【ム】 雷と鬼と月の秘密
●【ム】 雷と鬼と月の秘密
雷鳴と共に現れた 鬼たちは
桃姫を見るなり
ニヤリと 不気味に笑いました。
「ようやく みつけたぞ
ペシュリュンヌ」
桃姫は
とてもおどろいた顔をしたあと
すぐに 険しい顔になりました。
「その名で呼ばれるのは
千年ぶりくらいかしらね。
わたしの古い名を
知っているとは……
あなたたち
月裏の民ね?」
「ふっふっふっ。
月裏か。
久しぶりに聞いたな。
今 おれたちの国を
月裏って呼ぶ奴は
ほとんどいないんだぜ。
時代遅れのお嬢さんに
教えておいてやるよ。
おれたちの国は
『鬼ヶ島』って言うんだ」
「鬼ヶ島……」
「鬼ヶ島は
地球の ある島と
繋がっているんだ。
だがな
おまえたち 月の民が
繋がりを断ち切りやがった。
おかげさまで おれたちは
月の裏にある 鬼ヶ島へ
帰れねぇんだよ。
ここまで言えば
賢い あんたなら
もうわかるよな?
月の女王に言って
月の裏の鬼ヶ島と
地上にある島との繋がりを
もとに戻せ。
従わないと……」
いつの間にか
背後に回っていた鬼たちが
おじいさんと おばあさんを
捕えました。
「おじいさん!
おばあさん!」
「じじぃと ばばぁの命が惜しかったら
今 言ったことを実行しろ。
三日だけ待ってやる。
じゃあな
ペシュリュンヌ」
鬼たちは
おじいさんと おばあさんと共に
雷になって 消えました。
「おじいさん おばあさん……
全部 わたしのせいだ。
もっと はやく
月に帰れたのに
いつまでも 二人に甘えて
地球に残り続けたから
こんなことに
巻き込まれてしまった……
わたしのせいだ。
なんとかしないと……」
そして 桃姫は……
1
鬼退治に向かいました。
…『【ム・1】 桃姫の鬼退治』にすすむ
2
月の民に連絡をしました。
…『【ム・2】 桃姫と月の民』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ム・1】 桃姫の鬼退治
桃姫は
おじいさんと おばあさんを
助けるため
鬼どもの命令に従うのではなく
鬼どもを 一匹残らず
退治してやると決めました。
桃姫は
走って 家へ帰ると
戦いやすい 羽織袴と
斬れ味が抜群の 刀と
おばあさんが作ってくれた
きびだんごを持って
出発しました。
…『【ム・3】 鬼ヶ島への道』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ム・2】 桃姫と月の民
桃姫は
おじいさんと おばあさんを
助けるために
月の民に
連絡を取ることにしました。
月にいる 月の民と
連絡を取るには
まず 踊る必要があります。
月の民に伝わる
『月呼びの舞い』です。
この舞いは
盆踊りの原型だと
言われていますが
それは 秘密とされています。
桃姫は
一人で 音楽もなく
盆踊りによく似た 舞いを
踊りました。
これを踊ることによって
体内で眠る 月の民の血が目覚め
連絡を取るための準備が
整うのです。
次に 桃姫は
右手の人差し指を ピンと伸ばして
頭の上に乗せ
左手の人差し指を
耳の中に さしました。
右手がアンテナで
左手が受話器です。
その状態で
月の民~ 出て~ 出てくださ~い
と 念じると
月にいる 月の民と
交信できるようになるのです。
桃姫が 念じてから 五秒後……
「はい こちら月の民情報センターです。
ご用件を お話しください」
「わたしは
第3776代目 王女の
ペシュリュンヌです。
月の女王陛下へ
連絡を繋いでいただけますか?」
「かしこまりました。
少々 お待ちください」
テンテロテンテンテ~ン
テンテロテンテンテ~ン
ガチャ
「はいはーい
こちらは 月の女王でーす」
「女王さま お久し振りです。
ペシュリュンヌです」
「えっ ペシュりん!?
マジで久しぶりじゃん!
何百年ぶり?」
「千年ぶりくらいです。
それより 地球でいろいろありまして……」
「あ~ うん 今 報告を受けたよ。
月裏の民の鬼に
地球人をさらわれたのね。
で 月裏と島を繋ぎなおせと脅されている と」
「はい そうなんです。
さらわれた地球人は
とても恩義のある人で
ぜったいに助けたいのです。
ですから……」
「これって ペシュりんの
自業自得だよね?
