華
樋川
一
私の姉はとてもお淑やかで優美でした。姉は男女関係も友人関係も苦しんだことはなく、模範的な良い人だと思います。
対して私は頭が悪く、人間関係をはじめ、家族とも上手くいかない時期がありました(もしかしたら今もそうかもしれません)。加えて精神疾患もあり、どうしようもない人間です。
ある日、私は父母、姉と一緒に祖母の家を訪れました。その後、車までの道で、父母と私は土に塗れた汚い場所を通りました。靴は汚れない程度だったので、渡りました。ですが、姉は少し遠回りし、綺麗な、土のない場所を通っていました。その時、ああ、私は姉のような人間ではないのだと実感しました。所詮、野暮ったい両親の子なのだと。姉は、鳶が鷹を産んだ例なのだと。悲しむと同時に、姉に対する羨望がありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます