【リ】 最初のお供は ライオン

●【リ】 最初のお供は ライオン


 桃太郎と ライオンが

 鬼ヶ島を目指して歩いていると

 誰かが 近づいてきました。


 それは……


  1

 トラ

  …『【リ・1】 二番目のお供は トラ』にすすむ


  2

 ゴリラ

  …『【リ・2】 二番目のお供は ゴリラ』にすすむ


  3

 ゾウ

  …『【リ・3】 二番目のお供は ゾウ』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・1】 二番目のお供は トラ


 それは トラでした。


「桃太郎というのは キミだね?


 吾輩は トラ・ドゥ・タイガー伯爵。

 どうぞ お見知りおきを。


 さて 吾輩は

 桃太郎の 計画に賛同して

 ここまでやってきたのだ。


 そう キミの鬼退治という

 一大計画にね。


 チームに加わりたいのだが

 儀礼として なにかをもらって

 食べる必要があるとか ないとか。


 その食べ物とやらを

 もらっても よろしいかな?」


 桃太郎は

 きびだんごを 渡しました。


「ほう これが噂の きびだんごか。

 では いただこう。


 もぐもぐ……


 んー! デリシャス!

 これは 美味しい!


 さあ これで儀礼は終了だな。

 共に行こうではないか

 鬼ヶ島へ!」


 トラは 先陣を切って

 歩き出しました。


 桃太郎と ライオンは

 一方的な展開に

 目が点になっていましたが


 とりあえず

 トラのあとを 追いました。


  …『【リ・4】 三番目のお供』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・2】 二番目のお供は ゴリラ


 それは ゴリラでした。


「ウホホホ……

 腹が減って

 もうドラミングもできねぇ……」


 桃太郎は ゴリラに

 きびだんごをあげました。


 ゴリラは ものすごく喜んで

 胸を ドンドコドンドコ 叩きました。


「ウホッ! こりゃうまい!

 桃太郎さん ありがとよ!


 ところで 風のウワサで 聞いたんだが

 おまえさんたちが 鬼退治に行こうと

 しているっていうのは 本当なのか?」


 桃太郎が そうだよ と答えると

 ゴリラは 再び

 胸を ドンドコドンドコ 叩きました。


「そりゃあ 思う存分

 暴れられそうだな!


 怪力だったら 鬼にも負けないぜ。

 おれを お供に加えてくれ!」


 こうして 桃太郎は

 ライオンと ゴリラと 一緒に

 鬼退治へ 行くことになりました。


  …『【ウ】 ライオンとゴリラ』にすすむ




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●【リ・3】 二番目のお供は ゾウ


 それは ゾウでした。


「くんくんくん

 いい匂いがするぞう。


 美味しいものが

 近くにありそうだぞう。


 ああ 食べたいぞう」


 ゾウは どうやら

 きびだんごのことを

 言っているようです。


 桃太郎は 巾着の中から

 きびだんごを取り出しました。


「食べま――」


 桃太郎が「食べますか?」と

 言い終える前に

 ゾウは 長い鼻を使って

 きびだんごを 吸い寄せ

 口へと 運びました。


「もぐもぐもぐ

 うん 美味しいぞう。


 お礼に お手伝いをするぞう」


 ゾウは 長い鼻で

 桃太郎を持ち上げると

 背中に乗せました。


 続けて ライオンも

 鼻で持ち上げて

 背中に乗せました。


 ゾウは 鬼ヶ島に向かって

 のしのしのし と

 歩き始めました。


  …『【ゐ】 ライオンとゾウ』にすすむ




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●【リ・4】 三番目のお供


 桃太郎と ライオンと トラが

 鬼ヶ島を 目指して歩いていると

 またしても 誰かが 近づいてきました。


 それは……


  1

 ジャガー

  …『【リ・5】 三番目のジャガー』にすすむ


  2

 黒猫

  …『【リ・6】 三番目の黒猫』にすすむ


  3

 ねこおとこ

  …『【リ・7】 三番目のねこおとこ』にすすむ




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●【リ・5】 三番目のジャガー


 それは ジャガーでした。


「おまえだろ

 鬼退治をしようっていう

 型破りな男は。


 へえ ライオンと トラを

 お供に 従えてるのか。


 センスが いいじゃんか。


 おまえの そのセンスに

 おれを加える気はないか?


