烈を極める 戦いの末
桃姫と カンタは
ついに 鬼の大将のところまで
やってきました。
「小娘どもが!
鬼に刃を向けたことを
後悔させてくれようぞ!」
鬼の大将との
最後の戦いが始まりました。
二対一ではありましたが
鬼の大将の 圧倒的な力を前に
桃姫と カンタは
苦戦を強いられました。
激戦が続き
双方ともに疲弊してきたときです。
「桃姫……
おれが 全力で隙を作る。
だから おまえが
とどめを刺してくれ」
カンタは そう言うと
鬼の大将に 突進していきました。
すると
疲労から カンタは めまいを起こし
その場で へたりこんでしまいました。
その隙を 鬼の大将は
見逃しませんでした。
鬼の大将の 重くて硬い金棒が
カンタに向かって
振り下ろされました。
「カンタァァァァァッ!」
桃姫の 悲痛のような悲鳴が
響き渡りました……
次の瞬間
鬼の大将は 金棒を持ち上げようとしましたが
持ち上がりませんでした。
なんと カンタが
金棒に刀を突き刺して
止めていたのです。
カンタは めまいを起こしたフリをして
鬼の大将の攻撃を誘い
この隙を生み出したのです。
すべては カンタの
体を張った作戦だったのです。
「桃姫っ! いまだっ!!」
カンタが叫ぶ中
桃姫は 渾身の力を振り絞って
鬼の大将を斬りました。
鬼の大将は ゆっくりと崩れ落ち
二度と立ち上がることは
ありませんでした。
戦いが 終わりを迎えたのです。
「カンタ! やったよ!
わたしたち 勝ったよ!」
桃姫は カンタに駆け寄りました。
しかし 鬼の大将の強烈な一撃を
まともにくらった カンタは……
…『【ク・41】 その後の物語』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・38】 桃姫とリュウジ
熾烈を極める 戦いの末
桃姫と リュウジは
ついに 鬼の大将のところまで
やってきました。
「小娘どもが!
鬼に刃を向けたことを
後悔させてくれようぞ!」
鬼の大将との
最後の戦いが始まりました。
激しい戦いの中
桃姫の目に 汗が入りました。
桃姫は その汗を拭おうとして
視線を 鬼の大将から逸らしました。
その一瞬の隙を
鬼の大将は見逃しませんでした。
鬼の大将の 素早くて鋭い金棒が
桃姫へと向かいました。
次の瞬間
桃姫の前には
リュウジが立っていました。
そのとき 桃姫は見たのです。
リュウジが 笑っているのを。
リュウジは
鬼の大将の金棒を
真正面から受け
壁まで飛ばされました。
「ガーハーハーッ!
女をかばって死ぬとは!
なんて 愚かな奴だ!」
リュウジの行為を あざ笑う鬼の大将を
桃姫は ぜったいに許せませんでした。
怒りによって
通常以上の力を手にした 桃姫は
鬼の大将を圧倒し
そして 鬼の大将の首を
斬り落としました。
勝利を手にした 桃姫は
急いで リュウジに駆け寄りました。
しかし もうすでに
リュウジは息をしていませんでした。
リュウジの勇気ある自己犠牲によって
鬼退治は 成し遂げられたのです。
桃姫は いつまでも いつまでも
リュウジの亡骸を抱き締め続けました……
鬼がいなくなり
世界は平和になりました。
しかし 桃姫は
誰とも結婚をせず
独身で居続けたのでした。
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・39】 桃姫とサトル先生
熾烈を極める 戦いの末
桃姫と サトル先生は
ついに 鬼の大将のところまで
やってきました。
桃姫は 鬼の大将を前にして
改めて 気を引き締めました。
「計画通りにいったようだな」
と 鬼の大将が言いました。
「ああ。
優秀な仲間たちで 助かったよ」
と サトル先生は応え
鬼の大将の方へと
近づいていきました。
「おまえも 飲むか?
