今までの恨み

『こんな情けねぇ大人見て馬鹿にしてんだろ⁇大人なのにこんなガキみたいに泣きじゃくって、カッコ悪いよな…こんな叔父さんよぉ…全ての発端はお前が悪いんだ。親父やお袋、姉貴にむちゃくちゃ可愛がられて…俺はずっとお前が生まれる前からでも放置され始めてたけどよ…もう少し家族と暮らしたかった…姉貴とも仲良くし続けたかった…でもよぉ、お前と家族の様子見てたらもう俺の居場所なんてねぇって勝手に出てったくせに、赤ちゃんだった甥っ子のお前のせいにしてずっと憎んできたいい大人なんか…気持ち悪いよなぁ…ほら、馬鹿にして笑えよ⁉︎なぁ⁇』


優次は涙を流しながら、無理やり笑顔を作り優を見る。


そんな叔父を見ても優は真剣な眼差しを向けていた。そして、ゆっくり起き上がると、優次に歩み寄って、抱きつく。


優次はまたもびっくりして固まってしまう。


「叔父さんも…辛かったんだね。やっと泣けたんだ…今まで溜め込んできた涙…ごめんね。僕のせいだったんだ…」


優の腕に力が入りギューっとしてくる。


なんなんだこいつ⁇さっきから普通にひどい扱いしてるし、わけわからんキレ方してる俺に何を⁇

優次は疑問に思う。


優次は抱きつく優の肩を掴み引き剥がす。


『なんで優しくしてくんだよ。こんな情けない奴に…』


優次はそう聞くと優は優しく微笑んだ。


「だって僕の叔父さんでしょ?唯一の家族じゃないですか。ずっと会いたかった…話もしたかった…」


そんな優の顔は、やはり姉の面影が残っていた。かつて自分に向けてくれた優しい優子の笑顔そのものの様に優次思えた。


『叔父さん言うなっつぅの…名前で呼べよ。

て言うかお前は辛くねぇのかよ?実の母が亡くなって泣かないのか⁇』


葬式での優の様子しかわからないが確かにずっとぼーっとしてただけのように見えたため謎に思っていた優次。


「涙はもう母の亡骸を発見した日のうちに枯れちゃったよ。もう何も出ないよ目から…」


優はそう言ってふふっと笑ってみせる。

優次はその場面がどんなに辛かったか安易に想像ができた。自分でも耐えられないだろうと思うと、そこをどうにか乗り越えて、しかも今自分より年上の奴を慰めようとしてきた甥っ子の優しさに、逆の意味で涙が溢れてくる。同時に、さらに違う感情も生まれた。


まだ泣く叔父を可哀想に思ったのか、優はまた優次の背中に腕を回して抱きしめトントンとさする。優次の鼓動がドクドクと早まるのを感じながら…


すると優次はまたしても優の肩を掴んで剥がし今度は至近距離で顔を見つめた。

そしてゆっくり顔を近づけて、唇を優の口元にそっと触れさせる。優は抵抗も動揺もしない様子を見せる。それを確認すると優次は優の顎に両手を回し激しくキスをした。優もそれを受け入れるように顔を近づける。

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