 きびだんごってやつを くれたら

 お供に なってやってもいいぜ。


 さあ どうする?」


  1

 きびだんごをあげました。

  …『【リ・8】 ジャガーの微笑』にすすむ


  2

 きびだんごをあげませんでした。

  …『【リ・9】 ジャガーの溜め息』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・6】 三番目の黒猫


 それは 黒猫でした。


「桃太郎さん

 あなたが来るのを

 お待ちしておりました。


 はい そうです。

 あなたが ここへ来ることは

 千年も前から

 わかっておりました。


 わたしは 鬼退治を目指す

 あなたの力になるために

 幾つもの年月を

 ここで 待ち続けていたのです。


 なにせ 猫には

 九つの心臓がありますからね。

 千年くらい生きても

 まだ若者ですよ。


 さあ お約束のきびだんごを

 一つ わたしにください」


 桃太郎は 黒猫に きびだんごを

 渡そうとしました。


 すると ライオンが

 小声で 桃太郎に言いました。


「やめた方がいい。

 なんだか 嫌なニオイが

 ぷんぷんする」


 それを聞いた 桃太郎は……


  1

 きびだんごを渡しました。

  …『【リ・10】 黒猫の笑い声』にすすむ


  2

 きびだんごを渡しませんでした。

  …『【リ・11】 黒猫の叫び』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・7】 三番目のねこおとこ


 それは ねこおとこでした。


 ねこおとこ とは

 ネコの妖怪です。


「モモタロさん

 お腰に付けた きびだんご

 一つ おいらに くださいにゃ」


 ライオンと トラは

 ねこおとこを警戒して

 唸り声をあげています。


 桃太郎も

 背中に悪寒がはしるのを

 感じました。


 とはいえ

 妖怪を 邪険にしたら

 あとで なにをされるか

 わかりません。


 そこで 桃太郎は

 とりあえず 言われたとおりに

 きびだんごを あげました。


 そして ねこおとこが

 きびだんごを 美味しそうに

 食べている隙に その場から

 足早に退散しました。


 ねこおとこは

 追ってきませんでした。


 桃太郎たちは

 ホッとして

 旅を続けました。


 ……しかし


 この行動によって

 桃太郎たちは

 悪夢よりも ひどい悪夢を

 見ることになるのでした……


  …『【リ・12】 猫男悪夢』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・8】 ジャガーの微笑


 桃太郎は ジャガーに

 きびだんごをあげました。


「ありがとよ!

 おれの俊足があれば

 鬼どもなんて

 楽勝で退治できちゃうぜ!


 さ 鬼ヶ島に行って

 さっさと 鬼どもを

 片付けちまおうぜ!」


 こうして 桃太郎は

 ライオンと トラと ジャガーという

 猫科の最強トリオと共に

 鬼退治へと 向かうことに

 なったのでした。


  …『【リ・13】 猫科トリオの鬼退治』にすすむ




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●【リ・9】 ジャガーの溜め息


 桃太郎は ジャガーに

 きびだんごをあげませんでした。


 ぜったいにもらえると思っていた

 ジャガーは ショックのあまり

 固まってしまいました。


 ジャガーは これまで

 誰かに 断られたり

 フラれたりしたことが

 ありませんでした。


 シュッとした体形に

 キリッとした顔立ちで

 ドット柄のスタイリッシュな模様の

 ジャガーですから

 これまで ずっと

 モテ街道を一直線に

 歩いてきたのです。


 だから 自分に自信しかなく

 自分が声をかければ

 誰だって イエスと答えると

 思い込んでいたのです。


 ジャガーは

 ガックリと肩を落として

 トボトボと帰っていきました。


 その後ろ姿の切なさに

 呼び止めずには いられませんでした。


 桃太郎は

 ジャガーに きびだんごをあげて

 一緒に行こうと 言いました。


「本当かい!

 ありがとう!


