樋川

私の姉はとてもお淑やかで優美でした。姉は男女関係も友人関係も苦しんだことはなく、模範的な良い人だと思います。

対して私は頭が悪く、人間関係をはじめ、家族とも上手くいかない時期がありました(もしかしたら今もそうかもしれません)。加えて精神疾患もあり、どうしようもない人間です。

ある日、私は父母、姉と一緒に祖母の家を訪れました。その後、車までの道で、父母と私は土に塗れた汚い場所を通りました。靴は汚れない程度だったので、渡りました。ですが、姉は少し遠回りし、綺麗な、土のない場所を通っていました。その時、ああ、私は姉のような人間ではないのだと実感しました。所詮、野暮ったい両親の子なのだと。姉は、鳶が鷹を産んだ例なのだと。悲しむと同時に、姉に対する羨望がありました。

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