第4話

「確認させてほしいことがある。」


「なに?」


「俺の案を奪ったのも、彼女寝取ったのも、痴漢の罪着せたのもお前だよな?」 


「ははっ…そうだよ。流石だ。気づくの速いよ、やっぱお前優秀だよ。出世には邪魔だったんだ。」

 俺に背を向け、悪びれた様子もなく、そんなことを簡単に言ってのけた。


「そっか」


 あの時は何もできなかったが、今は違う。

 今はやりなおせる。


 いざ実行しようとすると、緊張する。手が震える。

 息遣いも、少し荒くなっていた。 静かに一歩、また一歩と間合いを詰める。 彼がわずかに首を傾げた瞬間に懐に隠してあったバタフライナイフで突き刺した。

「うっ…」麟太郎のうめき声が聞こえる。


 でも力を緩めることはしない。 血の感触が手に纏わりつく。


 胸の奥が、じんじんと焼けるように熱かった。

達成感じゃない。 でも――後悔とも、少し違う。







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