 おれ この俊足を活かして

 鬼退治 がんばるよ!」


 こうして 桃太郎は

 ライオンと トラと ジャガーという

 ネコ科の最強トリオと共に

 鬼退治へと 向かうことに

 なったのでした。


  …『【リ・14】 ネコ科トリオの鬼退治』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・10】 黒猫の笑い声


 桃太郎は 黒猫に

 きびだんごを渡しました。


 すると……


「フッフッフ……

 このときを待っていた……

 本当に長い年月

 待ち続けていた……!」


 黒猫が きびだんごを食べると

 体が光り出しました。


 光が消えると

 そこにいたのは 黒猫ではなく

 黒い服を着た 魔女でした。


「ふぅ ようやく戻れたよ。

 千年と百日も かかってしまった。


 おやおや

 おどろいた顔をしているね。


 アタシはね

 アンタのきびだんごを

 食べないと 解けない

 呪いにかけられていたんだよ。


 元に戻れてよかったよ。

 ありがとさん。


 そうそう

 お礼ってわけじゃないんだけどね。


 これから鬼退治へ行く アンタたちに

 いい魔法を かけてあげるよ」


 魔女は 魔法の杖を取り出すと

 桃太郎たちに向けて

 振りました。


「オーマエラーオ

 ネーコノスガータニ

 カエーテヤールー!」


 その途端

 桃太郎は 桃色の猫に

 ライオンは 茶色い猫に

 トラは 虎柄の猫に

 なってしまいました。


「ひゃっひゃっひゃ!

 可愛くなったじゃないか!


 悪く思わないでおくれよ。


 アタシはね

 この世にいてほしくないんだよ。


 アタシが 千年以上もの間

 呪いで黒猫に変えられていたっていう

 悪しき事実を知る者にね。


 ちなみに言っておくけど

 アンタらの呪いを解く方法はないよ。


 せいぜい 猫として

 楽しく生きることだね!」


 魔女は 魔法のホウキに乗って

 どこかへ行ってしまいました。


 猫になってしまった 桃太郎たちは

 ただただ茫然として

 か細く にゃーと 鳴きました。


  …『【リ・15】 猫桃太郎のその後』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・11】 黒猫の叫び


 桃太郎は 黒猫に

 きびだんごを渡しませんでした。


 すると 黒猫は

 全身の毛を逆撫でて

 怒りをあらわにしました。


「ずっと待っていたのに!

 許せない!

 こうなったら

 力ずくで 奪ってやる!」


 黒猫は 桃太郎に襲いかかりました。


 あまりの素早さに

 桃太郎は反応できず

 きびだんごは 奪われてしまいました。


 黒猫は 奪ったきびだんごを

 むさぼるように 食べました。


「……なんでだ?

 なんで アタシはまだ

 黒猫なんだ?


 ああ そうか。

 奪った きびだんごでは

 だめなんだ。

 もらった きびだんごじゃないと

 呪いは解けなかったんだ。


 なんてことだ……

 千年以上も待ち続けたのに

 戻れないなんて……」


 黒猫は しょんぼりしながら

 去っていきました。


 桃太郎は

 その黒猫の後ろ姿が

 なんだか忘れられませんでした。


  …『【リ・16】 桃太郎と黒猫』にすすむ




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・12】 猫男悪夢


 桃太郎と ライオンと トラは

 鬼ヶ島を目指す途中で

 野宿をしていました。


 それは 丑三つ時のことでした。


 月もない 夜の闇の中

 桃太郎たちは 奇妙な物音で

 目を覚ましました。


 音がした方へ目を凝らすと

 なにかが ぼんやりと見えてきました。


 それは

 ねこおとこの顔でした。


 奇妙な音の正体は

 ねこおとこのヒゲが

 風になびく音だったのです。


 ねこおとこは

 無表情のままで

 こちらを見ています。


 ライオンが 耐えかねて


「ガオッ!」


 と 吠えました。


 ねこおとこは

 にやりと 微笑みました。


「ライオン

 おれが怖いか?

 怖いんだろう?