本当は もっとはやく
月へ帰ってこれたのに
地球で もたもたしてるから
こんなことになっちゃった。
だよね?
あのね。
月裏と 地球の島を繋げていた
魔法の通路を破壊するのに
ものすごく時間と労力が
かかったのよ。
ざっと 七百年くらい。
それを戻すなんてことは
まずできないよね。
しかも 月に縁もゆかりもない
地球人のためになんて。
うちが言ってること
わかるよね?」
「はい わかりました……
あとはこちらで対処します」
「うん そうして。
じゃあ 月に戻ってきたら
また月の海で バーベキューでも
しようよ。
じゃーねー」
ガチャ
桃姫は 右手と左手を
下ろしました。
こうなったら
自分で 二人を救出するしか
ありません。
桃姫は
すぐさま 家へ帰ると
戦いやすい 羽織袴と
斬れ味が抜群の 刀と
おばあさんが作ってくれた
きびだんごを持って
出発しました。
…『【ム・3】 鬼ヶ島への道』にすすむ
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●【ム・3】 鬼ヶ島への道
桃姫は 走って 鬼ヶ島を目指しました。
すると その道中
桃姫が 鬼退治に行くという
話を聞きつけた者たちが
お供したいと 言ってきてくれました。
その者たちは……
1
イヌと サルと キジ
…『【ム・4】 安心と信頼のお供たち』にすすむ
2
女流剣士三人衆
…『【ム・5】 熱き女の友情』にすすむ
3
三人のイケメン王子
…『【ム・6】 三人の婿候補』にすすむ
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●【ム・4】 安心と信頼のお供たち
桃姫の お供になりたいと言ってきたのは
イヌと サルと キジでした。
桃姫は それぞれに きびだんごをあげると
一緒に鬼ヶ島へと向かいました。
おじいさんと おばあさんが
囚われている以上
正面から突撃するのは危険です。
そこで 桃姫たちは
深夜に襲撃することにしました。
真っ暗闇の中
小舟で 鬼ヶ島に上陸すると
桃姫たちは いびきをかいて
寝ている鬼どもを
次から次へと 暗殺していきました。
そして
地下の牢獄を発見し
おじいさんと おばあさんの
救出に成功すると
一目散に 鬼ヶ島を脱出すべく
小舟へ向かいました。
そのとき
異変に気付いた 鬼どもが
目を覚まして 襲いかかってきました。
桃姫たちは 意を決して
戦うことにしました。
しかし
おじいさんと おばあさんを
守りながらの戦闘は
なかなか難しいものがあります。
一瞬の隙を突かれ
桃姫は 背後を取られてしまいました。
振り上げられた金棒が
桃姫に向かって
振り下ろされました……
そのとき
おじいさんと おばあさんが
桃姫を押し飛ばしたのです。
桃姫は 助かりましたが
代わりに おじいさんと おばあさんが
金棒の下敷きになってしまいました。
もはや 生きていないことは
明白でした。
その瞬間
桃姫の中で
なにかが壊れました。
怒りによって
我を忘れた 桃姫は
尋常ではない力で
鬼どもを 真っ二つに斬り裂きました。
鬼神のような勢いに
鬼どもは恐れをなして
逃げ出しました。
しかし 桃姫は許さず
すべての鬼を 駆逐しました。
――数時間後
朝陽が 昇り始めました。
太陽に照らされた 鬼ヶ島は
鬼たちの血で 真っ赤に染まっていました。
桃姫は
おじいさんと おばあさんの遺体を持って
村へと帰りました……
おじいさんと おばあさんの葬儀を終えて
遺骨をお墓に納めると
桃姫は 月の民に連絡を取りました。
まもなくして
月の国から 桃型の乗り物が飛来し
桃姫は それに乗って
月の世界へと帰っていきました。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【ム・5】 熱き女の友情
桃姫の お供になるよと言ってきたのは
女流剣士の三人衆でした。
桃姫は お近づきの印として
きびだんごをあげました。
しかし
「わたしたちは
専属の栄養士が作ったものしか
食べないの」
と 拒否されました。
おや……
と 桃姫は思いましたが
なにも言いませんでした。
次に 名前を尋ねると
「わたしたちは
名前を明かさない規則。
それは 無用な馴れ合いを
さけるためよ。
でも 作戦を遂行する上で
呼び名は必要よね。
わたしは エメラルド。
彼女は サファイア。
こちらの彼女は ルビーと呼んで」
おやおやおや……
この人ら 大丈夫なのか?
