第4話 静かなる道の向こうに

北路を歩む中、タクマとランデルは、黒煙の発生源に近づくにつれ、普段の風景から鮮明に変わる異様な雰囲気に襲われる。枯れかけた木々の間からは、鋭い不安の中に、黒い煙がいっそう濃く立ち込め、その冷たい光景が、見る者にただ畏怖を与えるだけでなく、決してただならぬ現象であることを示唆していた。


歩調をさらに緩めながらも、環境の一つひとつに敏感に注意を払い、その過程で、道端に散らばる黒い灰や、所々に残るわずかな焦げ跡を丹念に観察する。

 

ふたりは、自然な流れを壊すことなく、ただ歩みを進め、過ぎ去った破壊の痕跡を記憶に刻む。途中、薄暗い空の下で、かすかに聞こえる子どもの悲鳴までが、どこか確かな現実を突きつけるかのように耳に入ってくる。

 

「ここには、何かがある…」

 

ランデルは、視線を遠くに向けながら、ただ一言、小さく呟く。その時、タクマもまた、足元に転がる小さな黒い石を拾い上げ、手のひらにすっと収めながら、これから起こる事態の重大さを、かすかな確信として胸にしまった。

 

ふたりには、今後の探索がただの冒険ではなく、町で起きた不可解な事件や行方不明者の謎と直結しているといった、厳かな現実感がすでに静かに芽生えていた。そう感じながら、彼らは、歩みを止めることなく、その先にある未知に一歩を踏み出す決意を新たにした。

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