 この恐怖は

 これから ずっと

 死ぬまで ずっと

 続くんだよ。


 そう

 おまえたちが寝たあとで

 おれは どこからともなく現れる。


 おまえたちは

 もう二度と

 ゆっくり眠ることなど

 できやしないのだ。


 これから ずっと

 死ぬまで ずっとな。


 くっくっくっくっくっ」


 トラが ねこおとこに

 飛びかかりましたが

 ねこおとこは 煙のように

 消えてしまいました。


 それからというもの

 桃太郎たちは

 夜眠ることが

 怖くなってしまいました。


 まったく眠れず

 鬼退治どころでは

 なくなってしまったのです。


 こうして 桃太郎たちは

 一生涯 ねこおとこの呪いに

 苦しみ続けたのでした。


 もしも

 ねこおとこのような

 妖怪に出会ってしまったときは

 逃げたりせずに

 ちゃんと話を聞いてあげる方が

 よさそうです。


 そんな勇気があれば ですが……


 おわり




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・13】 猫科トリオの鬼退治


 桃太郎は

 ライオンと トラと ジャガーの

 猫科最強のトリオと共に

 鬼ヶ島に上陸しました。


 桃太郎たちに気づいた鬼どもが

 すぐに金棒を持って

 現れました。


 桃太郎たちは

 ひるむことなく

 鬼たちに立ち向かいました。


 桃太郎は 鬼の身長と比べたら

 五歳児くらいの大きさでしたが

 刀を握りしめて

 果敢に戦いました。


 ライオンは

 たてがみをなびかせながら

 鬼どもを 噛み倒していきました。


 トラは

 鬼どもに飛びかかっては

 鋭い爪で 引っ搔いていきました。


 そして ジャガーは……


 ジャガーの姿は

 どこにも 見当たりませんでした。


 ジャガーは

 ただひたすらに

 逃げ回っていました。


 実は ジャガーは

 極度のビビりだったのです。


 ジャガーは その俊足を活かして

 鬼たちから逃げ回り続け

 そして そのまま

 帰ってしまいました。


 桃太郎たちにとって

 戦力が 一つ減ることは

 大きな痛手でした。


 健闘も むなしく

 桃太郎も ライオンも トラも

 鬼どもに取り囲まれて

 捕まってしまいました。


 こうして 桃太郎の鬼退治は

 失敗に終わってしまったのでした。


 桃太郎は 鬼ヶ島の牢屋の中で

 思いました。


 見た目が格好良くて

 センスが良くて

 スラっとしていて

 足が速くても


 心の中にいる

 本当の自分がダメな奴は

 なにをしてもダメなんだ。


 外見や 言葉に騙されずに

 内面の 本当の姿を

 見極めなくてはならなかったんだ……


 桃太郎は ジャガーの本性を

 見抜けなかった自分を

 責め続けたのでした。


 おわり




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・14】 ネコ科トリオの鬼退治


 桃太郎は

 ライオンと トラと ジャガーの

 ネコ科最強のトリオと共に

 鬼ヶ島に上陸しました。


 桃太郎たちに気づいた鬼どもが

 すぐに金棒を持って

 現れました。


 桃太郎たちは

 ひるむことなく

 鬼たちに立ち向かいました。


 桃太郎は 鬼の身長と比べたら

 五歳児くらいの大きさでしたが

 刀を握りしめて

 果敢に戦いました。


 ライオンは

 たてがみをなびかせながら

 鬼どもを 噛み倒していきました。


 トラは

 鬼どもに飛びかかっては

 鋭い爪で 引っ搔いていきました。


 そして ジャガーは

 怖くて 逃げ出した気持ちを

 グッとこらえて

 鬼どもに 立ち向かいました。


 実は まったく戦ったことのない

 ジャガーは どうやって攻撃を

 したらいいのか わかりませんでした。


 そこで とにかく走り回って

 鬼どもを かき乱すことにしたのです。


 鬼どもは ジャガーを追うことに疲れて

 次から次へと 倒れていきました。


 こうして 桃太郎たちは

 ジャガーの意外な活躍のおかげで

 鬼どもを すべて退治し

 金銀財宝を奪い返すことが

 できたのでした。


 その後 この国で

 ネコが愛されるようになるのは

 ネコ科最強トリオの活躍が

 あったからなのでした。


 めでたし めでたし




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・15】 猫桃太郎のその後


