二
私は男女関係は乱れた方であります。別に、好きでもない相手を弄んだ訳ではありません。ただ、知り合いの男性に強姦された後に、また自分から関係を結びました。幸い、妊娠もしなかったので、両親には知られず、関係を断ちました(といっても、完全に絶縁したのではなく、今もまだ交流は続いています)。
翌る日、私はその男性と会いました(以下Sさんとします)。私の属する高校の、使われていない校舎で、会話を交わしました。
「あの時は驚いた。なんせ、強姦した女が関係を迫ってきたのだから。だが、まぐわいの最中、泣き出したのには萎えた。まったく、意図が分からなかった。」
悪びれもせず、平然とそう言いましたが、私は別に何の感情も抱きませんでした。
「寂しかったんだ。元恋人がこっぴどく汚い言葉を発したのだから。ただ、あなたとそいつを重ねてしまって、泣いた。自殺したくなったんだ。」
「代わりか。まあ、強姦に関しては気持ちよかったから無罪?」
へらへらしている訳ではなく、無表情に言ってくるSさんに不気味さを覚えました。
「見逃してやる、ってこと。今度やったら警察に連れてってやる。」
自分で言って、悲しくなりました。いつから、私はこんなにも汚い会話をするようになったのでしょう。ああ、こんな時に姉の姿が脳を支配するのです。決して、あんな清廉潔白な姉にはなれないのです。何度愛されても、それは空虚で、虚しくて、空っぽなのです。
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