勝利の美酒だ」
「そうだな。いただくとしようか」
鬼の大将は サトル先生に
盃を渡すと お酒を注ぎました。
目の前で起こっていることが
桃姫には 理解できませんでした。
「おっと。忘れてた。
桃ちゃんには 説明しないとな。
おれと 鬼の大将は
旧知の仲なのさ。
意外かもしれないが
鬼と仲の良い人間は
案外いるもんなんだよ」
「そ そんな……
でも だとしたら
どうして こんなことを……」
「ああ そうだよね。
鬼と仲が良かったら
なんで鬼をたくさん斬ったのか
意味がわからないよね。
鬼っていうのは
そう簡単に死なないんだよ。
おれたちが切り殺したと思っている鬼は
死んだふりをしているだけなんだ。
きっと なんでそんな真似を
するんだって 思うよね。
遊びだよ。
暇潰しの ただの遊び。
桃ちゃんも 鬼退治ごっこができて
楽しかっただろ?」
そう言って サトルは 鬼の大将と
ケラケラ笑いました。
桃姫は
生まれて初めて
心の底から絶望しました。
全身の力が抜けて
その場に座り込んでしまいました。
もう立ち上がる気力もありません。
そして
目の前が 真っ暗になりました……
しかし それは
そういう気持ちの表現としてではなく
実際に 目の前が真っ暗になったのです。
桃姫の前には
カンタと リュウジが立っていました。
二人は 全身が血まみれでした。
しかしそれは 二人の血ではなく
鬼どもを斬って浴びた 返り血でした。
「残念だけど
あんたらの遊びは
もうとっくに終わってんだよ」
「おれと カンタは
事前に調べていたんだ。
鬼の弱点って奴をね。
だから あんたら以外の鬼は
すべて弱点を突いて
息の根を止めておいたよ」
カンタと リュウジの話を聞いて
鬼の大将の顔が 青ざめていきました。
「貴様ら……
おれの可愛い同胞たちを よくも!」
鬼の大将との 最後の戦いが
始まりました。
カンタと リュウジが
激戦を繰り広げる中
サトルは 裏口から逃げようとしていました。
「どこへ行くんですか?」
桃姫が呼び止めると
サトルは笑いながら
近寄ってこようとしました。
桃姫は刀を構え
サトルを近づけさせませんでした。
「おいおい 桃ちゃん。
もしかして 怒ってるのかい?
さっきの話だけど
全部 嘘に決まってるじゃないか。
ああやって 愚かな鬼を騙して近づいて
油断したところで 殺してやろうって
思っていたのさ」
「……そんな話
信じると思いますか?
あなたが こんな人間だったなんて……」
「だから 誤解だって!
おれが 鬼と仲良くするような
人間じゃないってことは
桃ちゃんが いちばん良く知ってるはずだよ!」
「たしかに そうですけど……」
桃姫は 刀を下ろし
鞘の中へしまいました。
「信じてくれて ありがとう」
そう言って サトルは
桃姫を抱き締めようとしました。
しかし その手には
密かに短刀が握られていて……
サトルが桃姫を刺そうとしたとき
桃姫は 目にも止まらぬ居合抜きで
サトルを斬りました。
「居合抜き……
あなたから教わった 最後の技です」
サトルは 斬られたあとも
外へ逃げようとしましたが
力尽きて倒れ 絶命しました。
そのとき
カンタと リュウジも
鬼の大将を斬り倒し
勝利を手にしていました。
こうして
桃姫たちの鬼退治は
無事に達成したのでした。
――その後
平和になった世界で
桃姫は 剣術の先生になりました。
敵を斬るための剣ではなく
仲間を守るための剣を
桃姫は生徒たちに教えました。
カンタと リュウジは
いまだに 桃姫へ告白し続けていますが
良い返事はもらえずにいます。
三人の恋バナについては
またいずれ 別の機会に……
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・40】 負傷の数だけ愛して
――その後
桃姫たちは
死闘の末に すべての鬼を倒し
鬼退治を成し遂げました。
桃姫は
三人の勇敢な戦士のおかげで
傷一つ 負うことなく
終えることができました。
しかし その代償として
カンタ イーサン シュワルツの三人は
尋常ではないほどの深手を
負いました。
まず カンタは
桃姫を守るために
右腕で 鬼の金棒を受け
腕が千切れてしまいました。
イーサンは
鬼が 桃姫に向かって 毒霧を吹いたとき
桃姫をかばって 全身で毒霧を受けてしまい
両目を失明してしまいました。
シュワルツは
桃姫の盾となって
鬼どもの金棒や槍を受けたため
全身に 267もの傷を負いました。
鬼退治が終わったあとで
カンタと イーサンと シュワルツは
それぞれ 別の病院へ
入院することになりました。
桃姫は 毎日毎日
三人の病院へ通い
身の回りのお世話をし続けました。
そして 三人は
それぞれ退院した その日に
桃姫にプロポーズをしました。
桃姫は
その中の 誰かのプロポーズを
受けることにしたのですが……
そのお話は
また 別の機会に……
おしまい
