第1話『世界で最も美しい駅』

内山 茜(あかね) 25歳。

普段は都内で商社に勤めている。

趣味は女1人、自由な気まま旅。

SNSでいつも、今度はどこいこっかなって検索してる。

さて、今回の行き先は···


到着しました。

北陸の古都、金沢。

その玄関口、金沢駅。

今回は日帰り旅行。

だって、明日は月曜日。

用事を済ましたら、また東京に帰らなきゃ!

ちょっと、あわただしい。

今回の目的。

それは、最近わたしにまとわりつく穢れを祓うこと。

オーマイガ。

困ったときの神頼みだ。

そして、わたしの左腕。

ゴッツいG-SHOCK。

高校のとき使ってたやつ。

ひっさしぶり~♪

なんか、若返った気分。

モニターの割れたアップルウォッチは修理に出した。

悲しい、にゃふん。

修理から戻ってくるまでは、タフなきみが相棒だよ、よろしくね。

今回は日帰りだから、いつものキャリーケースはお留守番。リュック1つの軽装です。

にしても、相変わらず、観光客が多いな。それも、外国の人が目につく。

金沢駅の玄関口。

おもてなしドーム。

訪れる人に差し出す雨傘をイメージし、おもてなしの心を表わしたガラスの建造物。スゴ〜く、ガラスの屋根が高い。

金沢は基本的に雨が多いそうだ。雨降りだったときでも、到着と同時にどうぞって傘を差してくれてるみたいでうれしい。

けど、今日は良いお天気。

日の光が差し込み、ガラスの傘がキラキラと輝いてる。

そして、ドームの先には金沢の新たなシンボルとなった「鼓門」が構えている。

むかしから能が盛んだった金沢。

能で頻繁に使われる和楽器『鼓』

それをモチーフにした2本の鼓柱が弧を描いた屋根を支える。

温かみのある木製の鼓門と近代的なデザインのドーム。その融合された美しさは、アメリカの旅行雑誌『トラベル&レジャー』web版にて『世界で最も美しい駅』の一つに選ばれた。

ドームの奥の鼓門。その奥には金沢の街。木々の緑が映え、噴水が涼しげ。

いいね♪

わたし、ヤッパ、金沢駅大好きだな。

ん?

なんか、ピアノの音がする。

不協和音。

気持ち悪い。

その音は、地下広場から聞こえた。


第2 話『メリー·クリスマス ミスターローレンス』へ続く🧳♪

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