番外編 兄、帝都へ帰る(前日譚・ウラヌス視点)



「煮えきらないなら他の人に渡してもいいんだよ」


帝都に戻る前日、呆れたようにルカは口にした。


「僕だって妹が可愛いから」


三つ上の幼馴染であったルーカスとは、ウラヌスが飛び級して学院の同級生になった。


卒業後帝都で働く道は幾らでもあったのに、どうしてもステラの側にいたくて卒業するなり田舎の祖父の魔道具屋を継いだ。


せっかく早く就職したのだから、さっさと求婚すれば良かったのに未だに初恋を拗らせている。


二十一歳となったステラは変わらず慕ってくれるけれど、最近お見合いの話が来ていることも耳にしていた。


「アランとか良いかもね」


目の前の男がご機嫌に呟く。

アランは帝都の同級生で研究科で働いている。

悪友だったが初恋の人を渡すのは嫌すぎる。



ルーカスが見限った人間には冷酷なことは嫌という程横で見てきた。


「さ、ステラ行こうか」


帝都へ戻る兄に同行して観光へ行くステラの肩を抱いて振り向いた。


「帰ってくるまでに何とかしなよ、間に合えばいいけど」


天使みたいな顔をした悪魔は微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「非婚主義だ」と言っていた幼馴染が婚約したと誤解して今更アピールしてきます @222_skck

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