と 桃姫は思いましたが
やはり 言わないでおきました。
そして
鬼ヶ島の目前まで
やってきました。
おじいさんと おばあさんが
囚われている以上
正面から突撃するのは危険です。
そこで 桃姫は
深夜に襲撃することを提案しました。
すると
「深夜の襲撃だなんて
優雅じゃないわ。
わたしたちらしく
正面から 華麗に突入し
絢爛たる勝利を 手にしましょう」
ここで 桃姫は限界を迎えました。
「あのね。
これは あんたらのための
戦いじゃないの。
あんたらが優雅かどうかなんて
そんなもん 知らないし
いらないのよ。
あんたらの言う
華麗な突入とやらをした結果
囚われた人たちが
命を落としてしまったら
どう責任を取るわけ?
自分たちが
外からどう見えるかってことより
助けるべき人たちを
どうやったら助けられるか
それを考えるべきなんじゃないの?」
桃姫の言葉を受けて
女流剣士の三人は
神妙な顔になりました。
考えを改めてくれたのだと
桃姫は思ったのですが……
「どうやら わたしたちは
真逆の主張を抱いているようね。
あなたと理解し合えないことは
実に残念でならないわ。
この作戦に
わたしたちは参加できない。
あとは ご自身で対処して。
さようなら」
女流剣士三人衆は
去っていきました。
桃姫は すっかり呆れてしまいました。
その後 桃姫は
誰にも頼ることなく
単身で鬼ヶ島へと潜入し
おじいさんと おばあさんの救出に
成功しました。
さらに
鬼どもを生かしておくのは
危険だと判断し
鬼ヶ島へ爆弾を仕込み
島ごと破壊しました。
こうして 桃姫は
おじいさんと おばあさんを助けた上に
鬼どもを殲滅して
世界に平和をもたらしました。
そして 桃姫は
月へと帰っていったのでした。
めでたし めでたし
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●【ム・6】 三人の婿候補
桃姫の お供に立候補してきたのは
三人のイケメン王子でした。
一人目は 南の国の王子さまです。
浅黒い肌と 引き締まった筋肉で
多くの女性を 魅了しています。
二人目は 北欧の国の王子さまです。
金髪に青い瞳 すらりとした高身長の
モデル系イケメンです。
三人目は 成金王国の王子さまです。
全身ブランド品で 香水の匂いがきつく
鼻が曲がりそうです。
この三人は 以前から
桃姫にアタックするチャンスを
狙っていました。
なので
おじいさんと おばあさんが
連れ去られたと知るやいなや
颯爽と現れて 救いの手を
差し伸べてきたのでした。
「桃姫さん 大変だったね。
でも もう大丈夫だよ。
ぼくと一緒に
二人を救出しよう!」
と 浅黒王子が言いました。
「桃姫 安心して。
ここから ぼくがついてるよ。
共に力を合わせて
この難局を乗り越えよう!」
と 金髪王子が言いました。
「桃ちゃん!
もう心配はナッシングだぜ!
おれが 軍隊を動かして
あの腐れ鬼どもを
ぶっ潰してやるからさ!
まっかせといて!」
と 成金王子が言いました。
この間 桃姫は
ずっと無表情でした。
すっかり 呆れていたからです。
「わたし 気づいてましたよ。
あのとき あの山にいましたよね?
お三方とも」
三人の王子は
ギクッとしました。
そうなのです。
三人は それぞれ手下を使って
桃姫の動向を 調査していたので
おじいさんたちと
山へ行くことも知っていました。
そこで 三人は
山の頂上で 待ち伏せをして
プロポーズをするつもりだったのです。
ですが
鬼たちが現れたので
急いで逃げ出し
プロポーズ大作戦は
急きょ中止になったのでした。
「鬼が現れたとき
すぐに逃げましたよね?
あなたたちが
助けてくれなかったせいで
おじいさんと おばあさんは
捕まってしまいました。
そんな 情けない奴らに
協力を求めると思います?
王子だろうが
イケメンだろうが
お金持ちだろうが
上辺だけの浅い人には
興味がありませんので」
桃姫は そう言って
その場から走り去りました。
三人の バカ王子は
悔しそうに 口を尖らせました。
その後 桃姫は
お供しますと言ってくれた
イヌと サルと キジと共に
鬼ヶ島へと乗り込み
おじいさんと おばあさんを
無事に救出すると共に
鬼どもを 一匹残らず
やっつけたのでした。
こうして
おじいさんと おばあさんを助けた上に
鬼退治もした 桃姫は
無事に 月へと帰っていったのでした。
めでたし めでたし
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