 猫になってしまった

 桃太郎と ライオンと トラは

 それから 一致団結して

 魔女を探しました。


 ――三十年後


 ついに 桃太郎たちは

 魔女を探し出しました。


 魔女は 森の中の家で

 のんきに暮らしていました。


 よっぽど 今が楽しいのか

 鼻歌をしながら

 グツグツと煮えたぎった大釜を

 かき混ぜています。


 桃太郎たちは

 こっそりと 魔女の家に潜入しました。


 陽気な魔女は

 こちらの存在に

 まったく気づいていません。


 桃太郎たちは

 魔女に気づかれないようにしながら

 床に 油を垂れ流しました。


 そして 準備が整ったところで

 まずは桃色の猫の桃太郎が

 魔女の前に 姿を現しました。


「ニャー!」


 魔女は 突然のことにおどろきながらも

 すぐに この桃色の猫が

 あのときの 桃太郎だと気づきました。


「おやおや

 誰かと思えば あんたかい。


 ここまで 追ってくるとは

 やるじゃないか。


 でもね

 アタシの秘密を知る奴は

 生かしちゃおかないよ!」


 魔女は 桃太郎を捕まえようと

 駆け出しました。


 すると 魔女は油で足が滑って

 その場で 手足をバタバタと

 させました。


 転ぶまいとして

 油の床の上でバタバタしている魔女に

 茶色の猫のライオンと

 虎柄の猫のトラが

 強烈な体当たりを くらわせました。


 魔女は 油の上を滑って

 そのまま グツグツと煮えたぎる

 大釜の中へ 飛び込みました。


「ぎゃあああああああああっ!」


 魔女の叫びが

 煙突を抜けて

 森中に響き渡りました。


 そして 魔女の叫びが

 止むと同時に

 桃太郎たちにかけられた呪いが

 解けたのでした。


 桃太郎たちは

 もとの姿に戻れたことを喜び

 互いに抱き合いました。


 このとき 桃太郎たちは

 気づいていませんでしたが

 鬼退治を 成し遂げていたのです。


 実は 鬼ヶ島に棲む鬼どもは

 その昔

 魔女が魔法で 島ごと鬼に

 変えてしまった姿だったのです。


 だから 魔女が死んで

 呪いが解けたことで

 鬼は 人間に

 鬼ヶ島は 普通の島に

 戻ったのでした。


 どんな状況になっても

 たとえ 猫にされたとしても

 ぜったいに諦めなかった

 桃太郎たちのおかげで

 鬼たちの呪いも解け

 世界は平和になったのでした。


 めでたし めでたし




 ―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―


●【リ・16】 桃太郎と黒猫


 その後 桃太郎たちは

 無事に鬼退治を成し遂げました。


 桃太郎は 英雄として

 みんなに褒め称えられました。


 でも 桃太郎は

 あのときの 黒猫の後ろ姿が

 忘れられずにいました。


 家へと帰った 桃太郎は

 おばあさんに きびだんごを

 作ってもらいました。


 そして

 あのときの黒猫を探しました。


 一ヶ月ほどかけて

 桃太郎は 黒猫をみつけました。


 黒猫は すっかり憔悴しきって

 桃太郎を見ても 反応しませんでした。


「あのときは ごめんね……


 ぼくたちは 鬼退治をするために

 旅をしていたんだ。


 だから か弱い きみを

 巻き込むことはできなくて

 きびだんごを渡さなかったんだ。


 今さら 遅いことはわかっているけど

 せめて きびだんごだけでも

 きみに渡したくて

 ずっと探していたんだよ」


 桃太郎は 黒猫の前に

 きびだんごを置きました。


 黒猫は もはや動く元気も

 ありませんでしたが

 なんとか 一口だけ

 きびだんごを食べました。


 すると 黒猫の体が 光り出しました。


 光が消えると

 そこにいたのは 黒猫ではなく

 黒い衣を着た 若い娘でした。


「あ あれ……

 わたし どうして ここに……」


 娘は 猫だったときのことを

 なにも覚えてはいませんでした。


 桃太郎は 娘を連れて

 家へ帰りました。


 ――その後


 この娘が

 ある王国の王女さまで

 悪い魔女によって 王国が支配され

 抵抗した王女さまは

 黒猫に変えられてしまったことや


 その魔女が 今も王国を

 支配していることがわかって

 桃太郎は 王女さまと共に

 王国を 取り戻すために

 戦いを挑むことになるのですが


 それはまた 別のお話――


 おわり

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