第6話 アエテール研究部

ふたりが道を歩いていると、遠くから、重い甲冑の音と、規律正しい歩みが聞こえてきた。タクマは立ち止まり、耳を澄ませてみると、エルドリア国の騎士団が行軍していた。

 

ふたりがその方向を見ると、隊列の先頭に、厳しい眼差しをした女性研究者がいた。

 

「こちらはエルドリア国の調査区域です。部外者は速やかにこの場所から退去してください」――その命令が、現場に響くと同時に、盾を構える騎士の鋭い視線が、タクマとランデルに集まる。

 

タクマは、一瞬身をすくめながらも、「仕方がない」と相棒を見る。ランデルは、素直に従うそぶりを見せつつも、内心では、この現場に集まった情報と、先ほどまで自分が感じた黒煙の異様な様子が絡み合い、単なる事故ではないと確信していた。


ふたりはその場から離れ、木々に囲まれた広場まで出た。タクマはランデルの肩に手を当てながら、「研究者が出張ってるのはなぜだ?様子がおかしい」とつぶやく。「あの研究者はアイリスだ。国のアエテール研究部に所属する一流の研究者で、平民でありながら所長を務めている。」ランデルが知る彼女の素性をタクマに共有した。

 

ふたりの冒険者を追い払ってしばらくたった。アイリスは今回の事件において、アエテールの現象に近しい反応を検知し、調査班への参加を志願した。

隊のキャンプ地で現場検証と研究内容を照らし合わせ、資料にまとめているところ、突如として激しい喧騒が耳に届いた。深い叫びと金属が激しくぶつかる音が鳴り響き、辺りは血の匂いに染まっていく。

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