第24話 証拠の発見

ブラム城の地下牢。

そこが、将吾の狂気の根源と、遥を殺害した凶器が隠されている場所だと確信した私と拓海は、最後の望みをかけて行動を開始した。

私たちに協力してくれたのは、ブラム城の清掃員とSNSで繋がっていたクラスメイト、高橋だった。

彼は事情を説明すると、最初は渋ったものの、遥の無念を思う気持ちから、地下牢へのアクセス方法を教えてくれた。


夜が更け、ホテルを抜け出した私たちは、高橋から聞いたルートを辿ってブラム城へと向かった。

霧が立ち込め、闇に包まれたブラム城は、昼間とは全く異なる顔を見せていた。

石畳を踏む私たちの足音だけが、不気味なほど響く。


旧管理棟の裏口から侵入し、迷路のような廊下を抜ける。

空気は冷たく、湿気を帯び、カビと埃の匂いが鼻をついた。

拓海がスマホのライトを照らしながら先導する。

私も胸の高鳴りを抑えながら、拓海の後に続いた。

そして、古びた鉄扉が目の前に現れた。


「ここだ…」


拓海が、扉の蝶番の部分を指差した。

古びた鍵がかかっているが、拓海が持参した特殊な工具であっという間に開けてしまう。

彼がこのために、色々な知識を蓄えていたことに感心しながら、私たちは地下へと続く階段を降りていった。


地下牢は、想像以上に暗く、冷気に満ちていた。

石壁は苔むし、床には水たまりができている。

その陰鬱な空間に、私たちが探す「真実」が隠されているのだ。

拓海がスマホのライトで牢内を照らすと、蜘蛛の巣が張り巡らされ、朽ちかけた木箱が散乱していた。


私たちは、手分けして地下牢の中を探索し始めた。

隅々まで目を凝らし、壁や床、木箱の裏側まで丁寧に調べる。

時間だけが、重く、しかし確実に過ぎていく。


その時、拓海の短い、しかし確信に満ちた声が響いた。


「美羽!これだ!」


拓海が指差したのは、地下牢の一番奥、崩れかけた石壁の隙間だった。

そこには、小さな布に包まれた、何か硬いものが隠されていた。

拓海が慎重に布を取り除くと、現れたのは、あの星の形のペンダントトップだった。

遥が肌身離さず身につけていた、あのペンダントが、こんな場所から出てきたのだ。


「遥…!」


私は思わず、そのペンダントを手に取った。

冷たい金属の感触が、私の指に遥の無念を伝えてくるようだった。

将吾は、遥の命を奪うだけでなく、彼女の「魂の断片」であるこのペンダントを、自らの「聖域」に隠していたのだ。

イアナが語った「ストリゴイの血の儀式」の恐ろしさが、現実のものとして迫ってきた。


そして、そのペンダントのすぐ近く、石壁のさらに奥まった隙間から、拓海はもう一つ、探し求めていたものを見つけ出した。

それは、将吾がいつも持ち歩いていた、あの分厚い古書だった。

そして、その古書に挟まれた、あの不気味なブックマーク。


拓海が慎重にブックマークを取り出し、その先端を指でなぞる。

そして、特定の操作を行うと、まるで変身するおもちゃのように、ブックマークの先端がカチリと音を立てて二又に分かれ、鋭利な二本の突起が姿を現した。


「これだ…『影の牙』…」


私の震える声が、地下牢に響いた。

その先端には、微かに、しかし確かに乾いた赤い染みが付着しているのが確認できた。

それは、遙の血に他ならない。


「これで、将吾の犯行は揺るがない。凶器も見つかった。遥さんのペンダントもだ」


拓海の言葉に、私の目には涙が滲んでいた。

遥の無念を晴らすための、決定的な証拠。

それは、この暗い地下牢の奥深くに隠されていたのだ。


しかし、まだ残る疑問があった。将吾は、なぜそこまで狂気に囚われたのか。

そして、彼の心を操っていた「ナイトロード」という存在の正体とは。

地下牢で発見された古書と凶器は、この事件の真の闇を暴くための、新たな扉を開いたばかりだった。

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