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・41】 その後の物語
鬼退治を成し遂げた日から
一ヶ月が経とうとしていました。
桃姫は
カンタの家へとやってきました。
あの日以来
カンタはずっと眠ったままです。
心臓は動き 呼吸もしているのですが
目を覚ますことはありませんでした。
カンタの両親は
これ以上 カンタを苦しませず
楽にしてやろう と言いましたが
桃姫が 許しませんでした。
鬼の脅威が去り
世界は ようやく平和になりました。
すべて カンタのおかげです。
なのに
肝心のカンタが
平和な世の中を知らずに去るなんて
桃姫には 許せませんでした。
桃姫は 毎日 カンタのもとへ通って
話しかけ続けました。
「あのね カンちゃん。
本当はね
ずっと カンちゃんのことが
好きだったんだよ。
でも カンちゃんは
まっすぐな人だし
わたしなんかは不釣り合いだと思って
遠ざけてたんだよ。
こんな風になってから
気持ちを告白するのって
卑怯だよね。
ごめん……
でも これからは
わたしがカンちゃんのことを
守るから。
だから カンちゃん
一緒にがんばろうね……」
桃姫の目から
涙がこぼれ落ちました。
その涙は
偶然にも カンタの口元に落ちました。
すると
カンタの口が ゆっくりと動き出し
そして カンタは
目を覚ましたのでした。
これは 桃姫も知らないことなのですが
桃から生まれた桃姫には
桃の民の不思議な力が
備わっていました。
その力の一つが
涙に込められた 治癒能力だったのです。
そうとは知らずに
偶然 桃姫の涙を口にした カンタは
目を覚ますことができたのでした。
――一年後
桃姫は カンタと結婚をして
末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし めでたし
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・42】 復讐は氷の如く
桃姫は
真っ白い犬の ユキちゃんと
雪女さんと一緒に
舟で 鬼ヶ島に到着しました。
桃姫が 舟を降りようとすると
雪女さんが それを止めました。
「桃姫さん…… ユキちゃんさん……
ここまで ありがとうございました。
わたしは 雪女という性質上
一人で海を渡ることができませんでした」
雪女さんは
近くに落ちていた枝を持つと
そのまま 海に入れました。
すると 枝を中心に
海が凍ってしまいました。
「なるほど……
雪女さんが 櫂を持ったら
海が凍っちゃって進めないのね」
と ユキちゃんが言いました。
「そうなんです……
だから 誰かにお願いをする以外に
ここへ来る方法がなかったのです……
ですが いかんせん
雪女の話を まともに聞いてくれる人など
どこにもいなくて……
話を聞いてくれただけでなく
ここまで連れてきてくれて
本当にありがとうございました……
あとは わたしにまかせてください」
「え? どういうことですか?」
「わたしの力で
この島ごと 凍らせます。
鬼たちには 氷の中で
一生 罪を背負ってもらいます」
「で でも それじゃあ
雪女さんも ずっと氷の中に
いることになってしまいます!
それは あまりにもつらすぎます……」
「フフ……
桃姫さんは 本当にお優しいですね。
大丈夫ですよ。
わたし 少しも寒くありませんから」
雪女さんは そう言って
たった一人で
鬼ヶ島の中へと入っていきました。
桃姫と ユキちゃんが
急いで舟を 鬼ヶ島から遠ざけると……
鬼ヶ島が 見る見るうちに凍っていき
あっという間に
氷の島になりました。
こうして
鬼に捨てられた雪女の復讐によって
鬼退治は 成し遂げられたのでした。
……桃姫たちは 知りません。
雪女が
凍った鬼ヶ島の中で
凍った 元夫の鬼を
愛で続けていることを……
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・43】 一人で鬼退治
桃姫は
たった一人で
鬼ヶ島に 降り立ちました。
一人は 心細かったのですが
しかし これでよかったのかもと
桃姫は 思いました。
なぜなら これで
誰の目も気にすることなく
本性を曝け出すことができるからです。
女の子が 一人で乗り込んできたことに
気づいた 鬼どもが
ニヤニヤしながら やってきました。
「おいおい お嬢ちゃん。
一人で こんなところに来ちゃだめだろ。
危ないから オニイさんが
安全な場所に 連れてってあげるからねぇ」
「大丈夫 大丈夫~
オニイさんたちが やさし~くして
あげるからねぇ~」
鬼どもが 桃姫に手を伸ばした
そのときです。
桃姫の眼が 桃色に光りました。
さらに 髪も桃色になり
刀も 桃色の光を放ちました。
桃姫が 真の力を解放するのは
これが初めてでした。
「な なんだ こいつ……」
全身を桃色に染めた 桃姫が
鬼どもを見て ニヤリと微笑みました。
