第30話「世界をくれた君へ」

あれから10年後


世界は平和になった。


魔族も、人間も、天使も、獣人も――

皆が同じ空の下で笑って暮らす、そんな世界が本当に実現していた。


アーヴは旅を続けながら、時折、白い花が咲く丘に立ち寄る。


アーヴ「よぉ……久しぶりだな、レガリア。

こっちは元気にやってるぜ」



ある村の、ある少女


アーヴが立ち寄った静かな村。

そこに、一人の少女がいた。


名は――リア。

年の頃は16。空のように透き通る瞳と、紅い髪。

そして不思議な“剣の夢”を、毎晩見ていた。


リア「ねえ、お父さん。“断律剣”って、ほんとにあったのかな?」


村の人「さあなあ、昔の神話だよ。でも……リアが見てる夢、気になるなぁ」



再会


リアが、白い花咲く丘に来た日。

アーヴと、少女はすれ違う。


アーヴ「……おい、嬢ちゃん。名前は?」


リア「リア、です。あなたは?」


アーヴは何も言わず、懐から一輪の白い花を取り出す。


アーヴ「これ、やるよ。なんとなく、お前に似合うと思った」


リアがそれを手に取ると――一瞬、彼女の目に光が宿る。


リア「……なんだろう、この感じ。すごく、懐かしい……」


アーヴ「じゃあな。元気でな、“レガリア”」


リア「――え?」


だがアーヴの姿は、もう消えていた。



ラストシーン


丘に立つリア。

風が吹く。

空に向かって、彼女はぽつりと呟く。


リア「ありがとう。……世界を、くれて」


彼女の瞳に、一筋の涙。


でもそれは、“悲しみ”じゃなかった。


それは、“始まり”の涙。



エピローグ:新しい物語へ


リアは、剣を求めて旅に出る。

まるで誰かの意志を継ぐかのように。


どこかで、誰かが囁いた。


「君が生きた証は、この世界そのものなんだよ――レガリア」



ーー 完 ーー

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転生姫レガリア 〜私がこの世界をぶっ壊す!〜 yakko @yakko0821

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