⑤アレン様の婚約者?
--ヒューズ公爵家--
「アレンはどこにいるんだ?」
夕食の席に、アレンの姿がみえないので公爵は執事に問う。
「アレン様は、例の侯爵家にまた出かけております。」
それを聞き、公爵は夫人とため息をついた。
「またルーナ嬢か。
あいつには会いに行くのをやめろと言ったはずだ。
あの子は公爵家の嫁には向いていない。」
アレンがルーナに執着しているのは小さな頃から知っている。
家柄には、釣り合いはとれているのだけれど。
だが、あのような容姿、内向的な性格では公爵家ではやっていけないだろう。
「だけど、私はルーナちゃんがお嫁さんでもいいと思うのよ。
あの子はとてもいい子だもの。」
おっとりとした口調で夫人は、スープを飲み始めながら公爵をたしなめる。
「ならん。
性格だけが良くても、あのような容姿では、公爵家の嫁にはふさわしくない。」
ルーナに対しての貴族社会での評判はかなり悪い。
だけど、まだルーナに求婚すらしていない状態なのに、このような言われようには夫人もルーナに同情的だ。
私だけでもアレンとルーナの二人の味方になってあげたいわ。
「アレンには、ルーナ嬢ではなく、もっと容姿が整った公爵家にふさわしい令嬢と婚約させたいと思っている。」
「そんな、貴方。
それはアレンと話し合ってから…」
「ダメだ。
この間、アレンがルーナ嬢に求婚したいと私に言ってきたのだ。
それからすぐに、公爵は用意周到に、婚約者候補を従者に見つけさせた。
そして、こんな話を公爵家でされていることなどアレンには想像すらつかなかった。
また、グレイ侯爵も甥のウィリアムに爵位を譲り、ウィリアムとルーナを結婚させるつもりでいるのでルーナと婚約できなくなるなどアレンは夢にも思わなかった。
二人の父親達の思惑が、ゆっくりと足音を立てずにそれぞれ進んでいく。
外は吹雪いており寒さが冷え込む中、不気味に夜が過ぎて行った。
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