第2話「フレンド申請は戦場で」

ログインして最初に目にしたのは、頭上に浮かぶ赤い警告だった。


《チームバランス:敵5 対 味方1》


 味方一人って、私だけ?

 見渡すと、荒廃した都市マップ。夕焼けが崩れかけたビルを照らし、埃っぽい空気にピリピリした緊張が混じる。どう見ても1対5で勝てる状況じゃない。


「……まぁ、やるしかないか」


 私はスナイパー職。隠れて撃つのが得意。勝てないまでも、一矢報いてやる。


 高台へ移動し、スコープを覗く。瓦礫地帯を走る影、発見。動きがまっすぐすぎて、完全に初心者。慎重に照準を合わせ──トリガー。


《“ねむみん”を撃破しました》


 ねむみん?

 どこかで聞いたような……って、うわ。


 直後、チャットが飛んできた。


《は? お前なに撃ってんの!?》


 思い出した。ねむみん=リアルの友達。昨日「今日初めてログインするからよろしく~」って言ってた。

 そのメッセージの後に来てたフレンド申請──無視してたわけじゃない、ただ気づいてなかった。


《フレ申請送ったんだけど!?》


《いや、気づいてなかっただけで……》


《初戦で味方に撃たれるとか……ひどくない?》


 罪悪感が押し寄せる。私は急いで隠れながらフレンド申請を開いて、彼女の名前を探す。ちゃんと来てた。即座に承認。


《ねむみんとあなたはフレンドになりました》


 直後、敵チームのメンバーに囲まれた。アサルト・メディック・格闘系──バランス良すぎじゃない? 一発も撃てずに蜂の巣。


 キルログが流れる。


《“ねむみん”があなたを撃破しました》


 あれ? リスポーン画面で、彼女のアバターがこっちを見てニヤリと笑ってる。


《これでチャラね》


 私は苦笑いしながら返信を打った。


《今度こそ一緒に組もうな》

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ゲーマーな美少女の日常 語部こもごも @kutabiregamer

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