⑧アレンの執着(2)ルーナとの夜

あれからだいぶ時間も経ち、日も暮れてきたが、ルーナとウィリアムが結婚すると聞いてもアレンはどうすることもできないでいた…




「アレン様、ずっとここを動かないつもりですか?」




「あと少しだけ好きにさせてくれ。」




まさか、ルーナの部屋の前でずっと座り込んでいるアレンの姿には、諦めが悪いなとリュートでさえ舌打ちしそうになる。



だが、あの後、ルーナ嬢は何事もなかったようにアレン様に振る舞っていたからショックを受けているのだろう。





アレンは、うなだれるように頭を垂れた。




そして、いつもはルーナの部屋で待機しているケイトやサラ、従兄のウィリアムは隣の部屋にいて見張ってはいるようだったが、声はかけてこない。




「ルーナ。

ルーナ。

ルーナ。」







張り裂けそうな声で、愛しい名前を呼んでみてもルーナは答えることはなかった。





だから、アレンはルーナが部屋から出てくることはないと思っていたのだが…





扉が開いて、そこにはルーナが立っていた。



「ずっと座っていたのですか?

まだまだ冷えますから、部屋に戻られたほうがいいですわ。」




久しぶりに近くで聴いたルーナの声に胸が張り裂けそうになるのを抑えて、抱きしめた。




そして、ルーナの顔もまた真っ赤になりつつ、抱きしめ返す。





「アレン様。

ずっとこのままという訳にもいかないと思いますので、今後の話をしましょうか?


サラにお茶の準備をさせますね。」




そしてサラに頼むと、彼女は紅茶とクッキーをテーブルに置き無表情のまま、部屋のドアを開け待機してくれている。




ウィリアムお兄様には、アレン様と話すことも反対されたが、少し部屋から離れていただくように頼んでいるため、今は部屋にはいない。




もしかしたら、また隣の部屋でケイトと一緒にいるかもしれないが…。




「あの、アレン様。

少し離れていただいても?」



アレンの膝の上に座っているルーナは、どうしてこんな状態になっているのか頭を抱える。





「嫌だ、離れない。」




アレンは小さい子にするように、ルーナをギューっと抱きしめる。






「ルーナは俺が嫌いか?」




「…。」




嫌いかなんて、正直わからない。

だって、私はルーナじゃないから。





そう思うと同時に、頭が割れるように痛み出す。




「ルーナどうかしたのか?」





それから痛む頭を押さえながら意識が途絶えていく。

みのりとしての意識が…。





そして、


「ずっとお会いたかった、アレン様。」




























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公爵様は引きこもり令嬢の幼なじみを溺愛する 春莉 @ruru0505

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