――その後
鬼ヶ島には 鬼どもの遺体が
転がっていました。
しかし 誰が どうやって
鬼どもを成敗したのかは
謎のままでした。
そうなのです。
桃姫は 鬼退治をしたことを
名乗り出なかったのです。
名乗り出ることなど
できるわけがありませんでした。
なぜなら
鬼ヶ島に残された 鬼の遺体は
完全に真っ二つに斬られていたり
複数匹の鬼が 一本の槍で串刺しになっていたり
鬼の頭だけが 棚に並べられていたり……
と 猟奇的な有様だったからです。
自分の中に眠る力を恐れた 桃姫は
その後 ずっと独り身で居続けました。
あの力が 不意に目覚めてしまったとき
近くにいる人を殺してしまうのでは…… と
恐れたからです。
しかし……
あのとき
鬼ヶ島で 力を解放して感じた
この上ない 自由と 快楽を
桃姫は 忘れることができませんでした。
あの自由と快楽を
もう一度 味わいたい……
その想いは
次第に 桃姫をむしばんでいきました。
そして ある夜。
桃姫は 人気のない山奥で
力を解放したのです。
全身を覆いつくす 桃色の快楽に
桃姫は酔いしれました……
いつしか 人々の間で
『あの山には 夜な夜な鬼が出る』
という話が 出回るようになりました。
そして
その鬼の正体が 桃姫であると
バレてしまうときが やってくるのですが
その物語については
また別の機会に語るとしましょう……
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・44】 桃姫の鬼退治
桃姫は
白い犬の ユキちゃんと
ニホンザルの ポポちゃんと
ニホンキジの ケンちゃんと一緒に
鬼ヶ島に上陸しました。
侵入者に気づいた 鬼どもが
いっせいに襲いかかってきました。
桃姫たちは
見事な連携プレイによって
鬼どもを 次から次へと
やっつけていきました。
桃姫たちの強さに 観念した 鬼どもは
白旗を振って 降参しました。
桃姫たちは
鬼どもに 二度と人間たちに
悪さはしないと 約束をさせました。
そして みんなから奪った金銀財宝を
きちんと返すように命じました。
こうして
反省した 鬼たちは
奪った金銀財宝を みんなに返しました。
それからは みんなのために と
海岸のごみをひろったり
漁業の手伝いをしたり と
みんなで協力し合って
生きていくようになりました。
桃姫は
人も 鬼も みんなが
平和に暮らしている世界を見て
心から嬉しく思いました。
めでたし めでたし
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ク・45】 ゴングが鳴るとき
こうして
桃姫
ダークヤミコ
ストロベリーキョウコ
ノーフェイスの
『桃姫チーム』と
四匹の女子鬼レスラーの
『最強女子鬼チーム』による
四対四の 時間無制限一本勝負の
開始を告げるゴングが 鳴り響きました。
――数時間後
どれほどの時間が経ったのか
選手たちはもちろん
観客たちにも わかりませんでした。
誰もがリング上でおこなわれている
激闘から 目を離すことができず
息をするのも忘れて
見守り続けていました。
そんな 史上最高の試合を終わらせたのは
桃姫でした。
桃姫は 最後の力を振り絞ると
女子鬼の巨体を持ち上げ
ボディ・スラムを くらわせました。
そして そのまま抑え込んで
スリーカウントを聞きました。
試合終了を告げる ゴングが鳴り響き
観客たちが いっせいに歓声をあげました。
桃姫たちは
疲労でフラフラになりながら
なんとか 歩み寄って
四人で抱き合いました。
――その後
日々の愚行を反省した 鬼たちは
その証として
今までに奪った金銀財宝を
すべて 持ち主に返還しました。
さらに
無期限で 海岸や海のゴミ掃除をすると宣言し
実行しました。
鬼がいることで
海岸や海の治安は守られ
逆に 多くの観光客が
集まるようになりました。
そして 毎年6月には
鬼ヶ島の特設リングにて
人間の女子プロレスラー 対
鬼の女子プロレスラーによる
頂上決戦が おこなわれるようになったのでした。
桃姫はというと
女子プロレス界に 誘われたのですが
レスラーにはなりませんでした。
桃姫の目的は
鬼退治と 平和な世界だったので
それが達成した今
あのときのような
熱い試合ができるとは
とても思えなかったからです。
桃姫は 田舎へ帰って
学校の先生になりました。
桃姫のもとには
6月の試合の招待券が
届いています。
今年も おじいさんと おばあさんと一緒に
鬼ヶ島まで観に行く予定です。
その日を 心待ちにしながら
桃姫は 今日も 学校へと向かうのでした。
めでたし めでたし
もしも、桃太郎だったら… ~桃太郎の物語をゲームブック風にしてみたら、驚愕の世界線の存在が露わとなった~ まこ&レモンサワー @wani-no-shinzou
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